「近くに住んでいる家族が薬を飲み忘れたり溜めたりしている」「家族に軽度の認知症症状が出てきたため、薬の管理をさせるのが心配」と悩まれている方はいませんか?
特に認知症や高齢の方にとって、薬の管理は負担が大きくなりがちです。ご家族様がサポートしたくても、日常の忙しさから目が行き届かない場合もあります。そんな時に頼りになるのが薬剤師訪問サービスです。
この記事では、薬剤師訪問サービスについて詳しく知りたい方へ向けて、サービス内容や利用方法、料金等について解説します。ご自身やご家族の薬に関することでお困りの方は、ぜひ最後までお読みください。
薬剤師訪問サービスは在宅医療のサービスの1つ

薬剤師訪問サービスは在宅医療のサービスの1つです。このサービスでは、薬剤師が利用者の自宅を訪問し、薬の説明や管理、副作用のチェック等を行います。
薬剤師訪問サービスは、通院が困難な方に対して、住み慣れた環境でサービスを提供できるという点がメリットです。特に、薬の管理が難しい方々にとって、薬剤師訪問サービスは重要な役割を果たしています。
目次
薬剤師訪問サービスの料金は利用する保険や自己負担割合にて異なる
薬剤師訪問サービスの料金は、利用する保険の種類や自己負担割合によって異なります。介護保険と医療保険の2つの保険制度で利用することができ、それぞれ料金体系が異なっているのです。
また、自己負担割合も所得に応じて1割から3割までと幅があります。薬剤師訪問サービスを利用する際は、自分がどの保険を使えるのか、自己負担割合はいくらになるのかを事前に確認しておくことが大切です。
介護保険で利用する場合
介護保険で薬剤師訪問サービスを利用する場合、要介護認定を受けることが必要です。また、介護認定を受けている場合は医療保険より介護保険が優先され、居宅療養管理指導の一環として提供され、ケアマネジャーがケアプランに組み込む形でサービスを開始します。
介護保険での自己負担割合は原則1割ですが、所得に応じて2割または3割になる場合もあります。ただし、介護保険では医療的なサービスに一定の制限があるため、医療的ニーズが高い場合は医療保険での利用を検討することも必要です。
介護保険で利用する場合の料金は、単一建物居住者の人数や薬剤師の所属・指導方法によって異なります。さらに、地域によって料金に差が出ることがあるため、料金については事前に利用する調剤薬局やケアマネジャーに問い合わせしましょう。
訪問1回あたりにかかる自己負担額の目安については、以下の通りです。
| 職種 | 1回あたりの自己負担額(1割負担の場合) ※地域により若干の差があり | |||
| 単一建物居住者の人数 | ||||
| 1人 | 2~9人 | 10人以上 | ||
| 薬剤師 | 病院又は診療所の薬剤師 | 566円 | 417円 | 380円 |
| 薬局の薬剤師 | 518円 | 379円 | 342円 | |
| 薬局の薬剤師で情報通信機器を 用いて行う場合 | 46円 | 46円 | 46円 | |
※令和6年12月時点の介護報酬より算出(1単位=10円として計算)
※薬代は別途必要です
医療保険で利用する場合
医療保険で薬剤師訪問サービスを利用する場合は、医師の指示を受けた訪問薬剤管理指導として提供されます。介護保険が適用されない方が対象となり、在宅患者訪問薬剤管理指導料として料金を算出。
医療保険の自己負担割合は、通常3割ですが、高齢者の場合は1割または2割になることもあります。ただし、介護保険とは異なり、所得に関係なく一定の自己負担が発生。医療的ニーズが高く、頻繁な薬剤師の訪問が必要な場合は、医療保険での利用が適しているでしょう。
訪問1回あたりにかかる自己負担額の目安については、以下の通りです。
| 職種 | 1回あたりの自己負担額(1割負担の場合) | |||
| 単一建物居住者の人数 | ||||
| 1人 | 2~9人 | 10人以上 | ||
| 薬剤師 | 566円 | 417円 | 380円 | |
※令和6年12月時点の診療報酬より算出(1点=10円として計算)
※薬代は別途必要です
さらに、緊急時に医師の指示のもと利用者宅を訪問し、必要な薬の管理や指導を行った場合等、利用状況によって加算が発生します。どのような場合に料金が発生するのか、必ず利用する調剤薬局に確認するようにしましょう。
