「家族が認知症になり自宅で介護するのが大変になってきた」「認知症の人にどんなサービスを利用させたら良いのかわからない」と悩まれている方はいませんか?
認知症対応型デイサービスは、認知症の方を介護する家族の負担を和らげるだけではなく、認知症の特性を理解し、専門的なケアを提供するため、認知症の本人にとってもメリットが多いサービスです。
この記事では、認知症対応型デイサービスの施設・サービスの特徴や料金などについて詳しく解説します。認知症の方の介護でお悩みの方は、在宅介護の選択肢を広げる参考として、ぜひ参考にしてみてください。
認知症対応型デイサービス(認知症対応型通所介護)の特徴とは?

認知症対応型デイサービス(認知症対応型通所介護)は、認知症の方々が住み慣れたご自宅で安心して生活を送れるよう、専門的なケアを提供するサービスです。一般的に「認知症デイサービス」や「認知症デイ」とも呼ばれています。
認知症対応型デイサービスの特徴は以下の通りです。
- 少人数制:利用者の個別ニーズに合わせたケアを提供するため、少人数制を採用している。
- 専門的なケア:認知症に特化した専門的な知識を持ったスタッフが、利用者一人ひとりに合わせたケアを提供している。
- 安全な環境:認知症の方が安心して過ごせるよう、バリアフリーなど、安全面に配慮された環境が整備されている。
- 家族支援:介護する家族の負担を軽減するため、家族支援も実施。介護方法の指導や相談対応なども行っている。
- 生活リズムの維持:できる限り在宅生活を継続できるよう、利用者の生活リズムを大切にしたサービス提供を心がけている。
認知症の方は、一般のデイサービスの利用も可能です。しかし、利用者同士で馴染めなかったり、定員が多く個別のニーズに対応しきれなかったりと、適さない場合も少なくありません。そのため、認知症の特性を理解し、専門的なケアを提供する認知症対応型デイサービスが重要な役割を担っています。
目次
認知症対応型デイサービス(認知症対応型通所介護)の対象者や利用条件
認知症対応型デイサービスを利用できるのは、下記2つの条件のうちどちらも満たしている場合に限ります。
- 医師より、認知症と診断されている
- 要介護1以上の認定を受けている
要支援1・2の場合は、予防を目的とした「介護予防認知症対応型通所介護サービス」の利用が可能です。
認知症対応型デイサービスにて提供するサービス内容
認知症対応型デイサービスでは、以下のようなサービスを受けられます。
- 送迎サービス:自宅までの送迎があるため、安心して通うことが可能です。
- 日常生活の支援:食事・入浴・排泄などを、スタッフが丁寧にサポートします。
- 機能訓練:体力維持や認知機能の低下予防を目的として、運動や活動を実施します。
- レクリエーション:歌やゲーム、手芸などの様々な活動を通じて心身をリフレッシュさせます。
- 相談支援:ご家族の相談にも応じ、一緒にケアプラン(介護サービス計画書)を作成します。
認知症対応型デイサービスの事業所は3種類ある

認知症対応型デイサービスは、認知症の方々が安心して過ごせるよう、様々なサービスを提供しています。大きく分けて単独型、併設型、共用型の3つの種類に分かれており、それぞれのタイプによって、利用できるサービスや施設の環境が異なります。
単独型の事業所
特別養護老人ホームや病院などに併設されていない、単独のデイサービスです。認知症の方々に合わせた環境やプログラムが整っている点がメリットとして挙げられます。
併設型の事業所
特別養護老人ホームや病院などに併設されている施設です。メリットは、医療機関との連携がスムーズに行えるため、急な体調の変化にも対応しやすいことです。
共用型の事業所
グループホームなどの施設の一部(食堂や居間)を利用してサービス提供が行われます。比較的利用料金が安い点がメリットです。
他のデイサービス(通所介護施設)との違い

認知症対応型デイサービスと他のデイサービスの違いは、大きく分けて3つあります。
- 対象の利用者
- スタッフの専門性
- プログラムの内容
一般的なデイサービスは、様々な状態の利用者を対象にしていますが、認知症対応型デイサービスは「認知症」の方を対象としたサービスです。そのため、スタッフも認知症の専門的な知識を持った人が複数在籍しています。
また、プログラムの内容も他のデイサービスに比べると、より認知機能の維持や向上につながるようなプログラムを意識している事業所が多いです。
認知症対応型デイサービスを利用するメリットは4つ

