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第10期介護保険事業計画の論点整理|2040年を見据えた制度設計と新たな連携

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高齢化の進展が続く中、介護保険制度は持続可能な仕組みづくりがますます重要となっています。2027年度から始まる第10期介護保険事業計画は、2040年を見据えた長期的な視点で制度を見直す大きな転換点です。

本稿では、制度改正の議論で注目される「中長期推計の必要性」「医療介護連携の新たな枠組み」「令和8年度介護保険料の特例措置」に加え、「給付と負担の在り方」「人材確保と生産性向上」という核心的な課題についても整理します。

第10期介護保険事業計画に向けた準備事項

介護保険制度は3年ごとに計画が見直されます。2027年度から始まる第10期介護保険事業計画では、2040年を見据えた中長期的な推計が大きなテーマです。

都市部では高齢者人口の急増に伴う人材不足、過疎地域ではサービス基盤の維持など、地域ごとの課題が顕在化しています。こうした状況を踏まえ、今後は「時間軸」と「地域軸」を意識した将来推計が求められる段階です。

また、都道府県においても2040年に向けた中長期的推計を介護保険事業支援計画の記載事項へ追加することが検討されており、圏域単位等での調整・協議する場を開くことも検討されています。市町村のみでは対応が難しい広域的課題に取り組む仕組みとして、今後の重要な基盤になることが期待されるでしょう。

医療介護連携の新たな枠組み

高齢化が進むことで、医療と介護の双方を必要とする人が増加します。特に85歳以上人口の増加に伴い、慢性期医療と介護を切れ目なく支える体制が必須です。

第10期計画に向けた議論では、地域医療構想との一体的な検討や、市町村と都道府県の役割分担の明確化が大きな論点に。市町村は在宅医療・介護の連携体制を整備し、都道府県は二次医療圏単位での広域調整を担うことが求められます。これにより、退院支援から在宅復帰、急変対応までをつなぐ包括的な連携が可能となります。

一方で、協力医療機関を十分に確保できていない介護施設も存在しており、今後は地域医療構想調整会議などを活用したマッチングの仕組みづくりが課題です。

さらに、有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方も検討課題となっています。入居者保護や介護サービスの質の確保、いわゆる「囲い込み」対策などが議論されており、地域ごとのニーズを踏まえた計画策定が求められています。

令和8年度介護保険料の特例措置

2025年度(令和7年度)の税制改正により、給与所得控除の最低保障額が「55万円→65万円」に引き上げられることになりました。この改正は、住民税の課税状況に基づいて設定される介護保険料段階にも影響を及ぼします。

このままでは、一部の被保険者で介護保険料が下がり、市町村によっては保険料収入の不足が生じる懸念も。厳密な推計は困難ですが、粗い推計では、全被保険者ベースで保険料収入の1%程度の影響が出る可能性があり、また保険者によって影響額は異なります。

こうした財政上の不安定要因を回避するため、国は令和8年度の介護保険料に限り、控除引き上げの影響を遮断する特例措置を導入する方針です。これにより、合計所得金額が変わらなければ、令和7年度と同水準の保険料が維持されます。

市町村は、この措置を踏まえた財政計画の再構築と、被保険者への分かりやすい情報提供を進めることが求められます。

給付と負担の見直し―制度の持続可能性に向けて

第10期計画の最大の論点の1つが「給付と負担の在り方」です。高齢化の進展と財政の制約の中で、持続可能性を確保するための見直しが避けられません。

まず、利用者負担割合の見直しが検討されています。現状では利用者の9割超が1割負担(3割負担は3.6%、2割負担は4.6%)となっており、一定以上の所得者を対象に2割・3割負担を拡大する案も。負担能力に応じた公平性を高める狙いがある一方、生活への影響や利用控えを懸念する意見も強く、調整は難航しています。

また、ケアマネジメント(居宅介護支援)への利用者負担導入も議論されています。費用増加に対応するための導入案がある一方、利用抑制や中立性の低下を懸念する声も大きく、慎重な検討が必要です。

さらに、要介護1・2の軽度者に対する生活援助サービスを地域支援事業へ移行するかどうかも重要な論点です。人材を重度者に重点化する方針がある一方で、認知症高齢者などには専門職の関わりが欠かせないとして反対意見も多く、地域差が課題となります。

加えて、介護老人保健施設や介護医療院の多床室の室料負担見直しも進められています。既に一部施設で月額8千円相当の室料負担が導入されており、今後さらに検討が続くでしょう。

介護人材の確保と現場の生産性向上

2040年に向けて生産年齢人口が減少する中で、介護人材の確保と生産性向上は制度の持続可能性を支える要です。

人材確保策としては、処遇改善や育成支援、職場環境の整備による離職防止に加え、外国人材の受け入れ体制づくりも進行中です。中でもケアマネジャーは、従事者数が横ばいから減少傾向へと転じており、受験要件や研修負担の見直し、処遇の確保が急務とされています。

一方で、介護現場の生産性向上とDXの推進も欠かせません。介護ロボットやICTの活用をはじめ、タスクシェア・タスクシフティングの導入、事業所の大規模化・協働化、電子申請や届出の原則化など、現場改革が加速しています。さらに、経営状況の「見える化」を進めるためのデータベース整備も検討段階にあり、透明性と効率性の両立が期待されています。

今後の介護保険制度の展望

第10期介護保険事業計画は、2040年を見据えた中長期的な制度設計に向けた極めて重要なステップです。地域ごとの課題を踏まえた推計や圏域単位での調整、医療介護の連携強化に加え、給付と負担の見直し、人材確保と生産性向上は、制度の持続可能性を左右する中心的なテーマとなります。

これらの改革は、現役世代の負担を軽減しながら、高齢者が安心して暮らせる社会を築くための取り組みです。特に給付と負担の見直しについては、2025年末までに結論が求められており、今後の制度改正の議論と具体的な施策の行方に、引き続き注目していく必要があります。

参照元:厚生労働省 地域包括ケアシステムの深化、持続可能性の確保令和7年度税制改正に伴う介護保険制度の対応

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