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最新データで読み解く介護保険事務の現場|令和6年度調査結果解説

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介護保険制度は全国共通の仕組みとして設計されていますが、実際に保険料を集め、認定を行い、サービス提供を支えているのは各自治体の事務現場です。その運営のあり方は、地域の人口構成や財政状況、施策の考え方によって少しずつ異なる仕組みです。

令和6年度の介護保険事務調査では、保険料徴収の方法や要介護認定調査の進め方、事業所指定、滞納への対応など、制度運営の「実務」が具体的な数字として示されています。本記事では、こうした調査結果をもとに、介護保険事務の現場で何が起きているのかを整理し、自治体運営の特徴や傾向を読み解いていきます。

この記事でわかること

  • 介護保険料の徴収方法や仮徴収額の見直しなど、自治体が行っている徴収事務の工夫
  • 要介護認定調査における直接実施と外部委託の使い分けの実態
  • 滞納処分や給付制限など、制度運営を支える厳格な対応の現状

介護保険料徴収の実態|「納めさせる制度」を支える事務の工夫

介護保険制度の安定運営を支える根幹が、保険料徴収です。今回の調査では、徴収方法における実務レベルの工夫が、数字として明確に示されました。

まず、普通徴収(個人納付)の納付方法を見ると、98.3%(1,544保険者)が口座振替を実施しています。これは、未納・滞納リスクを最小限に抑えるための、事務現場における「ほぼ標準装備」と言える対応です。

また、仮徴収額の見直し状況を見ると、6月から変更している自治体が40.4%、8月から変更している自治体が50.4%と、年度の途中段階で仮徴収額を調整しているケースが多いことがわかります。

加えて、地方税が確定する前の段階で月割徴収を実施している自治体も29.4%に上っており、住民の負担感に配慮しつつ、徴収の確実性を高めるためのきめ細かな運用が各地で行われています。

要介護認定調査|「直接実施」と「委託」の使い分けが常態化

要介護認定調査は、公平性と迅速性の両立が求められる重要業務です。

新規認定については、保険者による直接実施が98.7%と高水準を維持しています。更新・区分変更調査でも直接実施は96.6%と高い水準ですが、加えて68.0%(1,069保険者)が指定居宅介護支援事業者等への委託を併用しています。

これは、要介護認定業務の件数増加に伴う業務量の増大や、自治体職員の確保が難しくなっている状況が背景です。直接調査を基本としつつ、外部リソースを活用した現実的な業務分担の形が定着していることを示しています。

事業所指定とサービス整備|「公募」は限定的、だが戦略的

地域のサービス基盤をどう整えるかは、自治体の介護行政における腕の見せどころです。

令和5年度中に事業所指定のための公募を実施した保険者は143(9.1%)にとどまっていますが、その内訳を見ると、定期巡回・随時対応型訪問介護看護が66件、小規模多機能型居宅介護が84件と、地域包括ケアシステムの中核を担うサービスが中心となっていることがわかります。

また、福祉用具購入や住宅改修に関しては、受領委任払い方式が72.4%(1,137保険者)で導入されています。これは、利用者が一時的に全額負担しなくて済む仕組みであり、利用者負担軽減と制度利用促進の両面で重要な役割を果たしていると言えるでしょう。

滞納処分の現実|制度は「優しい」だけでは成り立たない

介護保険制度は社会保障制度である一方、安定した財源を確保するためには厳格な対応も欠かせません。調査結果によると、滞納処分として差押えの決定が行われたのは21,291人に上り、そのうち16,036人分が滞納していた保険料の充当に充てられています。

さらに、滞納者に対する給付制限として、保険給付の支払一時差止が89人、給付額の減額等が10,536人に対して実施されており、制度運営が単なる善意に依存するものではなく、法令に基づいた厳格な執行のもとで成り立っていることが、これらの数字からも読み取れます。

独自給付・軽減策|境界層をどう支えるか

低所得高齢者支援の中でも注目されるのが、生活保護に至る一歩手前の層を支える「境界層措置」です。今回の調査では、境界層措置の対象者は7,492人に上っており、その内容を見ると、居住費の減額が6,414件、食費の減額が3,889件と、居住や食に関わる費用負担の軽減を中心に、実務として一定の規模で機能していることがわかります。

一方、市町村独自の給付である市町村特別給付を実施している自治体は全体の9.4%(147保険者)にとどまっており、こうした独自施策の有無には、自治体ごとの財政状況や政策判断の違いが色濃く反映されています。

介護保険運営は「全国共通制度×地方裁量」の集合体

介護保険制度は全国一律の制度設計を持ちながら、その運営は極めてローカルです。たとえるなら、同じ型紙でオーダーメイドのスーツを全国民分を仕立てる作業に近いものと言えるでしょう。

制度という「型」は国が示していますが、負担をどこまで軽減するのか、どのサービスを重点的に整備するのか、また事務をどの程度まで効率化するのかといった運営上の判断は、各自治体の考え方や現場の対応力に委ねられています。

今回の介護保険事務調査は、そうした「仕立て」の違いを具体的な数字として可視化したものと言えるでしょう。制度の仕組みを理解するだけでなく、地域ごとの違いを前提に読み解く視点を持つことが、今後の介護政策や事業運営の双方において、ますます重要になっていくと考えられます。

参照元:厚生労働省 令和6年度介護保険事務調査の集計結果について

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