認知症対応型デイサービスを利用するメリットとしては、主に以下の4つが挙げられます。
- ご家族の気持ちが楽になる
- 機能訓練などで健康を維持できる
- 認知症の方に合わせた専門的なケアが受けられる
- 認知症の進行を遅くする効果に期待できる
1.ご家族の気持ちが楽になる
1つ目は、ご家族の気持ちが楽になることです。認知症の介護は、家族にとって大きな負担となります。徘徊や誤飲食する可能性も高く、常に危険と隣り合わせの生活を送る人もいるでしょう。
そんな時こそ、認知症対応型デイサービスを利用することで、家族の負担を大きく軽減し、介護者の心身のリフレッシュにもつながります。
2.機能訓練などで健康を維持できる
2つ目は、機能訓練などで健康を維持できることです。認知症対応型デイサービスでは、様々なレクリエーションや運動が行われます。これにより、利用者の身体機能の維持・向上を図ることが可能です。
また、日常生活動作の訓練も行われる場合があり、自立性を高める効果も期待できます。
3.認知症の方に合わせた専門的なケアが受けられる
3つ目は、認知症の方に合わせた専門的なケアを受けられることです。認知症の症状や状態に合わせて、個別ケアプランを作成し、機能訓練やレクリエーションが行われます。 専門的な知識と経験を持つスタッフが、日常生活のサポートや精神的なケアを行うため、安心して通わせることができるでしょう。
また、行動変容への対応や徘徊対策など、認知症特有の問題に対処するためのノウハウを持っている職員が揃っている点も大きなメリットといえます。
4.認知症の進行を遅くする効果に期待できる
4つ目は、認知症の進行を遅くする効果に期待できることです。人により個人差はありますが、様々な刺激を受けることで脳の活性化が促され、認知症の進行を遅らせる効果が期待できます。
認知症対応型デイサービスでは、利用者の状態に合わせた適切な刺激を与えることで、認知機能の維持・向上を目指しているのです。
認知症対応型デイサービスを利用する際の注意点

認知症対応型デイサービスを利用する際の注意点としては、以下の3つが挙げられます。
- 本人とスタッフとの相性に問題が生じる可能性がある
- 利用を希望しても断られてしまうケースもある
- すべての安全が保証されるわけではない
1.本人とスタッフとの相性に問題が生じる可能性がある
他の利用者との性格や価値観が合わなかったり、スタッフとのコミュニケーションがうまくいかず、ストレスや不満を感じるケースが考えられます。また、施設の雰囲気やプログラムなども、利用者によっては退屈に感じたり興味に合わない人も少なくありません。
2.利用を希望しても断られてしまうケースもある
認知機能が著しく低下し、常時監視が必要な状態の場合は、利用が難しいケースもあります。その他にも、重度の身体疾患があったり他者に危害を加える恐れがある場合なども同様です。
また、利用途中から認知症が著しく進行し、デイサービスでの生活が困難になった場合も利用できなくなる可能性があります。必ずしも、希望通りの場所に通えるわけではないということを、頭に入れておきましょう。
3.すべての安全が保証されるわけではない
デイサービスでは、専門のスタッフが利用者のケアや見守りにあたります。しかし必ずしも事故や怪我を防げるわけではありません。特に認知症の方は転倒や誤嚥といったリスクも高まります。
あくまでも、スタッフは利用者を見守るパートナーとして考え、すべての安全が保証されるわけではない点を理解しておきましょう。
認知症対応型デイサービスを利用した場合の1日の流れ
認知症対応型デイサービスでの利用者の1日は、その方の状態や施設のプログラムによって異なりますが、一般的には以下の様な流れになります。