薬剤師訪問サービスで行われるサービスは8つ

薬剤師訪問サービスで提供されている主な8つのサービス内容については、以下の通りです。
- 薬剤師が利用者のご自宅に薬を届ける
- 薬の服用状況や生活状況を確認する
- いつ・どの薬を飲むか等薬の服用方法を説明する
- 利用者に最適な薬の管理方法を実施する
- 薬の効果や副作用を確認する
- 利用者の状態に合わせて薬の形状や変更を主治医に相談する
- 余っている薬を整理する
- 訪問後の様子を主治医やケアマネジャーに報告する
それぞれについて詳しく解説していきます。
1.薬剤師が利用者のご自宅に薬を届ける
1つ目は、薬剤師が利用者のご自宅に薬を届けることです。医師の処方箋に基づいて調剤した薬を、利用者のご自宅まで持参し、手渡しで提供します。そのため、利用者は調剤薬局に出向くことなく、薬を受け取ることが可能に。
特に高齢者は、調剤薬局に出向いて薬を受け取ることが負担になる場合があります。自宅まで届けてもらうことで、調剤薬局に出向く負担を減らすことができるのです。
2.薬の服用状況や生活状況を確認する
2つ目は、薬の服薬状況や生活状況を確認することです。処方された薬を正しく服用できている・飲み忘れや飲み残しがないか・副作用が出ていないか等を、利用者やご家族から丁寧に聞き取ります。
また、食事や睡眠、排泄といった生活状況も確認し、薬の効果に影響がないかチェックも行います。
3.いつ・どの薬を飲むか薬の服用方法を説明する
3つ目は、いつ・どの薬を飲むか薬の服用方法を説明することです。薬の種類が多いと、いつ・どの薬を飲めばよいかわかりにくく、不安に思う利用者も少なくなりません。利用者の方やご家族に、それぞれの薬の服用方法をわかりやすく説明します。
食前や食後の指定があるのか、1日の服用回数や時間帯等、処方箋の指示に沿って丁寧に解説。さらに家族へも説明することで正しく服用できるようにサポートを行います。
4.利用者に最適な薬の管理方法を実施する
4つ目は、利用者に合った薬の管理方法を実施することです。薬の管理方法は利用者の生活スタイルや認知機能によって異なります。薬剤師は一人ひとりに合った管理方法を提案し、実践のお手伝い。
例えば、薬を日付・時間帯ごとに一包化したり、飲み忘れ防止のために曜日・時間帯ごとに分かれたお薬カレンダーを導入・セットする等。個々の状況に応じた工夫を行います。
5.薬の効果や副作用を確認する
5つ目は、薬の効果や副作用を確認することです。薬は服用してみないと体に合っているかわかりません。訪問時には、薬の効果が適切に現れているか、副作用が出ていないかを確認します。
利用者自身が気づきにくい軽微な副作用や、治療効果が不十分な場合も、薬剤師が注意深く観察することで早期に対応が可能です。気になる点があれば、主治医に報告し、薬の種類や量の変更を相談します。
6.利用者の状態に合わせて薬の形状や変更を主治医に相談する
6つ目は、利用者の状態に合わせて薬の形状や変更を主治医に相談することです。薬の形状は錠剤やカプセル、粉薬と様々です。そのため、薬の形状によっては飲み込みにくい等、服用が難しくなることも。
利用者の状態に合わせて、薬を粉砕したりゼリーを利用したりする工夫を、主治医と相談しながら行います。また、体調の変化で薬が合わなくなった場合は、主治医に薬の変更を提案します。
7.余っている薬を整理する
7つ目は、余っている薬を整理することです。飲み残した薬や、処方が変更になって不要になった薬が自宅に薬が余っているケースは少なくありません。薬剤師が訪問時に余剰薬を確認し、整理をお手伝いします。
服用されずに溜まった薬は、誤薬のリスクを高める要因です。使用期限切れの薬や、飲み合わせに注意が必要な薬がないかチェックし、適切に廃棄します。
8.訪問時の様子を主治医やケアマネジャーに報告する
8つ目は、訪問時の様子を主治医やケアマネジャーに報告することです。訪問時に確認した利用者の服薬状況や体調を元に、薬の副作用の疑いがあれば早急に連絡し、処方変更の対応を検討します。在宅での療養生活が安全に送れるよう、関係者間での情報共有を徹底します。
薬剤師訪問サービスを利用するには医師の指示が必要
