「父が、物忘れすることが多くなってきた…」「母の足腰が弱く、今後も元気でいられるか心配…」このような不安を抱えていませんか?ご家族の身体や認知面について不安がある場合、介護予防サービスを活用することで早めに対策を講じることができます。
介護予防は、身体機能の維持・向上や他者とのコミュニ―ケーションの機会を増やすことにより、今後の日常生活をいきいきと過ごしやすくしていくための取り組みです。適切な運動、栄養管理、社会参加などを意識した介護予防に努めることで、要介護状態になるのを防いだり遅らせる効果も期待できます。
そこで、この記事では介護予防に関心のある方へ向けて、介護予防に活用できる具体的なサービスの種類を中心に解説していきます。ご自身や大切な方の介護予防の参考として、ぜひ最後までお読みください。
これからの高齢社会に重要な「介護予防」とは?

介護予防とは、高齢者が自立した生活を送るための支援です。介護予防には大きく3つの目的があります。
| 介護予防の目的 |
|---|
| 1.自立した生活に必要な精神機能を、維持・向上させる 2.介護が必要になるリスクを、できる限り軽減させる 3.社会参加や人との交流を重視し、孤独の予防を通して「生活の質」を高める |
介護予防は、要介護状態になるのを遅らせたり防いだりするだけでなく、他者との交流や活動を通して刺激をうけながら、メリハリのある生活を送ることができます。
目次
なぜ高齢者に介護予防が必要なのか?

高齢者に介護予防が必要な理由として、主に3つの理由が挙げられます。
| 介護予防が必要な理由 |
|---|
| 1.自立した生活を送れることで、尊厳を維持できる 2.家族の介護負担を軽減できる 3.長期的な医療費を抑えられる |
自分で身の回りのことができるということは、高齢者にとって尊厳を保つ上で非常に重要です。介護が必要になると、行動が制限され精神的な負担も大きくなります。さらには、家族に過度な負担がかかるのをできる限り軽減できるため、高齢者にとっても家族にとっても介護予防は重要といえます。
また、経済的なメリットが大きいことも介護予防が必要な理由です。要介護状態になった場合、医療費が大幅に増加する可能性があります。介護予防によって、要介護状態になることを遅らせたり防いだりすることで、長期的な医療費を抑制することができるでしょう。
介護予防に関する国の取り組み

世界有数の長寿国である日本では、これまでの団塊世代が75歳以上となる2025年を目途に、住み慣れた地域で高齢者が自分らしい暮らしを維持できるよう、様々な取り組みに力を入れてきました。
その取り組みの一つが、「介護予防」です。現在は、地域の中で利用者の多様なニーズに沿った支援やサービスの充実が重要と考えられています。
平成29年4月介護保険制度の改正により、総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)が始まり、より住み慣れた地域の中で介護予防が必要な方が効果的な支援を受けられるようになりました。
予防給付制度と総合事業とは

介護予防サービスは、「予防給付制度」と「総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)」の2つの制度に基づいて提供されています。それぞれのサービスを提供できる対象者には条件があります。
この記事を参考にして、どちらの制度が使えるのか理解しておきましょう。

予防給付制度
予防給付制度は、全国一律の基準に基づいたサービスが提供されます。利用するには、市町村の窓口で要介護認定の申請をして、要支援1・2と認定される必要があります。
| 対象者 | 主なサービス |
|---|---|
| 要支援1・2の認定を受けた方 | ・介護予防訪問看護 ・介護予防福祉用具貸与 ・介護予防通所リハビリテーション 等 |
※要介護1~5と認定された場合は、予防給付にはなりません。「介護給付」のサービスが利用できます。
総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)
総合事業(正式な名称は、介護予防・日常生活支援総合事業)では、市町村が主体となって、事業者ごとに地域や利用者のニーズに合わせた多様なサービスが提供されます。
この事業の特徴は地域の資源を活用し、個々に合わせてきめ細かなサポートがあることです。総合事業はさらに細かく「介護予防・生活支援サービス事業」と「一般介護予防事業」の2つに分けられます。
介護予防・生活支援サービス事業
