東日本大震災により被災した高齢者の介護サービス利用を支えるため、厚生労働省は2026年2月、介護保険の利用者負担や保険料の減免措置に対する財政支援を2026年度(令和8年度)も継続する方針を示しました。
自治体が実施している減免制度を国が財政面で支援することで、被災地域の高齢者や避難生活を続ける人が、介護サービスを継続的に利用できる環境を維持することが目的です。今回の通知では、利用者負担免除の対象期間や保険料減免の扱い、所得判定の考え方など、制度運用に関する具体的な内容が示されています。
この記事でわかること
- 2026年度も継続される介護保険の利用者負担免除・保険料減免に対する財政支援の内容
- 避難指示区域の指定解除時期による対象期間や所得判定基準の違い
- 利用者負担免除証明書(認定票)の交付・更新手続きの流れ
目次
避難指示区域の被保険者に対する利用者負担免除の継続
東日本大震災に伴う原子力災害などの影響を受けた地域では、介護サービス利用時の自己負担を免除する措置が継続されています。今回の通知では、この利用者負担免除措置に対する財政支援が2026年度も継続される予定です。
対象期間
避難指示区域の指定解除時期によって異なります。
平成27年(2015年)までに指定解除された区域
2026年(令和8年)3月31日までの利用者負担免除措置が対象
平成28年(2016年)以降に指定解除された区域(帰還困難区域を除く。帰還困難区域は別枠で対応)
2027年(令和9年)2月28日までの利用者負担免除措置が対象
ここで重要なのは、平成28年に指定解除された区域が後者に含まれる点です。つまり、平成28年に解除された区域は、他の地域よりも長い期間、減免措置への財政支援が継続される仕組みとなっています。
また、この措置は通常の介護サービスだけでなく、介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)の利用者負担にも適用されます。被災地域の高齢者が安心して介護サービスを利用し続けるための重要な支援策といえるでしょう。
保険料減免は復興段階に応じた段階的な支援
介護サービス利用時の自己負担だけでなく、介護保険料の減免措置についても財政支援が継続されます。たとえば、平成29年に避難指示が解除された区域については、2026年度の保険料の半額減免に必要な費用について国が財政支援を行う予定です。これは、復興の進展に合わせて段階的に支援を縮小していく「激変緩和措置」の一環として位置付けられています。
なお、平成28年までに指定解除された区域については、保険料減免に対する財政支援はすでに終了していることも明記されています。このように、区域の解除時期に応じて支援内容が段階的に整理される仕組みです。
減免措置の対象となる所得判定の考え方
減免措置の対象者については、一定の所得制限が設けられています。具体的には、合計所得金額が633万円以上の上位所得層は原則として対象外となります。ただし、この所得判定では単純な所得額だけで判断するのではなく、土地の収用交換や居住用財産の売却などに伴う特別控除がある場合は、その控除額を差し引いた後の金額で判定される仕組みです。
たとえば、居住用財産の譲渡による3,000万円特別控除などがある場合は、その控除後の所得額で判断されるため、一時的な資産売却によって減免対象から外れてしまうことを防ぐための配慮がされています。
減免を受けるために必要な証明書と更新手続き
利用者負担の減免を受けるためには、介護サービス利用時に利用者負担免除証明書(認定票)などの提示が必要です。帰還困難区域に住所を有していた被保険者には、2027年(令和9年)2月28日までの有効期限が記載された認定票を交付。旧避難指示区域などの対象者には、まず2026年(令和8年)7月31日までの有効期限が記載された認定票が交付されます。
その後、所得判定の結果、引き続き減免対象となる場合は、2027年(令和9年)2月28日までの認定票が更新交付される仕組みとなっています。そのため、対象者は認定票の有効期限を確認しながら利用することが重要です。
転出した被災者も引き続き対象
今回の減免措置は、被災地域に住み続けている人だけでなく、震災後に他の市区町村へ転出した被保険者についても対象に含まれます。避難生活の長期化や生活環境の変化を踏まえ、居住地が変わった場合でも減免措置が継続して適用される点は、被災者支援制度の重要な特徴といえます。
被災者の介護サービス利用を支える制度の継続
今回の通知では、利用者負担免除や保険料減免に対する財政支援を2026年度も継続する方針が示されました。対象期間の整理や所得判定の考え方、認定票の更新手続きなど、制度の具体的な運用も明確化されています。
なお、2026年度の最終月にあたる2027年(令和9年)3月分の取り扱いについては、今回の通知時点では未定とされており、「第2期復興・創生期間」以降の方針や次年度予算の決定を踏まえて、改めて通知される予定です。
東日本大震災から長い年月が経過していますが、被災地域では依然として生活再建や地域医療・介護体制の維持が課題となっています。今回の財政支援の継続は、被災した高齢者が安心して介護サービスを利用できる環境を支える重要な制度の1つといえるでしょう。





