高齢化が進む日本において、介護サービスを利用するうえで必要な「要介護認定」です。2025年、この要介護認定制度が、実に16年ぶりとなる大規模な見直しを迎えます。国の規制改革実施計画で示されたその中身は、「デジタル・AIの活用」と「現場の実態反映」です。
介護の未来を左右する大きな変革です。最新動向と今後の見通しを、分かりやすく解説します。
デジタルとAIで認定プロセスが劇的にスピードアップ
今回の見直しで最も期待されるのが、認定の迅速化です。
目次
認定期間の「見える化」と「目標設定」
これまで曖昧だった申請から認定までの期間。今後は、全国・都道府県・市町村ごとの平均期間が毎年公表され、透明性が格段にアップし、「調査から審査まで〇日」といった目安期間も設けます。
AIが審査をサポート
AI(人工知能)を活用した認定審査のモデル事業がすでに始まっています。膨大なデータを基にAIが客観的な判定案を提示し、審査会の負担を軽減。これにより、よりスピーディでブレのない審査が期待されるでしょう。
あらゆる手続きをDX(デジタル化)
「主治医意見書」のデジタル提出や、審査会のオンライン開催・ペーパーレス化も推進します。ハンコや紙文化から脱却し、業務全体の効率化を目指します。
在宅介護の“手間”を正しく評価へ
「施設と在宅では、介護の手間が全然違うのに…」これは、多くの在宅介護者やケアマネジャーが抱えてきた長年の課題でした。
実は、現在の認定の一次判定で使われるデータは、主に施設入所者約3,500人分の調査に基づいたもの。そのため、多様化する在宅介護のリアルな大変さが、必ずしも適切に反映されていませんでした。
そこで、今回の見直しでは、データの大規模なアップデートに踏み切ります。
在宅・通所利用者の実態を大規模調査(2025年度~)
在宅やデイサービスを利用している方のケアに、実際にどれくらいの時間がかかっているのかを詳細に調査。この新しいデータを基に、判定ロジックそのものを見直します。
認知症ケアの「見えない手間」も評価
特に評価が難しいとされる認知症の方へのケア。徘徊への対応やコミュニケーションの工夫など、時間だけでは測れない「手間」をどう評価に結びつけるか、認定調査項目の見直しも検討されます。
これにより、「自宅での介護の実態」がより正確に要介護度へ反映され、必要なサービスを必要なだけ受けられる、より納得感のある制度へと進化していくでしょう。
最大の壁?「主治医意見書」の遅れを解消する新対策
認定プロセスで大きなボトルネックとなっているのが「主治医意見書」の取得です。医師が多忙で作成に時間がかかり、結果として認定全体が遅れてしまいます。
この課題に対し、国はデジタル化による提出促進と合わせ、緊急時の特例措置を拡充します。がん末期などで状態が急激に悪化した場合、必要な項目に絞った簡易な意見書で迅速に認定を進めたり、オンラインでの調査を活用したりと、利用者の「待ったなし」の状況に柔軟に対応できる仕組みが整えられるでしょう。
現場の混乱は大丈夫?慎重に進められる制度改革
「新しい制度に変わって、現場が混乱するのでは?」という心配の声もあるかもしれません。
そのため、厚生労働省は「利用者や市町村の立場に立ち、十分な準備期間と周知・研修を徹底する」と明言しています。専門家による検討会からも、現場の声を丁寧に聞き、誰もが安心して新制度へ移行できるよう求める提言がなされています。
今後のスケジュール
この改革は、、以下のスケジュールで着実に進められていきます。
- 令和7年12月~令和8年2月:調査実施
- 令和8年3月:結果とりまとめ
- 令和8年4月以降 :介護保険部会にて結果を報告する予定
まとめ:誰もが安心できる介護の未来へ
要介護認定制度は今、大きな転換期を迎えています。
デジタルとAIの力で「効率」と「スピード」を追求する一方で、在宅介護や認知症ケアといった「現場の実感」に寄り添い、評価の公平性を高める。この両輪がうまく回ることで、私たちの介護は、より信頼でき、納得感のあるものへと変わっていくでしょう。
参照元:厚生労働省 要介護認定の1次判定、妥当性を検証 厚労省 16年ぶりに調査実施へ





