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特別養護老人ホーム入所申込者の最新動向|令和7年度調査から読み解く「待機者減少」の本当の意味

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特別養護老人ホームは、重度の介護を必要とする高齢者の生活を支える、介護保険制度の根幹をなす施設です。厚生労働省が公表した「特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和7年度調査)」からは、特別養護老人ホームをめぐる環境が大きな転換期にあることが読み取れます。本記事では、最新調査の数値を正確に整理したうえで、申込者数減少の背景や地域差、データを読み解く際の留意点について解説します。

この記事でわかること

  • 令和7年度調査における特別養護老人ホームの入所申込者数と、過去10年の推移
  • 申込者数が減少している背景にある公的・構造的要因
  • 都道府県別の傾向と、データを読み解く際の注意点

入所申込者数は長期的に大きく減少

令和7年度調査(令和7年4月1日時点)における、要介護3以上の入所申込者数は約20.6万人でした。前回調査(令和4年度)の約25.3万人と比較すると、約4.7万人、率にして約18%の減少となっています。

さらに、特例入所の対象となる要介護1・2の申込者(約1.8万人)を含めた全申込者数は約22.5万人です。この水準は、2013年度に約52.4万人でピークを迎えた後、10年余りで半数以下にまで減少しており、待機者数の縮小は一時的な現象ではなく、長期的な傾向であることがわかります。

在宅で待機している人は約9.5万人

申込者の生活状況に注目すると、在宅で生活しながら特別養護老人ホームに申込みをしている方は、要介護3以上で約8.6万人、要介護1・2を含めると合計で約9.5万人にのぼります。

これは、「すぐに入所が必要な状態」だけでなく、以下のような背景をもつ申込みが一定数含まれていることを示す結果です。

  • 介護の重度化を見据えた早期申込み
  • 家族介護の限界を見越した備え
  • ケアマネジャーや地域包括支援センターからの助言

申込者数の背景には、切迫度の異なるさまざまな事情が存在しています。将来への備えとして早めに動く層も含まれている点は、数字を読み解くうえで重要な視点です。

申込者数減少の背景にある公的・構造的要因

申込者数の減少は、在宅サービスの充実や家族の意識変化だけで説明できるものではありません。出典資料では、以下のような公的・構造的要因も明示されています。

1つは、特別養護老人ホームの計画的な整備が進んだことです。地域ごとの整備計画に基づき、一定数の施設整備が行われた結果、過去のような大規模な滞留が緩和されてきました。

また、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など、特別養護老人ホーム以外の居住系施設が地域に広がったことも重要な要因です。「特別養護老人ホーム一択」だった時代から、複数の選択肢を比較しながら住まいを選ぶ時代へと移行しています。

さらに、地方部を中心に、高齢者人口そのものが減少に転じている地域があることも、申込者数の減少に影響しています。少子高齢化が進んだ結果、高齢者数のピークを越えた自治体では、需要の現れ方そのものが変化していると言えるでしょう。

都道府県別に見ると一様ではない

全国平均では、要介護認定者数に占める入所申込者の割合が10.6%から8.6%へと2.1ポイント低下していますが、都道府県別に見ると状況は一様ではありません。

滋賀県のように大幅な低下(▲14.2ポイント)が見られる地域がある一方、石川県(+2.0ポイント)、福井県(+0.5ポイント)、長崎県(+0.4ポイント)、奈良県(+0.3ポイント)など、前回調査より申込者の割合が上昇している地域も存在します。

人口動態、施設整備状況、在宅サービスの充実度など、地域ごとの条件によって、特別養護老人ホームニーズの現れ方が異なる点は、制度を読み解くうえで欠かせない視点です。

数値を読む際に押さえておくべき注意点

申込者数には、重複申込や死亡による未削除分を可能な限り除外する努力がなされていますが、それでもなお、「今すぐ入所が必要な人」だけを示す数字ではありません。

「条件の良い施設があれば検討したい」「将来の環境変化に備えたい」といった層も含まれており、この数値をそのまま「深刻な待機状況」と結び付けるのは適切ではないことが分かります。

特別養護老人ホームをめぐる環境変化をどう捉えるか

今回の調査結果が示しているのは、特別養護老人ホームの需要が単純に減ったという話ではありません。かつて一本道だった入所の流れが、複数の選択肢へと分散し始めている状況と捉えるのが適切でしょう。在宅サービス、居住系施設、地域資源を組み合わせながら、高齢者や家族が自ら選択する時代に入っています。

そのため、制度データを単なる統計として見るのではなく、「どのような選択肢があり、どの段階で何を考えるべきか」を整理して理解する視点が、これまで以上に重要になっています。特別養護老人ホームをめぐる最新動向は、これからの介護のあり方を考えるための重要な手がかりと言えるでしょう。

参照元:厚生労働省 特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和7年度)に関する調査結果を公表します

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