在宅介護を始めるにあたり、「どこから手をつけるべきか」や「何から始めれば良いのか」と悩む方は少なくありません。実際のところ、在宅介護を始めるには、まず公的支援の申請を行うことが求められます。それと同時に、家族間で役割分担を話し合い、事前に決めておくことも欠かせません。現状、在宅介護を担う家族の負担は非常に大きく、これを軽減するための具体的な方策が必要とされています。
在宅介護では、一人で無理をすることは避けるべきです。利用可能なサービスや支援機関を積極的に活用し、負担を分散させることが重要です。この記事では、介護を始めようとしている方に向けて、在宅介護の初期段階で押さえておくべきポイントや注意事項について詳しく解説します。
在宅介護|サービス利用の流れと種類を解説

在宅介護に携わる家族は、時に大きなストレスやプレッシャーを感じることもあるでしょう。利用者やその家族が安心して介護サービスを活用できるように、在宅介護を始める前に知っておくべき基本的なポイントをお伝えします。
目次
在宅介護サービス利用までの流れ
在宅介護サービスを利用するには、市区町村で要介護認定(要支援認定を含む)を受ける必要があります。以下に、申請からサービス利用開始までの手順を解説します。
要介護認定の申請
市区町村の窓口で、利用者本人または家族が申請を行います。窓口に出向けない場合、地域包括支援センターや居宅介護支援事業者に代行を依頼することも可能です。申請時には介護保険被保険者証が必要となります。
認定調査・主治医意見書
市区町村の調査員が自宅を訪問し、利用者の心身の状態を確認するための認定調査を実施します。また、市区町村が主治医に依頼する形で意見書を作成してもらいます。主治医がいない場合には指定医の診察を受けることが必要です。
審査判定
調査結果と主治医意見書を基に、全国共通の基準でコンピュータによる一次判定が行われます。その後、介護認定審査会で最終的な要介護度が決定されます。
要介護認定結果の通知
申請から通常30日以内に、介護認定結果が通知されます。この結果は要支援1・2、要介護1~5、非該当の7段階に分かれ、それに応じて利用可能な介護サービスの内容が決まります。
介護サービス計画書(ケアプラン)の作成
介護サービスを利用するには、ケアプランの作成が必要です。要支援1・2の場合は地域包括支援センターで介護予防サービス計画書を作成し、要介護1以上の場合はケアマネジャーに依頼します。ケアマネジャーは、利用者や家族の希望、心身の状態を考慮して最適な介護サービス計画を立てます。
サービスの開始
ケアプランに基づき、介護サービスが開始されます。サービス提供事業者と契約を結び、実際の介護が始まります。利用者の状態に変化があった場合には、定期的にケアプランを見直し、必要に応じてサービス内容が調整されます。
在宅介護で受けられるサービスの種類

在宅介護では、家族だけで負担を抱え込むのではなく、専門のサービスを活用することで介護の質を高めることができます。代表的なサービスには以下のようなものがあります。
訪問介護(ホームヘルプサービス)
訪問介護では、ヘルパーが利用者の自宅を訪問し、日常生活のサポートを行います。具体的には、食事の準備や掃除、洗濯といった家事援助、さらに食事や排泄、入浴の介助など、身体介護も提供されます。これにより、利用者が住み慣れた環境で安全に生活を続けられるよう支援します。
訪問入浴介護
訪問入浴介護は、専用の浴槽を自宅に持ち込み、入浴をサポートするサービスです。体力が低下している方や寝たきりの方も、衛生的かつリラックスできる入浴が可能になります。看護師や介護士が利用者の体調を確認しながら、安全に配慮して実施します。
訪問リハビリテーション
理学療法士や作業療法士が自宅を訪れ、機能回復や日常生活動作の改善を目的としたリハビリを提供します。このサービスでは、生活環境に合わせた運動指導や福祉用具の利用方法のアドバイスも行われます。利用者が自宅で安心して生活を続けるための重要な支援の一つです。
訪問看護
訪問看護は、看護師が利用者宅を訪問し、医療的なケアを提供するサービスです。体調管理、薬の服用確認、傷の処置、さらにはリハビリ指導などを行います。病気や障害があっても、住み慣れた環境で療養生活を送れるよう支える役割を担います。また、必要に応じて医師や他のサービスと連携し、利用者と家族の安心感を高めます。
通所介護(デイサービス)
通所介護、通称「デイサービス」は、利用者が施設に通い、食事や入浴、機能訓練、レクリエーションを受けるサービスです。日中の活動を通じて生活の質を向上させることを目的とし、介護者に一時的な休息の機会を提供します。他の利用者との交流は、孤立感を和らげ、心身の活性化にもつながります。
通所リハビリテーション(デイケア)
通所リハビリテーション、一般に「デイケア」と呼ばれるこのサービスでは、医療機関や介護施設でリハビリを中心とした支援が行われます。理学療法、作業療法、言語聴覚療法を通じて、利用者の身体機能やコミュニケーション能力を維持・向上させます。さらに、医師や看護師による健康管理も行われるため、安心して利用できるのが特徴です。
在宅介護のメリットとは?自宅での介護生活を選ぶ理由