【1日の流れの例】
午前:健康チェック、個別機能訓練、集団活動
午後:食事、入浴、レクリエーション、おやつ
施設によってプログラムは異なります。事前の見学や体験時にプログラム内容は確認しておきましょう。また、利用者の状態によって、参加できるプログラムが異なります。無理のない範囲で参加できるものを選択していきましょう。
【1日の流れの例】
午前:送迎により来所、健康チェック、個別機能訓練、集団活動
午後:食事、入浴、レクリエーション、おやつ、帰宅時間になったら送迎により帰宅
施設によってプログラムは異なります。事前の見学や体験時にプログラム内容は確認しておきましょう。また、利用者の状態によって、参加できるプログラムが異なります。無理のない範囲で参加できるものを選択していきましょう。
【料金の目安】利用状況や要介護度・事業所の体制による
認知症対応型デイサービスの料金は、利用者の状況や事業所の体制によって異なります。まず、利用頻度や滞在時間によって料金が変わってきます。さらに、要介護度によっても料金が異なるのが一般的です。要介護度が高くなるほど、手厚いケアが必要となるため、料金も高くなる傾向にあります。
また、事業所の人員体制や提供するサービス内容も、料金に影響を与える要因です。手厚い人員配置でより専門的なケアを行う事業所は、料金が高めに設定されていることが多くみられます。
サービス提供時間が「7時間以上8時間未満」の場合、利用者の要介護度及び事業所規模に応じた基本サービス費は以下の通りです。
| 1回の利用における基本サービス費(自己負担割合1割の場合) | |||
| 単独型 | 併設型 | 共用型 | |
| 要支援1 | 859円 | 771円 | 483円 |
| 要支援2 | 959円 | 862円 | 512円 |
| 要介護1 | 992円 | 892円 | 522円 |
| 要介護2 | 1,100円 | 987円 | 541円 |
| 要介護3 | 1,208円 | 1,084円 | 559円 |
| 要介護4 | 1,316円 | 1,181円 | 577円 |
| 要介護5 | 1,424円 | 1,276円 | 597円 |
※令和6年12月時点の介護報酬より算出(1単位=10円として計算)
この基本サービス費に加えて、利用者の状態に応じたサービス提供や事業所の体制に対する加算・減算が行われます。加えて、介護保険の適用外となるサービスについては、事業所ごとに設定された料金が発生します。食費やおむつなどにかかる費用は、自己負担となるケースが一般的です。
認知症対応型デイサービスの利用を検討する際は、事前に事業所に料金体系を確認し、自己負担額を把握しておくことが大切です。また、介護保険の適用範囲や利用者の状況に応じた各種減免制度についても、事業所や各市区町村の担当課に相談してみましょう。
事業所の選び方と基準にすべきポイント
認知症対応型デイサービス事業所を選ぶ際は、以下のポイントに注目し選ぶ基準とすることが大切です。
- 事業所の雰囲気や立地、設備などをチェック
利用者の方が落ち着いて過ごせる環境かどうかが重要なポイントです。 - スタッフの対応や専門性にも着目する
認知症ケアの経験が豊富で、利用者一人ひとりに寄り添った支援ができるスタッフがいるかどうかを確認しましょう。 - プログラムの内容や個別ケアの実施状況など
利用者の残存機能を活かしながら、楽しみや生きがいを感じられるプログラムが用意されているかどうかがポイントになります。 - 家族との連携体制
日頃の様子や変化を家族と情報を共有し、協力して支援を行える事業所を選びましょう。
認知症対応型サービスを利用しない場合に起こり得る本人への影響

認知症対応型デイサービスを利用しないと、以下のような本人への影響が心配されます。
- 1日の大半を自宅で過ごすことになり生活リズムが乱れる可能性がある
- 社会や他者との交流が減り認知機能の低下が加速する
- 定期的な運動や活動の機会が減り身体機能が衰える
- 健康管理ができず疾患がある場合は症状が進行する可能性がある
- 徘徊による転倒や交通事故に遭う危険性が高まる
- 家族の介護負担が大きくなり介護疲れが発生する可能性がある
住み慣れた自宅で過ごせることは、本人とってもご家族にとっても居心地がよく安心感もあるでしょう。しかし、認知症の方の生活を家族だけで支えるのは、安全性や認知症状の悪化などの観点からもオススメはできません。
認知症対応型デイサービスの利用が難しい場合は、訪問サービスの利用も1つの手段です。多くの選択肢を知ることから始めてみましょう。
【サービスの利用を検討している方】まずはケアマネジャーや居住地の担当課へお問い合わせください

この記事では、認知症対応型デイサービスの施設・サービスの特徴や料金などについて詳しく解説しました。
認知症対応型デイサービスは、認知症の方の残存能力を活かしながら、社会参加の機会を提供し、家族の介護負担を軽減するメリットがあります。利用を検討されている方は、まずはケアマネジャーや居住地の担当課へご相談ください。
特に、地域包括支援センターに配置されているケアマネジャーは、認知症の方やご家族の状況に合わせて、最適なサービスを組み合わせるプロフェッショナルです。介護の悩みを丁寧に聞き取り、解決に向けた情報提供やサポートを行います。
また、居住地の担当課へ相談すると、担当者から利用可能な公的サービスや手続きの方法について詳しく教えてもらうこともできます。
認知症対応型デイサービスを含む介護保険サービスは種類が多岐にわたり、制度も複雑なため、専門家のアドバイスを受けながら上手に活用していくことが何より大切です。まずは身近な専門家に相談してみてください。
参考元:厚生労働省「通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護」、厚生労働省:介護事業所・生活関連情報検索「認知症対応型通所介護」、認知症に関する相談先