介護予防・生活支援サービス事業は、以下に該当する方が利用可能なサービスです。
| 対象者 |
|---|
| ・要支援1・2と認定された方 ・基本チェックリストにより、事業対象と判断された方 |
基本チェックリストとは、市町村や地域を含む支援センター等で相談した被保険者に対して、利用すべきサービスの振り分けをするために活用するものです。必ずしも要介護の認定を受けなくとも、チェックリストでサービスの利用が適切と判断された場合に、介護予防・生活支援サービスが利用できます。
※第2号被保険者は、基本チェックリストを使用せずに要介護認定の申請が必要です。
参考元:「厚生労働省老健局振興課」介護予防・生活支援総合事業ガイドライン、「厚生労働省」基本チェックリスト
介護予防・生活支援サービス事業では、以下のようなサービスが提供されています。
| サービス | 内容 |
|---|---|
| 訪問型サービス | ・現行の訪問介護と同様のサービス ・訪問型事業者(ホームヘルパー)やボランティアによる生活援助等 ・保健師等による居宅での相談指導 ・ボランティアによる移送前後の生活支援 |
| 通所型サービス | ・現行の通所介護と同様のサービス ・事業所やボランティアによる通所介護サービス ・市町村の保健・医療の専門職による通所介護サービス |
| その他の生活支援サービス | ・栄養の改善が目的の配食サービス ・住民ボランティア等による見守りや安否確認サービス など |
介護サービス事業者だけではなく、自治体やボランティア等もサービス提供の担い手になれるのが特徴です。対象者が異なるため、全てのサービスが一律に提供できる訳ではありません。
一般介護予防事業
一般介護予防事業は、主に65歳以上の高齢者を対象とした事業であり、介護予防に関する「知識の普及」や地域における「介護予防活動の推進」を目的としています。また、この事業は高齢者の閉じこもりや要介護状態への移行を防ぐことも狙いとしています。
介護予防・生活支援サービス事業とは異なり、一般介護予防事業は65歳以上の高齢者であれば誰でも参加可能です。各自治体や地域住民が主体となり、以下のような取り組みが行われています。
| 一般介護予防事業の取り組み例 |
|---|
| ・介護予防に関するパンフレットの配布や講演会の開催 ・運動や栄養、口腔ケアなどの介護予防に関する教室の開催 ・高齢者が気軽に集まり、レクリエーション活動や健康相談等ができる介護予防サロンの運営 |
住んでいる地域によって行われている取り組み内容に違いがあります。そのため、具体的にどのような内容で実施されているのか知りたい場合は、自治体の窓口にお問い合わせください。
介護予防サービスの種類や内容を解説

要支援者1・2、またはチェックリストで事業対象者となった方が利用できる「介護予防サービス」にはいくつかの種類があります。その中でも代表的なサービスを種類を大きく4つに分類し、それぞれのサービス内容を詳しく説明していきます。
| 介護予防サービスの種類 |
|---|
| 1.自宅で受けられる介護予防サービス 2.施設で受けられる介護予防サービス 3.地域密着型の介護予防サービス 4.その他の介護予防サービス |
1.自宅で受けられる介護予防サービス
自宅で受けられる介護予防サービスは、予防給付制度と総合事業を合わせて5つ挙げられます。
| 総合事業 | 予防給付制度 |
|---|---|
| 訪問型サービス | ・介護予防訪問入浴介護 ・介護予防訪問看護 ・介護予防訪問リハビリテーション ・介護予防居宅療養管理指導 |
「訪問型サービス」のみ総合事業で、他の4つのサービスは「予防給付制度」にて提供されています。これらのサービスは、自宅での生活を続けながら介護予防のサポートが受けられる点がメリットと言えます。
それぞれのサービス内容について、さらに詳しく見ていきましょう。
訪問型サービス(総合事業)
訪問型サービスは、総合事業の一環として提供される在宅サービスです。要支援者や事業対象者(基本チェックリストで該当した高齢者)が対象となります。総合事業では、利用者の多様な生活支援ニーズに対し適切なサービスを提供することが必要です。
そのため、市町村ごとにサービスが類型化されており、サービスごとに基準や単価が定められています。その一例として、以下のようなサービスが提供されています。
| 埼玉県川口市 | 北海道札幌市 | 大阪府大阪市 |
|---|---|---|
| ・介護予防相当サービス ・基準緩和サービス(家事のみ) | ・訪問介護相当型 ・訪問指導 ・訪問生活動作指導 ・訪問栄養指導 | ・介護予防型訪問サービス ・生活援助型訪問サービス ・サポート型訪問サービス |