在宅介護を選ぶ理由には、多くのメリットが挙げられます。以下にその具体例を示します。
慣れ親しんだ環境で生活できる
自宅で生活を続けることで、精神的な安定を得られます。施設への移動時に感じる不安やストレスを減らし、安心して日々を過ごせる点が大きな魅力です。
家族と一緒に過ごす時間が増える
在宅介護では、家族が近くで支援を行うため、親密な関係が維持されやすくなります。これにより、利用者と家族の絆を深める機会が増えます。
個別のケアが受けやすい
ケアマネジャーが利用者の状態に応じたプランを作成し、きめ細やかな介護を提供します。利用者のニーズに寄り添った柔軟な対応が可能です。
費用を抑えやすい
施設介護と比べて、必要な分だけサービスを利用できるため、経済的な負担を軽減することができます。
在宅介護のデメリット:家族の負担を軽減する介護サービスの活用

介護負担が家族にかかる
在宅介護では、多くの場合、家族が直接介護を担います。その結果、身体的な疲労や精神的なストレスが増大する傾向にあります。特に、日常生活の時間やエネルギーが奪われる場面も少なくありません。
家の環境が介護に適していない場合がある
自宅の間取りや設備が介護向きでないケースでは、環境を整える必要が生じます。例えば、バリアフリー対応のリフォームが求められる場合もあり、その際には高額な費用や多大な手間がかかることが避けられません。
孤立感が生じる可能性
家族だけで介護を続けると、介護者が社会的なつながりを失い、孤独を感じる場合があります。このような状況に陥ると、精神的な疲弊が深刻化しやすくなります。そのため、適切な支援体制を確立することが欠かせません。
ケアマネージャーの役割と選び方

