厚生労働省は、物価高騰により経営が圧迫されている介護事業所に向けて、運営継続を後押しする補助金の支給を発表しました。燃料費や物品費の高騰が続くなか、特に訪問介護や通所介護では、移動コストや夏場の暑さ対策が重い負担になっています。
こうした状況を受け、政府は令和7年度補正予算案に278億円を計上し、介護サービスが地域で止まらないよう支援を実施。補助金の目的は、「必要な介護サービスを円滑に継続できるようにする」という点にあります。
この記事でわかること
- 訪問介護・通所介護への補助金額と、規模別の支給区分
- 移動経費・熱中症対策・災害備蓄など補助対象となる経費の範囲
- 賃上げ・体制強化・DXを含む介護支援パッケージの全体像
目次
訪問介護・通所介護へ手厚い補助:金額と対象経費
今回の補助金は、サービスの利用規模に応じて支給額が明確に分かれ、事業所が申請しやすい仕組みになっています。
訪問介護は最大50万円、移動経費も補助対象に
訪問介護は移動にかかる負担が大きいため、補助額をもっとも高く設定。補助金は、事業所の延べ訪問回数に応じて次のように区分されています。
- 200回以下:30万円
- 201〜2000回:40万円
- 2001回以上:50万円
また、移動距離が比較的短い集合住宅併設型の訪問介護については、補助額が一律20万円とされています。
通所介護の補助は最大40万円、利用規模に応じて支援
送迎にかかる負担は、事業所の規模や送迎の頻度によって大きく変動。そのため、補助額は延べ利用者数に応じて次のように段階的に決められています。
- 300人以下:20万円
- 301〜600人:30万円
- 601人以上:40万円
補助の対象になる費用
補助の対象となる費用は、「日々の業務に必要な支出」から「災害時の備え」まで、幅広く認められています。
サービス提供に欠かせない移動経費
- 訪問・送迎に必要な燃料費
- 車両の運行に伴う諸経費
日常的なサービス提供に不可欠なコストが対象です。
夏の暑さ対策
- ネッククーラー
- 冷感ポンチョ
- スポットエアコン
- サーキュレーターなど
熱中症リスクが高まる夏場に、安全に業務を行うための物品が補助の対象となっています。
災害への備え
- 飲料水・食料などの備蓄品
- ポータブル発電機など
「災害時にも使用できる状態で維持しておくこと」を前提にした備蓄・設備が認められている点が特徴です。
幅広いサービスが支援対象に
今回の補助金は、訪問介護や通所介護にとどまりません。居宅介護支援(ケアマネ事業所)には1事業所あたり20万円、特養・老健・介護医療院などの介護施設には定員1人につき6,000円を支給するなど、幅広いサービスに行き渡るよう設計されており、物価高騰による負担を横断的に支援する内容となっています。
介護支援パッケージとは?賃上げ・体制強化・DXの3本柱を整理
介護支援パッケージとは、介護現場の安定的な運営とサービスの質向上を目的に、政府がまとめた総合的な支援策です。
賃上げによる人材確保、業務負担の軽減につながる体制強化、さらにはDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進という3つの柱で構成されており、物価高騰や人手不足といった課題に直面する事業者を幅広く支える内容になっています。各施策が横断的に組み合わされることで、介護現場の改善を多角的に後押しする仕組みです。
介護職員の賃上げ
- 月1万円相当の賃上げ支援
- 生産性向上に取り組む事業者には+5,000円
人材不足が続くなか、働き続けられる環境づくりが目的です。
訪問介護・ケアマネの提供体制の確保
- 通所介護事業所の訪問機能の追加(多機能化)への支援
- 訪問介護のサテライト(出張所)設置支援
訪問介護の担い手が不足する地域を中心に、安定したサービス提供を確保する狙いがあります。
介護経営のDX(業務効率化)
- 見守り機器
- 介護記録ソフト
- ICT・テクノロジー導入支援
業務量の削減とサービスの質向上を後押しする取り組みとなっています。
今後の見通し:詳細は予算成立後に公表
今回紹介した補助内容は、いずれも政府が閣議決定した補正予算案に基づく情報です。現在は予算案の段階であり、臨時国会での成立後に、申請方法、受付期間、具体的な対象経費の範囲など、実務に必要な詳細が順次公表される予定です。
介護事業所としては、補正予算の審議状況を確認しつつ、今後示される通知や自治体からの案内に備えることが大切になります。
物価高騰と人材不足のなか、介護現場を多面的に支える施策
今回の補助金は、訪問介護では最大50万円、通所介護では最大40万円が支給されるなど、現場の経費負担を直接補う内容が特徴です。さらに、居宅介護支援事業所への20万円の補助や、施設系サービスで定員1人につき6,000円が支給される仕組みも用意され、幅広いサービス形態を横断して支援が行き渡るよう設計されています。
経費補助にとどまらず、賃上げや体制強化、DX推進といった将来の介護提供体制を支える施策も盛り込まれており、物価高騰と人材不足が進む現場にとって重要なパッケージです。今後、詳細の発表が進むにつれて、事業所としてどの支援が活用できるのかを見極め、適切に準備を進めていくことが求められます。
参照元:厚生労働省 令和7年度補正予算案の主要施策集