参考元:埼玉県川口市、北海道札幌市、大阪府大阪市
住んでいる地域によってサービス内容に違いがあるため、詳しく知りたい場合は地域包括支援センターや、各自治体の窓口にお問い合わせください。
介護予防訪問入浴介護(予防給付)
介護予防訪問入浴介護は、自宅での入浴が難しい方に向けたサービスです。移動入浴車で自宅を訪問し、専門スタッフが入浴介助を行います。
移動入浴車には浴槽が備え付けられており、利用者の自宅に持ち込んで使用します。利用者一人ひとりの状態に合わせて、湯温や水位などの入浴環境を調整することで、安心して入浴を楽しめる点は大きなメリットといえるでしょう。
入浴は心身のリフレッシュや清潔を保つために重要です。訪問入浴介護を利用することで、住み慣れた自宅で入浴できるため、生活の質の向上にもつながります。
介護予防訪問看護(予防給付)
介護予防訪問看護は、看護師が自宅に訪問しサービスを提供します。
| 介護予防訪問看護のサービス内容 |
|---|
| ・健康状態の観察や健康管理、医療的な行為 ・リハビリや日常生活動作の訓練 ・療養上の生活や、看護・介護方法に関する相談やアドバイス 等 |
これらのサービスを通して、介護予防訪問看護は医療面の管理だけでなく、自立に向けた機能回復のサポートも行います。
看護師が定期的に利用者を訪問することで、健康状態の変化に早期に気づき、迅速な対応につなげることが可能です。
介護予防訪問リハビリテーション(予防給付)
介護予防訪問リハビリテーションは、利用者の心身機能の維持・回復を目指すサービスです。理学療法士や作業療法士などリハビリの専門職が自宅を訪問し、以下のようなサービスを提供します。
| 介護予防訪問リハビリテーションのサービス内容 |
|---|
| ・関節や筋肉の可動域の維持・改善・筋力アップのための運動指導 ・日常生活動作の練習と自立に向けたアドバイス ・利用者の状態に合わせた、自宅でのリハビリ方法の提案 |
このサービスの大きな特徴は、利用者の生活環境に合わせたリハビリが実施できる点です。また、利用者の不安の状態に応じて、自宅で継続できるリハビリ方法をアドバイスしてくれるので、自立した生活の支援につなげることが可能です。
介護予防居宅療養管理指導(予防給付)
介護予防居宅療養管理指導は、医療専門職が自宅を訪問し、利用者の健康管理や療養上の指導を行うサービスです。以下のような専門職が、それぞれの視点から利用者をサポートします。
| 介護予防居宅療養管理指導のサービス内容 |
|---|
| ・健康状態の確認、医学的な管理やアドバイス(医師または歯科医師) ・服薬管理や薬の効果・副作用に関する説明(薬剤師) ・栄養状態の評価や食事の療養指導によるアドバイス(管理栄養士) ・口腔ケアの説明や管理指導(歯科衛生士) |
これらの専門職が連携し、利用者の状況に合わせた柔軟な在宅でのケアを指導をすることで、利用者の日常生活を支援します。また、専門職が定期的に訪問することで利用者の状態変化に早期に気づき、必要に応じて医療サービスにつなげることもできます。
介護予防居宅療養管理指導は、利用者の健康管理と療養生活を多角的にサポートし、在宅での自立した生活を助けるサービスと言えます。
2.施設で受けられる介護予防サービス
介護予防サービスの中には、自宅だけでなく施設で受けられるサービスもあります。施設で受けられる主な介護予防サービスは、以下の5つです。
| 総合事業 | 予防給付制度 |
|---|---|
| 1.通所型サービス | 2.介護予防通所リハビリテーション 3.介護予防短期入所生活介護 4.介護予防短期入所療養介護 5.介護予防特定施設入居者生活介護 |
このうち、「通所型サービス」については総合事業において提供され、それ以外は「予防給付制度」にて提供されるサービスです。自宅で受けられる介護予防サービスとは異なり、専門的な設備やスタッフのいる環境において集中的なサービスを受けられるのが特徴です。
また、在宅での介護負担を軽減することにもつながるために、自宅での生活を継続しやすくなります。
①通所型サービス(総合事業)
通所型サービスは、総合事業の一環として提供される施設サービスです。訪問型サービスと同様に、要支援者や事業対象者(基本チェックリストで該当する高齢者)が対象となり、市町村ごとにサービスが類型化され、サービス基準や単価が定められています。
| 埼玉県川口市 | 北海道札幌市 | 大阪府大阪市 |
|---|---|---|
