高齢者施設では、感染症はいつ起きても不思議ではありません。そのため、「起きてから考える」のではなく、起きたときにどう対応するかを、あらかじめ知っておくことが大切です。
葛飾区では、感染症が施設内で広がった場合に備えて、報告の目安や手続き、収束までの対応の流れが定められています。これらを事前に把握しておくことで、いざというときも落ち着いて行動しやすくなるでしょう。
本記事では、葛飾区の公式ルールをもとに、施設の担当者が知っておきたいポイントを、できるだけやさしく分かりやすく解説していきます。
この記事でわかること
- 葛飾区で保健所への報告が必要になる感染症別の基準(ノロウイルス・インフルエンザ・疥癬など)
- 集団発生時の報告手順と、収束まで続ける継続報告の流れ
- 夜間・休日に緊急連絡が必要な場合の対応先
目次
どんな場合に報告が必要になるのか
感染症が施設内で広がると、施設だけで対応するのが難しくなる場面もあります。そのようなときは、早めに保健所と情報を共有することが、感染拡大を防ぎ、重い症状や死亡のリスクを抑えるうえで重要です。また、専門的な助言や必要な支援を早い段階で受けられることも、大きな安心につながります。
集団発生の報告は、「何か問題が起きたから行うもの」ではありません。施設や利用者の安全を守るために、外部の力を借りるための大切な手続きと考えるとよいでしょう。
感染症ごとの報告基準について
感染症の種類ごとに、「この段階で報告が必要」という目安が定められています。まずは、どのようなケースが報告対象になるのかを確認しておきましょう。
ノロウイルス・感染性胃腸炎など
次のいずれかに当てはまる場合は、保健所への報告が必要です。
- 1週間以内に、死亡した方や重い症状の方が2名以上いる場合
- 感染している、または感染が疑われる方が10名以上、または利用者の半数以上に広がった場合
- 上記の人数に満たなくても、明らかに普段より発生が多いと判断される場合
インフルエンザ
次のような状況では、報告の対象となります。
- 死亡者が発生した場合
- 7日以内に、入院が必要となった方が2名以上出た場合
- 発症者が10名以上、または利用者の半数以上に達した場合
- 通常の流行状況を明らかに上回っていると考えられる場合
その他の感染症
新型コロナウイルス感染症を含み、次のようなケースが該当します。
- 死亡者や入院が必要な方が複数発生した場合
- 利用者の半数以上が発症した場合など
なお、結核・麻しん(はしか)・風しんについては、別途定められた報告ルールがあり、「その他の感染症」には含まれません。
疥癬(かいせん)は早めの対応が大切です
疥癬は、ほかの感染症と比べて少ない人数でも報告が必要となる点に注意が必要です。通常型の場合でも、2か月以内に2名以上の発症が確認された場合は、保健所への報告対象となります。また、角化型疥癬については、1名の発生が確認された時点で報告が必要です。
なお、疥癬の報告は専用の入力フォームでは行いません。決められた様式の「有症状者リスト」をメールで提出する運用となっているため、あらかじめ把握しておくと安心です。
感染症が疑われたときの最初の対応
感染症の集団発生が疑われる場合は、まず専用の報告フォームに必要事項を入力し、送信します。その後、フォームを送ったことを伝えるために、保健所(感染症予防係)へ電話で一報を入れます。ここで大切なのは、この最初の報告で対応が終わるわけではないという点です。感染症の状況が落ち着くまで、継続して経過を伝えていく必要があります。
集団発生時は継続した報告が必要
葛飾区では、感染症の種類に応じて、どのように、いつまで報告を続けるかがあらかじめ決められています。最初の報告をしたあとも、状況が収束するまでは、継続して経過を伝えることが必要です。
たとえば、ノロウイルスなどの感染性胃腸炎の場合は、新たな発症が確認されなくなってから4日が経過するまで、毎日、健康調査票をメールで提出します。症状が落ち着いてきたように見えても、この期間は報告が必要です。
インフルエンザやその他の感染症については、収束するまでの間、週に1回、専用フォームから状況を報告します。発症者が減ってきた場合でも、保健所が収束と判断するまでは報告を継続します。
疥癬についても同様で、保健所が収束と判断するまで、有症状者リストをメールで提出し続けなければなりません。「少し落ち着いてきたから、もう連絡しなくても大丈夫」と自己判断してしまうのは誤りです。収束の判断は保健所が行うものであり、その判断が出るまでは、継続した報告が求められます。
夜間・休日の緊急連絡先も必ず確認しておきましょう
感染症の状況によっては、保健所の開庁時間外であっても、すぐに連絡が必要になる場合があります。たとえば、食中毒が疑われるケースや、重い症状の方・死亡者が発生した場合、また緊急性の高い集団発生が起きた場合などです。
このようなときは、時間帯を問わず対応できる窓口として、東京都医療機関案内サービス「ひまわり(電話番号:03-5272-0303)」に連絡します。
なお、平日の8時30分から17時15分以外の時間帯では、まず「ひまわり」へ連絡することが基本となります。いざというときに慌てないよう、あらかじめ連絡先を共有しておくと安心です。
感染症対応の基本は「報告」と「継続」
感染症の集団発生が疑われた場合は、できるだけ早い段階で保健所へ報告し、その後も状況が収束するまで、継続して情報を共有していくことが重要です。早めの報告と適切な連携により、感染の拡大や重症化を防ぎやすくなります。
また、報告は一度行えば終わりではありません。感染症の種類に応じて定められた方法で、経過を伝え続けることが求められます。収束の判断は保健所が行うため、施設側の判断で報告を止めてしまわないよう注意が必要です。
日頃から職員間で報告の基準や流れを共有しておくことで、いざというときも落ち着いて対応しやすくなります。こうした備えが、利用者やご家族、そして職員自身の安心と安全を守ることにつながります。
参照元:葛飾区 社会福祉施設等での感染症集団発生時の保健所への報告方法





