介護サービスを提供する中で、経済的に厳しい状況にある利用者への支援として位置づけられているのが「生計困難者等に対する利用者負担軽減制度」です。本制度では、利用者の自己負担を軽減するだけでなく、事業所が負担した軽減分について区から補助金(公費助成)が支払われる仕組みとなっています。
本記事では、江東区の公式資料をもとに、実績報告・補助金申請において事業所が特に注意すべき実務ポイントを整理します。
この記事でわかること
- 軽減状況調書の提出期限・提出方法と令和8年1月からの電子申請対応
- 年2回の補助金交付申請の流れと年度をまたげない注意点
- 確認証の「提示」が必要など、実務で見落としやすいポイント
目次
制度の概要と対象要件
本制度の運用にあたっては、「誰が対象となるのか」を正確に理解しておくことが重要です。
対象事業所
東京都および江東区に対して利用者負担額軽減を実施する旨の申出を行っている、社会福祉法人または一般事業者です。
軽減対象者
江東区が発行した「生計困難者等に対する利用者負担額軽減確認証」を所持し、かつ、その確認証を提示したうえで対象事業所のサービスを利用した方が対象となります。
確認証は「所持しているだけ」では足りず、サービス利用時に提示されていることが制度適用の前提です。初回利用時や更新時に、必ず確認する運用を徹底しましょう。
【毎月必須】実績報告(軽減状況調書の提出)
利用者負担額の軽減を実施した場合、事業所は毎月の実績報告を行う必要があります。
提出期限
サービス提供月の翌月10日まで
提出書類
軽減状況調書:(社会福祉法人用/一般事業者用の指定様式)
提出方法
令和8年1月からは電子申請(LoGoフォーム)による提出が開始され、フォーム内に記載された注意事項を確認・遵守したうえで作成・提出する必要があります。
なお、LoGoフォームの利用が難しい場合は、作成した軽減状況調書を印刷し、介護保険課給付係あてに郵送で提出してください。個人情報を含むため、Faxやメールでの提出はできません。
期日までに提出できない場合は、必ず事前に連絡のうえ、速やかに提出することが求められます。
補助金交付申請の流れ(年2回)
事業所が負担した軽減分は、年2回の補助金交付申請によって精算されます。
申請時期
上半期・下半期(年2回)
申請の流れ
- 毎月、軽減状況調書を提出
- 区から対象事業所へ補助金交付申請の案内が届く
- 案内に沿って、期日までに申請書類を提出
注意点
上半期に申請しなかった分は下半期にまとめて申請することができますが、年度を超えての申請はできません。また、申請書類に不備があると全事業所への振込が遅れる可能性があるため注意が必要です。申請書の作成名義は、法人の場合は法人代表者名、事業者の場合は代表者名で作成する必要があります。
実務担当者が押さえておきたい運用ポイント
- 確認証は「提示」を必須とする運用フローを整備する
- 軽減実績は毎月必ず報告する(未報告=補助対象外)
- 電子申請では入力内容だけでなく、フォーム独自の注意事項を確認
- 補助金は「自動振込」ではなく、申請があって初めて交付される
- 年度末の申請漏れに注意する
制度は「チームプレー」で成り立つ
生計困難者等に対する利用者負担軽減制度の事務手続きは、「リレーのバトンパス」に例えることができます。毎月、事業所が「軽減状況調書」というバトンを正確に翌月10日までにつなぎ、最終的に年2回の「補助金申請」というアンカーが走り切ることで、初めて補助金というゴールに到達します。
どこか一箇所でも書類不備や提出漏れがあれば、他の事業所を含めた全体の振込が遅れる可能性がある点も、この制度の特徴です。制度の趣旨を理解し、正確で丁寧な事務対応を積み重ねることが、結果的に利用者支援と事業所運営の安定につながります。
日常業務の中で無理なく回せる体制を整え、制度を正しく活用していきましょう。