薬剤師訪問サービスを利用するには、まず医師の指示が必要です。医師がその人の病状や服用している薬、生活環境を総合的に判断し、薬剤師訪問サービスが必要だと判断した場合に、指示を出します。
医師の指示なしに、薬剤師が勝手に訪問することはできません。また、ご本人や家族からの依頼だけでは利用することができないのです。医師の指示を受けることが、薬剤師訪問サービス利用の大前提となります。
ただし、薬剤師訪問サービスの提案は医師以外が行うケースも少なくありません。例えば、以下のようなケースが挙げられます。
- 調剤薬局で薬剤師自身が利用者の薬の管理に問題があると判断し、医師に相談するケース
- ケアマネジャーや訪問看護師といったの多職種から、利用者の薬の管理に問題があるとの相談を受け、医師に提案するケース
- 家族から、利用者の薬の管理に不安があるとの相談を受け、医師に提案するケース
薬剤師訪問サービスは、医師の指示の下、薬剤師が利用者宅を訪問し、薬の管理や飲み方の指導、残薬の確認等を行うサービスです。医師の指示は必須ですが、サービス利用のきっかけは様々であり、薬剤師や多職種、家族からの提案を契機に、医師が指示を出すケースも多くあります。
薬剤師訪問サービスをご利用するまでの手続きの流れ
薬剤師訪問サービスを利用するまでには、いくつかの手続きが必要です。ここでは、その流れを順を追って説明していきます。
主治医やケアマネジャー等に相談する
まずは、主治医や担当のケアマネジャーに、薬の管理に不安があることを相談しましょう。服薬状況や生活状況に加え、本人の状態や家族のサポート体制を詳しく伝えることで、薬剤師訪問サービスの必要性を適切に判断してもらえます。
利用者自身の希望や家族の意向も尊重されるため、できるだけ具体的に希望を伝えることが大切です。適切な連携を図ることで、薬剤師訪問サービスが利用者の生活の質を向上させる手助けとなります。
主治医より薬剤師訪問について指示をもらう
相談の結果、主治医が薬剤師訪問サービスが必要だと判断した場合、正式に主治医からサービス利用に関して指示を出してもらいます。指示書には、訪問の頻度や内容、期間等が記載されており、指示書を元に薬剤師が薬学的管理指導計画を作成するのです。
利用者や家族に薬剤師訪問サービスの説明し契約を行う
主治医の指示を受けた薬局から、利用者や家族に対して、サービスの詳しい説明が行われます。訪問の目的や実際に行われる支援内容、料金、注意事項等を詳しくご説明し、利用者や家族が十分に理解した上で契約を行います。
この際、利用者の状況に合わせて、薬の管理の方法や服薬支援のツール等も提案されるでしょう。契約時には利用者や家族が不明点を確認し、納得した上で契約を進めることが重要です。この段階でしっかりとした合意が取れていることで、サービスがスムーズに提供されます。
薬剤師の訪問が開始する
契約が完了すると、いよいよ薬剤師の訪問が開始されます。初回訪問時には、利用者の服薬状況や生活環境を詳しく確認し、必要に応じて薬の整理も行います。その後は、契約に基づいて定期的な訪問が行われ、薬の管理や健康チェックのサポートが提供されます。
薬剤師訪問サービスは在宅医療に欠かせない存在
この記事では、薬剤師訪問サービスについて詳しく知りたい方へ向けて、サービス内容や利用方法、料金等を解説しました。
高齢化が進む現代社会において、薬剤師訪問サービスは在宅医療に欠かせない存在となっています。 特に、高齢者の1人暮らしや、認知症の方の薬の管理は大きな課題です。薬剤師訪問サービスは、このような課題に対応し、利用者の健康と安全を守る重要な役割を担っています。
そして、医師、看護師、ケアマネジャー等、他の在宅医療サービスとも連携しながら、利用者一人ひとりに合ったケアを提供することで、在宅での療養生活を支えています。 薬剤師訪問サービスは、今後ますます重要性が高まるサービスだと言えるでしょう。
薬の管理で悩まれている方は、まずは主治医やケアマネジャーに気軽にご相談ください。
参照元:大阪府薬剤師会 薬剤師による在宅訪問、厚生労働省 薬剤師による在宅訪問、令和6年度介護報酬改定における改定事項について、在宅(その1) 在宅患者訪問薬剤管理指導について、在宅(その5)、在宅医療における薬剤師業務について、在宅における薬剤師 との連携の実際、居宅療養管理指導