ケアマネージャー(介護支援専門員)は、自治体や介護事業者と利用者をつなぐ役割を果たします。具体的には、連絡や調整を行いながら、利用者が必要とするケアプランを作成する重要な役割を担っています。選ぶ際には、経験や資格だけでなく、コミュニケーションの取りやすさ、親身な対応、そして地域の介護資源に対する深い理解が重要です。
訪問相談や口コミを活用して相性を確認し、信頼できるケアマネージャーを見つけましょう。以下では、その役割と選び方について詳しく解説します。
ケアマネージャー(介護支援専門員)の役割
ケアマネージャー(介護支援専門員)は、介護が必要な方々に適切なサービスを提供するための支援を行う専門職です。その主な役割は以下の通りです。
ケアプランの作成
利用者の生活状況や希望を踏まえて、最適な介護計画を立案します。
サービスの調整・手配
複数の介護サービス提供者や医療機関との連携を図り、必要な支援を手配します。
モニタリングとプランの見直し
利用者の状況の変化に応じてケアプランを定期的に見直し、最適化します。
家族へのサポートと助言
介護に関する情報提供や家族の相談に応じ、精神的な支えとなります。
介護保険の手続きサポート
申請手続きや更新手続きなど、煩雑な介護保険関連の業務をサポートします。
ケアマネジャーの選び方
信頼できるケアマネージャーを選ぶことは、介護サービスを円滑に利用する上で欠かせません。以下のポイントを参考に、最適なケアマネージャーを見つけましょう。
資格や経験を確認する
ケアマネージャーは「介護支援専門員」の国家資格を持つ専門家です。この資格に加えて、現場での経験年数や得意分野をチェックしましょう。特に認知症やリハビリの分野に詳しい場合、より安心して相談できます。
コミュニケーション能力を重視する
利用者や家族と頻繁にやり取りを行うため、分かりやすく説明できる能力や、相談に迅速に対応する誠実さが求められます。丁寧に話を聞き、的確なアドバイスをくれるかも重要なポイントです。
利用者のニーズに合った提案ができるか
一人ひとりの状況に応じた柔軟な提案ができるかを確認しましょう。地域の介護サービスや医療機関に詳しく、長期的な視点でプランを提案してくれるかも選ぶ基準になります。
相談しやすい人柄か
ケアマネージャーは、利用者や家族にとって心の支えとなる存在です。話しやすい雰囲気や信頼感を持てるか、初対面の印象を含めてチェックしてください。
事業所の評判や実績を調べる
ケアマネージャーが所属する事業所の口コミや評価を確認することも有効です。他の利用者の体験談を参考に、信頼できる事業所を選びましょう。
契約前に直接会う
契約の前に必ずケアマネージャーと面談を行いましょう。直接会うことで、その人の人柄や対応力を確認できます。疑問や不安がある場合は、遠慮せず質問してみてください。
これらのポイントを参考に、利用者や家族が安心して介護を受けられる環境を整えましょう。適切なケアマネージャーを選ぶことで、介護生活がより充実したものになります。
在宅介護における家族の負担を軽減する方法

在宅介護を続ける中で、悩みや困難に直面する場面は少なくありません。そのようなときには、専門家や公的機関に相談し、適切な支援制度を活用することが重要です。以下では、主な相談先と利用可能な支援制度を紹介します。
主な相談先
地域包括支援センター
地域高齢者を支援するための総合相談窓口です。在宅介護に関するアドバイスや、必要なサービスの情報提供を受けられます。
ケアマネジャー(介護支援専門員)
現在利用している介護サービスの相談だけでなく、新たな支援策の提案やケアプランの見直しを依頼することも可能です。
市区町村の介護保険課
介護保険の利用申請、制度についての質問、サービスの利用状況に関する相談など、多岐にわたる対応をしてくれます。
地域の社会福祉協議会
福祉用具の貸し出しやボランティアの紹介など、地域に密着した支援が提供される場合があります。
活用できる支援制度
介護保険サービス
訪問介護、デイサービス、ショートステイなど、介護保険を利用した多様なサービスを通じて介護負担を軽減できます。
介護休業制度
働く家族が一定期間介護に専念できるよう、介護休業の取得が可能です。また、要件を満たす場合には介護休業給付金を受け取ることもできます。
福祉用具や住宅改修の補助
介護保険を利用して、手すりの設置や段差解消といった住宅改修費用の補助を受けることができます。さらに、福祉用具のレンタルや購入補助も利用可能です。
家族介護支援事業
地域によっては、介護者のための相談会やリフレッシュイベントを実施している場合があります。これらを利用して、心身のリフレッシュを図りましょう。
高額介護サービス費
介護サービス費用が一定額を超えた場合に、自己負担分を軽減できる制度です。
これらの相談先や支援制度を上手に活用することで、在宅介護の負担を大幅に軽減することが可能です。困ったときには、一人で抱え込むのではなく、周囲の力を借りることを心がけましょう。
困ったときの相談先と利用できる支援制度