| ・介護予防相当サービス ・基準緩和サービス(機能訓練のみ実施) | ・通所介護相当型 ・時間短縮型(運動や機能訓練に特化した支援) | ・介護予防型通所サービス ・短時間型通所サービス ・選択型通所サービス |
このように、各自治体ごとに提供するサービス内容が異なります。実際にどのようなサービスがあるかは、住んでいる自治体に確認してください。
➁介護予防通所リハビリテーション(給付予防)
介護予防通所リハビリテーション(デイケア)は、介護老人保健などに通い、心身の機能回復を目指すサービスです。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ専門職が、利用者一人ひとりに合わせたプログラムを提供し、運動機能の向上と日常生活動作の改善を図ります。
施設までの送迎サービスがあるため、自力での通院が難しい方でも利用しやすいのが特徴です。また、定期的な通所により、利用者の心身の状態を継続的にチェックし、変化にいち早く対応できます。
➂介護予防短期入所生活介護(予防給付)
介護予防短期入所生活介護は、特別養護老人ホームなどの施設に短期間の宿泊をしながら、日常生活上の支援を受けられるサービスです。このサービスには、主に以下の2つの目的があります。
| 介護予防短期入所生活介護サービスの主な目的 |
|---|
| ・介護者の負担軽減(レスパイトケア) ・利用者の心身機能の維持・向上 |
宿泊する期間は、利用者や家族のニーズに合わせて調整可能です。施設では日常生活支援に加え、リハビリや機能訓練も行われており利用者の心身の健康維持を図ります。
また、このサービスを利用することで介護者の負担も軽減できます。自宅での介護は、住み慣れた環境で穏やかな生活を過ごしやすい一方、利用者のニーズに合った設備や人員が整いづらく、想像以上に大変な部分もあります。そのため、介護予防短期入所生活介護サービスを利用することで、心身共にリフレッシュする機会が得られるでしょう。
④介護予防短期入所療養介護(予防給付)
介護予防短期入所療養介護は、医療ニーズのある高齢者が老人介護保健施設や医療機関に短期入所し、医学的管理の下で介護予防を行うサービスです。医師や看護師による健康管理、リハビリテーション、日常生活支援などが提供され、利用者の心身機能の維持・改善を図ります。
利用期間は数日から数週間程度で、在宅生活の継続や自立した生活の維持・向上を支援の目的としています。
⑤介護予防特定施設入居者生活介護(予防給付)
介護予防特定施設入居者生活介護は、有料老人ホームや軽費老人ホーム、サービス付き高齢者住宅などの特定施設に入居している要支援者に対して、介護予防を目的とした生活支援や機能訓練などのサービスを提供するものです。施設スタッフによる入浴、排泄、食事等の介助、健康管理、生活相談、機能訓練、レクリエーション活動等が行われます。
入居者の心身機能の維持・向上を図り、自立した生活を支援するのがこのサービスの特徴です。提供される内容は、入居者の心身の状況や介護予防サービス計画に基づいて実施されます。
3.地域密着型の介護予防サービス
地域密着型の介護予防サービスは、要支援1・2の方を対象に、住み慣れた地域で継続的にサービスを受けられるよう設計されています。身近な場所で顔なじみのスタッフから支援を受けられることが特徴です。
小規模な事業所が多いため、利用者一人ひとりに合わせたきめ細やかなサービスが提供される点がメリットといえるでしょう。
地域密着型の介護予防サービスで受けられるサービスは、以下の3つです。
| 地域密着型の介護予防サービス |
|---|
| ・介護予防小規模多機能型居宅介護 ・介護予防認知症対応型通所介護 ・介護予防認知症対応型共同生活介護 |
介護予防小規模多機能型居宅介護
介護予防小規模多機能型居宅介護は、通い・泊まり・訪問、を組み合わせて利用できるサービスです。利用者の心身の状態や家族の希望に応じて、通所を中心に柔軟にサービスが使えます。
少人数の家庭的な雰囲気の中で、食事や入浴といった日常生活の支援や機能訓練を受けられるのがこのサービスの特徴です。また、地域との交流の場も多く設けられており、利用者が孤立せずに社会とのつながりを維持できるよう配慮されています。
介護予防認知症対応型通所介護
介護予防認知症対応型通所介護は、認知症の方を対象とした少人数制のデイサービスです。認知症の特性を理解したスタッフが、利用者の残存能力を活かしながら手厚く支援します。
落ち着いた環境の中で、食事や入浴、レクリエーションなどを通して、心身機能の維持・向上を図ります。また、家族の介護負担軽減にもつながるサービスの一つです。
