厚生労働省が示した「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料(令和8年3月)」では、介護保険施設等に対する指導監督業務の適切な実施が改めて求められました。高齢者の尊厳の保持や虐待防止、介護保険制度への信頼性の維持を目的に、集団指導、運営指導、監査をより効果的かつ効率的に行う必要性が示されています。
目次
この記事でわかること
- 厚生労働省が自治体に求める集団指導・運営指導の実施頻度と、令和6年度の実施状況
- 不正請求や高齢者虐待に対する監査・行政処分の件数と処分事由の内訳
- 介護サービス事業者の業務管理体制の整備と届出・確認検査の重要性
集団指導と運営指導の着実な実施を求める内容
資料では、集団指導は指定権限のある全ての介護保険施設等を対象に年1回以上実施するよう要請。運営指導についても、原則として指定の有効期間内に1回以上実施することを求め、居宅サービスのうち居住系サービスや、地域密着型サービスのうち居住系サービス・施設系サービス、施設サービスについては、3年に1回以上の頻度で行うことが望ましいとされています。
令和6年度の運営指導の実施事業所数は50,424、実施率は16.2%となっており、集団指導も実施自治体数938、実施率57.9%という状況です。一般市区町村では半数程度が未実施とされており、実施の徹底が課題となっています。
不正請求や高齢者虐待には監査で厳正に対応
資料は、指定基準違反や介護報酬の不正請求、高齢者虐待が疑われる場合には、介護保険法に基づく立入検査等により事実関係を確認する監査を実施するよう求めています。
令和6年度の監査実施件数は1,190件で、指定取消等の行政処分は158件でした。内訳は指定取消59件、指定の効力の一部停止86件、全部停止13件です。処分事由では不正請求が最も多く、指定取消・効力停止となった158事業所のうち約5割で不正請求が認められました。また、指定取消等に伴い、令和6年度に返還を求めた介護給付費は約11億5千万円となっています。
業務管理体制の整備も重要な課題
あわせて、介護サービス事業者の業務管理体制の整備に関する届出や確認検査の徹底も示されました。法令等遵守の体制整備は不正の未然防止に直結するものであり、自治体には届出漏れの防止や一般検査、特別検査の適切な実施が求められています。介護サービスの質の確保と利用者保護のため、自治体と事業者の双方に、より実効性のある対応が求められる内容といえます。
参照元:厚生労働省 全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料 令和8年3月

執筆者紹介
介護現場の「伴走者」。豊富な相談実績から、最適な選択肢を提案します。
介護老人保健施設(老健)や特別養護老人ホーム(特養)での相談援助職を経て、現在は多角的な視点から介護支援を行う。社会福祉士・精神保健福祉士・ケアマネジャーの3つの資格を保持し、制度の裏側から現場のリアルまでを熟知。これまで数多くの家族の悩みに向き合ってきた経験から、読者の「今、どうすればいい?」に対する的確な解決策を提示します。