在宅介護で困難や悩みに直面した際には、適切な相談先や支援制度を利用することで、負担を軽減できます。以下では、主な相談先とその利用方法をご紹介します。
相談先
1. 地域包括支援センター
地域包括支援センターは、高齢者やその家族のための総合相談窓口として全国に設置されています。保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどの専門職が在籍しており、介護に関する幅広い相談に対応します。介護予防、権利擁護、ケアマネジメント支援など、多角的なサポートを提供しています。
連絡方法
・お住まいの市区町村の介護保険課に問い合わせる。
・市区町村の公式ウェブサイトで所在地を確認する。
2. 自治体の相談窓口
市区町村の役所には、「高齢者福祉課」や「介護保険課」など、介護に関する専門的な相談窓口があります。ここでは、介護保険の申請手続き、介護サービスの利用方法、費用に関する相談などをサポートしています。
連絡方法
市区町村の代表電話に連絡し、適切な窓口を案内してもらう。
市区町村の公式ウェブサイトで相談窓口を確認する。
3. ケアマネジャー
要介護認定を受けた方は、居宅介護支援事業所に所属するケアマネジャーに相談できます。ケアマネジャーは、ケアプランの作成や、適切なサービス事業者の紹介を行い、在宅介護をサポートします。
連絡方法
地域包括支援センターや市区町村の介護保険課で、居宅介護支援事業所の情報を取得する。
居宅介護支援事業所に直接連絡して相談する。
社会福祉協議会
各地域の社会福祉協議会では、高齢者やその家族向けに福祉サービスの相談や情報提供を行っています。介護に関する悩みを相談することで、適切な支援策やサービスを案内してもらえます。
連絡方法
お住まいの地域の社会福祉協議会に直接連絡する。
市区町村の役所で連絡先を確認する。
医療機関の相談窓口
病院や診療所の中には、医療ソーシャルワーカーが在籍する相談窓口を設けている施設があります。退院後の生活や介護に関する相談、医療費や介護費用の負担軽減策についても対応してもらえます。
連絡方法
通院中の医療機関の相談窓口に直接問い合わせる。
地域の医療機関に連絡し、相談窓口があるか確認する。
利用できる支援制度
介護保険サービス
要支援・要介護認定を受けることで、訪問介護やデイサービス、ショートステイなど、さまざまな介護保険サービスを利用できます。これにより、家族の介護負担を軽減することが可能です。
家族介護慰労金
自治体によっては、在宅で高齢者を介護している家族に対し、家族介護慰労金を支給する制度があります。支給条件や金額は自治体によって異なるため、詳細はお住まいの自治体に確認してください。
介護休業給付金
家族の介護のために仕事を休む際、一定の条件を満たすことで、雇用保険から介護休業給付金を受け取ることができます。これにより、収入の減少を補うことができます。
介護保険住宅改修費
在宅介護を行う際、手すりの設置や段差解消などの住宅改修が必要になることがあります。介護保険では、一定の条件下で住宅改修費の支給を受けることができます。
これらの相談先や支援制度を適切に活用することで、在宅介護における家族の負担を軽減することができます。困ったときは一人で抱え込まず、専門機関に相談し、適切なサポートを受けることが大切です。
まとめ

在宅介護を始める際には、まず公的なサポートを申し込み、家族でどのように協力していくかを話し合うことが重要です。介護の負担を軽減するためには、一人で全てを抱え込むのではなく、外部のサポートや介護サービスを適切に活用する姿勢が求められます。
ケアマネジャーを選ぶ際には、経験や資格だけでなく、相談しやすさや信頼感があるかどうかも重視しましょう。話しやすく、親身になって対応してくれるケアマネジャーは、安心感をもたらしてくれます。
また、在宅介護を円滑に進めるためには、家族全員が協力し合い、必要な支援を積極的に取り入れることが欠かせません。外部リソースを活用しながら、無理のない形で介護を続けられる環境を整えましょう。
参考元:厚生労働省 在宅介護の推進について・在宅医療介護連携推進事業の取り組みについて・在宅サービスについて・介護サービスの利用のしかた