介護予防認知症対応型共同生活介護
介護予防認知症対応型共同生活介護は、認知症の方が少人数で共同生活を送るグループホームのサービスであり、要支援2の方のみ利用可能です。家庭的な雰囲気の中で、食事づくりや掃除などの日常生活を自分のペースで行えるよう支援します。
また、利用者同士や地域住民との交流の機会を設け、社会とのつながりを保てるよう配慮されているのも特徴です。認知症ケアの専門知識を持ったスタッフが、利用者一人ひとりの尊厳を大切にしながら、その人らしい暮らしを支えていきます。
4.その他の介護予防サービス
介護予防のためには、自宅や施設、地域密着型のサービスだけでなく、福祉用具の貸与・販売や住宅改修の支援などもあります。
| その他の介護予防サービス |
|---|
| 1.介護予防福祉用具貸与 2.特定介護予防福祉用具販売 3.介護予防住宅改修費の支給 |
これらのサービスは、日常生活の様々な場面で利用者の自立をサポートします。 福祉用具を活用することで日常生活での身体の負担を軽減したり、住宅をバリアフリーにすることで転倒リスクを減らしたりと、利用者の状況に合わせた支援が可能です。利用者の自立をサポートします。 福祉用具を活用することで身体的な負担を軽減したり、住宅をバリアフリーにすることで転倒リスクを減らしたりと、利用者の状況に合わせた支援が可能です。
①介護予防福祉用具貸与
介護予防福祉用具貸与は、日常生活の自立をサポートする福祉用具をレンタルできるサービスです。要支援1・2と認定された方が利用でき、以下5つの福祉用具が貸与の対象となっています。
| 要支援1・2と認定された方が貸与できる福祉用具 |
|---|
| ・手すり(工事不要なもの) ・歩行器 ・歩行補助杖 ・スロープ ・自動排泄処理装置(尿のみ自動的に吸引されるもの) |
上記以外の福祉用具については、原則保険給付の対象ではありません。ただし、以下に該当する場合は例外的に給付が可能となるため、まずはケアマネジャーに相談することをおすすめします。
| 対象外の福祉用具が「貸与の対象」になる場合 |
|---|
| ・要介護認定における基本調査結果等に基づく判断があった場合 ・市町村が、医師の所見やケアマネジメントの判断を書面等で確認の上、要否を判断した場合 |
➁特定介護予防福祉用具販売
特定介護予防福祉用具の販売は、入浴や排せつに使用する福祉用具を購入する際に、費用の補助が受けられるサービスです。対象となるのは入浴補助用具や腰掛便座、ポータブルトイレなどの衛生用品となります。
年間10万円までの支給限度額が設定されており、その範囲内で購入費の7割から9割が補助の対象となります。そのため、購入前には必ずケアマネジャーに相談することがおすすめです。
➂介護予防住宅改修費の支給
介護予防住宅改修費の支給は、手すりの取り付けや段差の解消など、住宅改修にかかる費用の一部を支給するサービスです。自宅での転倒予防や、移動の負担軽減につながる改修が対象となります。
費用は、支給限度額の範囲内で一度全額自己負担し、工事完了後に市町村へ申請して支給を受ける仕組みです。安全で暮らしやすい住まいづくりを、経済面から後押ししてくれる制度といえます。
サービスを受けるための手順

介護予防サービスを受けたい方は、以下の5つの手順を踏む必要があります。
| 介護予防サービスの利用手順 |
|---|
| 1.市町村の窓口へ相談する 2.要介護認定の申請、またはチェックリストの実施 3.要支援1・2の認定、または事業対象者となる 4.介護予防サービス計画書の作成、またはケアマネジメントの実施 5.サービス利用開始 |
それぞれの手順について、詳しく解説していきます。
①市町村の窓口へ相談する
介護予防サービスを利用するには、まず住んでいる自治体の介護保険担当窓口で相談します。窓口では、日常生活で困っていることに加え、介護予防サービスの利用方法や手続きの流れについての説明を受けられます。また、サービスを利用するための要件や、利用できるサービスの種類についても確認しておきましょう。
②要介護認定の申請またはチェックリストの実施
市町村へ相談をした後、要介護認定の申請を行う、または基本チェックリストを実施します。 要介護認定は介護の必要性を判定するための調査で、訪問調査員による聞き取りや主治医意見書などをもとに行われます。一方、基本チェックリストは、要介護認定に至らなかった人や認定の必要性がない人が実施するもので、利用者に合ったサービスを検討し簡易にサービス利用へつなぐために用いられています。
