ケアマネジャーの皆さま、日々のお仕事お疲れ様です。現場の”困った”を解決する「ケアマネ相談室」です。
ケアプランを作成していると、「最近、目標や支援内容が毎回似たような内容になっている」「前回のケアプランを少し修正して作ることが増えている」と感じることはありませんか。
利用者が増え、モニタリングや給付管理、担当者会議など日々の業務に追われる中で、効率化を図ることは決して悪いことではありません。しかし、その積み重ねによって、ケアプランが「誰にでも当てはまる内容」になってしまうことがあります。
今回は、ケアプランがマンネリ化する原因と、「その人らしさ」が伝わるケアプランを作るための考え方について、ベテランケアマネがお答えします。
ケアプランがマンネリ化する原因は、「サービス」が中心になっているから
ケアプランが似たような内容になってしまう1番の理由は、「利用者」ではなく「サービス」を中心に考えてしまうことです。
例えば、
- 「デイサービスを利用して社会参加を図る」
- 「訪問介護を利用して清潔を保持する」
- 「福祉用具を活用して安全に生活する」
これらは間違った表現ではありません。しかし、どの利用者にも当てはまりやすく、その人らしさが見えにくいケアプランになってしまいます。
ケアプランは、サービスを並べるための書類ではありません。
その人が「どんな暮らしを続けたいのか」「何を大切にして生きてきたのか」を実現するための設計図です。
だからこそ、「サービスをどう使うか」ではなく、「その人はどんな生活を望んでいるのか」という視点に立ち返ることが、マンネリ化を防ぐ第一歩になります。
現場で実践できる!ケアプランのマンネリ化を防ぐ3つの工夫
ケアプランをマンネリ化させないためには、特別な文章力や新しい制度の知識が必要なわけではありません。大切なのは、「その人らしさ」を引き出す視点を持ち続けることです。
日々のモニタリングや担当者会議、目標設定の少しの工夫で、ケアプランは「誰にでも当てはまる内容」から「この人だからこそのケアプラン」へと変わります。
以下では、今日から現場で実践できる3つの工夫をご紹介します。
① モニタリングを「変化の確認」ではなく「発見の場」にする
モニタリングでは、
- 「体調に変わりはありませんか?」
- 「サービスは問題なく利用できていますか?」
といった確認だけで終わってしまうことがあるでしょう。
もちろん重要な確認ですが、それだけではケアプランは毎回同じ内容になりやすくなります。
おすすめしているのは、「新しい発見」を探すモニタリングです。
例えば、
- 最近、新しく始めたことはありますか?
- 逆に、やらなくなったことはありますか?
- 昔好きだったことで、またやってみたいことはありますか?
このような質問をすると、ADLやIADLだけでは分からない、ご本人の価値観や興味、生活の変化が見えてきます。
ケアプランを見直すきっかけは、身体機能の変化だけではありません。
「思い」や「楽しみ」の変化も、ケアプランを更新する大切なアセスメント情報なのです。
② 目標を本人の言葉・固有名詞で書く
ケアプランの目標が、
- 「安全に生活する」
- 「自立した生活を送る」
- 「社会参加を継続する」
となっていないでしょうか。
これらは必要な目標ですが、多くの利用者に当てはまるため、「その人らしさ」が伝わりません。
例えば、
- 「毎週火曜日の囲碁サークルに通い続ける」
- 「庭のバラを今年も自分で育てる」
- 「孫の結婚式に自分の足で歩いて出席する」
このように、ご本人の言葉や生活背景、具体的な目標を盛り込むことで、「この人だからこそのケアプラン」になります。
目標が具体的になると、サービス内容や支援方法も自然と目標達成に向けたものとなり、テンプレートのようなケアプランから抜け出すことができます。
なお、認知症の進行などにより、ご本人から希望を直接聞き取ることが難しい場合もあります。そのようなときは、ご家族の思い出話や、現場スタッフが気づいた「その人らしいエピソード」(例えば、特定の音楽を聴くと表情が和らぐ、花を見ると手を伸ばすなど)をヒントに、目標を組み立てていくことも有効です。
③ 担当者会議を「報告の場」から「気づきの共有の場」に変える
担当者会議は、各事業所から利用状況を報告して終わる場になっていないでしょうか。
しかし、ケアプランをより良いものにするヒントは、現場で利用者と接しているスタッフの何気ない一言に隠れています。
例えば、
- 「最近、昔のお仕事の話をよくされるようになりました。」
- 「料理のお手伝いをしたがるようになりました。」
- 「デイサービスでは将棋を教える役になっています。」
こうした情報は、一見すると小さな変化に思えるかもしれません。
しかし、その人らしさや役割、生きがいにつながる重要なアセスメント情報です。
そのような発言があったときは、
「その視点は、次回のケアプランにも反映できそうですね。」
と、その場で言語化し、多職種全員で共有することが大切です。
担当者会議を「経過報告の場」ではなく、「その人らしさを再発見する場」として活用することで、ケアプランはより本人中心の内容へと変わっていきます。
「その人らしさ」が見えるケアプランを目指して
ケアプランがマンネリ化する背景には、忙しさや業務量の多さだけではなく、「状態を見ること」が中心となり、「その人自身を見ること」が少なくなってしまうことがあるでしょう。
モニタリングでは新たな発見を探し、ご本人だけの目標を言葉にし、多職種からの気づきを積極的に取り入れることで、ケアプランは「誰にでも当てはまる計画」ではなく、「この人だからこその計画」へと変わります。
ケアプランは、介護サービスを利用するためだけの書類ではありません。その人の人生や価値観、望む暮らしを関係者全員で共有し、支えていくための大切な設計図です。
ぜひ一度、「このケアプランを読んだとき、その人の顔や暮らしが思い浮かぶだろうか」という視点で見直してみてください。その小さな意識の変化が、「その人らしさ」が詰まったケアプランづくりにつながっていくはずです。
執筆者紹介 花俣
介護現場の「伴走者」。豊富な相談実績から、最適な選択肢を提案します。
介護老人保健施設(老健)や特別養護老人ホーム(特養)での相談援助職を経て、現在は多角的な視点から介護支援を行う。社会福祉士・精神保健福祉士・ケアマネジャーの3つの資格を保持し、制度の裏側から現場のリアルまでを熟知。これまで数多くの家族の悩みに向き合ってきた経験から、読者の「今、どうすればいい?」に対する的確な解決策を提示します。
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