③要介護度の認定
要介護認定の結果、要支援1~2と認定された方は予防給付の対象となり、要介護1~5と認定された方は介護給付の対象となります。また、基本チェックリストの結果、事業対象者と判定された方は総合事業の対象です。要介護度や事業対象者の判定結果によって、利用できるサービスの上限額やおおよその利用日数が異なります。
④介護予防サービス計画書の作成またはケアマネジメントの実施
要支援1~2と認定された方は、地域包括支援センター等で介護予防サービス計画書(ケアプラン)を作成します。ケアプランとは、利用するサービスの種類や頻度、目標などが記載されたものです。一方、事業対象者と判定された方は、基本チェックリストの結果をもとにケアマネジメントを受けます。
⑤サービス利用開始
ケアプランやケアマネジメントに基づいて、介護予防サービスの利用を開始します。 サービス提供事業者と契約を結び、自宅や施設でサービスを受けられます。 サービス利用中は、定期的にモニタリングを受け、状況に応じてケアプランやサービス内容の見直しを行うことが重要です。
長寿の秘訣!心身機能の低下を防ぐ介護予防の方法
介護予防のためにできることは、サービスを利用するだけではありません。日常生活の中でも介護予防を意識して取り組むことで、要介護状態になるリスクをさらに軽減できます。日常生活に取り入れやすい介護予防の具体的な方法を、5つ紹介します。
①運動を取り入れ身体機能を維持する
ストレッチや柔軟体操などの運動を毎日少しずつ行うことで、筋肉や関節の柔軟性を維持し転倒のリスクを抑える効果が期待できます。また、ウォーキングもオススメです。心肺機能を高めるだけでなく気分転換にも有効です。
②バランスのとれた食生活を心がける
野菜や果物、魚、穀物を中心とした食事を心がけましょう。必要な栄養素をバランスよく摂取することが大切です。また、水分補給も欠かせません。十分な水分を摂ることで、脱水症状を防ぎ体調を整えることができます。
③社会活動に参加し「人」と関わる
地域のサークルやボランティアに参加することで、社会とのつながりをもち、孤独感を減らすことができます。社会活動への参加が苦手だったり困難な場合は、友人や家族との交流の機会を積極的にもちましょう。定期的に会話を増やすことで、心の健康が保たれ認知症予防にも効果的です。
④趣味や学びを深める
手芸や絵画、音楽や物づくりなど、興味のあるものには積極的に取り組みましょう。「思うように手が動かない・耳が聞こえない 」という方もいらっしゃると思いますが、現代では高齢者が使いやすいように工夫された商品も数多く販売されています。また、読書やクロスワード、数独などの知られた活動は、認知機能を維持するのにも役立つためおすすめです。
⑤生活環境を整える
介護予防では、安全な住環境の確保も大切な取り組みです。 明るい照明を使用して視認性を高めたり、歩行が不安定になりやすい場合は生活導線を考え直すなど、様々な工夫で事故を防ぐことができます。
これらの取り組みを日常生活に取り入れることで、可能な限り自宅で生活をつづけながら、安心して生活が送れるようになります。
いつまでもいきいきとした自分らしい人生を

介護予防は、高齢者の自立した生活を支援し、介護が必要な状態になることを予防するための取り組みです。 介護予防サービスには、予防給付と総合事業があり、それぞれ利用できるサービスの種類や対象者が異なります。
介護が必要な状態になると、身体的な面や経済面など、本人やご家族にとって負担が大きくなります。そのため、介護が必要になる前から積極的に介護予防に取り組むことが大切です。
体操教室への参加や、栄養バランスの取れた食事、趣味活動など、日常生活の中でも介護予防を意識してみましょう。
また、介護に関する不安を抱えている方は、1人で悩まずに早めに市町村の窓口へ相談することがおすすめです。電話相談を受け付けている場合もあるので、まずは問い合わせてみましょう。相談することで適切なサービスを必要なタイミングで利用でき、安心して自立した生活を送ることができるでしょう。
参考資料
参考元:厚生労働省:介護マニュアル、厚生労働省:介護予防について、厚生省:介護事業所・生活関連情報検索(公表されている介護サービスについて)、厚生労働:予防・日常生活支援総合事業の基本ような考え方、厚生労働省:介護事業所・生活関連情報検索(介護予防・日常生活支援総合事業のサービス利用の流れ)、厚生労働省:総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)





