高齢の家族に長期的な介護が必要になったとき、「どんな施設があるのか」「費用や手続きはどうすればいいのか」と悩む方は少なくありません。
特別養護老人ホームは、食事・入浴・排泄などの日常生活全般の介護と、健康管理や療養上の世話を受けられる介護保険施設です。民間の有料老人ホームと異なり、介護保険を利用できるため費用を抑えられる点も特徴といえます。
この記事では、福生市の特別養護老人ホームについて、施設の種類や設備、費用の内訳、申し込み手順、関連サービスまで具体的に解説します。
東京都福生市の特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)とは?
福生市の特別養護老人ホームは、介護保険制度に基づき、介護が必要な高齢者の生活を長期的に支えるために整備された介護保険施設です。施設内では、介護職員が24時間体制で日常生活を支援し、必要に応じて医療機関と連携して健康管理や緊急対応を行います。
目次
特別養護老人ホームの入所対象と要介護度の条件

特別養護老人ホームは、原則として要介護3から要介護5と認定された高齢者が入所対象です。要介護3以上とは、移動・排泄・食事などの日常生活で常に介助が必要な状態を指します。
ただし、以下のようなケースでは、要介護1や要介護2でも「特例入所」として申し込みが可能です。
- 認知症が進行し、日常生活に支障をきたす症状や意思疎通の困難が頻繁に見られる場合
- 単身世帯や、同居家族が高齢・病弱などで介護ができず、在宅生活が困難な場合
- 知的障害・精神障害を伴い在宅での適切な介護が困難な場合、または虐待の疑いなど心身の安全が確保できない場合
特別養護老人ホームの居室のタイプと特徴
特別養護老人ホームの居室は、主に以下の3つのタイプに分かれます。それぞれ費用やプライバシーの確保、生活スタイルが異なるため、入所を検討する際の重要なポイントの1つです。
多床室(相部屋)
定員2人以上の相部屋で、4人部屋として使われることもあります。費用を抑えられるのが最大のメリットですが、プライバシーは限定的です。他の入居者との交流が自然に生まれる一方で、生活リズムや音に配慮が必要になります。
ユニット型個室
個室と小規模な共同生活室(リビング)を組み合わせた構造です。1ユニットの定員はおおむね10人以下で、家庭的な雰囲気の中で生活できます。プライバシーを確保しながら、ユニット内での交流も可能なバランスの取れたタイプです。
ユニット型個室的多床室
仕切りで区切られた半個室タイプです。多床室よりプライバシーに配慮しつつ、ユニット型個室より費用を抑えられる中間的な選択肢となります。
居室タイプは費用や生活スタイルに直結するため、見学時には実際の居室を確認し、本人の性格や希望に合うかどうかを検討することが大切です。
施設の設備と提供されるサービス内容
特別養護老人ホームでは、入居者の身体状況に応じた設備と、日常生活を支える多様なサービスが提供されています。
主な設備
施設では一般浴槽のほか、寝たまま利用できる特殊浴槽や個浴室など、身体状況に合わせた入浴設備を備えています。専門職による機能訓練を行う機能訓練室、食事や入居者同士の交流の場となる食堂・談話室なども設置。
また、施設によっては車いす、特殊寝台、移動用リフト、自動排泄処理装置、介護ロボットを活用しているところもあります。
日常生活支援
食事・入浴・排泄の介助を中心に、衣類の洗濯や居室の清掃といった生活支援も提供。季節の行事やレクリエーションも実施されていますが、内容は施設によって異なります。家族との面会や地域との交流についても、施設ごとにルールや実施状況が異なるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
介護・医療体制
特別養護老人ホームでは、24時間体制で介護と医療のサポートが受けられる体制が整っています。
24時間の介護体制
夜間も含めて介護職員が常駐しており、必要な介助をいつでも受けることが可能です。日中は看護職員も配置され、健康管理や服薬管理を行います。
医療連携体制
配置医師や協力医療機関と連携しており、緊急時にも24時間対応が可能です。日常的な健康管理から急な体調変化まで、医療面でのサポートが受けられる安心感があります。
設備や介護体制は施設ごとに違いがあり、費用や生活のしやすさに直結します。見学の際には、実際の居室や設備を確認し、職員の説明や施設の雰囲気もあわせてチェックすると安心です。
介護保険制度と特別養護老人ホームの位置づけ
特別養護老人ホームは、介護保険法に基づく「施設サービス」にあたる介護施設です。利用する場合は、介護サービス費の自己負担分(所得に応じて1~3割)と、居住費・食費・日用品などの費用を合わせて支払います。
入所は長期間の生活を前提としており、食事や入浴、排泄の介助だけでなく、健康管理や機能訓練、日々の暮らしを支えるサービスをまとめて受けられます。
また、施設によっては「短期入所生活介護(ショートステイ)」と呼ばれる短期間の宿泊サービスを行っている場合も。ショートステイは、数日から数週間程度の滞在が可能で、介護する家族の休養や在宅生活を続けるためのサポートとして利用可能です。長期入所とは制度や目的が異なりますが、同じ施設内で利用できることもあります。
東京都福生市にある主な特別養護老人ホーム一覧

福生市には4つの特別養護老人ホームがあります。(令和7年10月現在)
特別養護老人ホーム福生ことぶき苑
| 所在地 | 東京都福生市北田園1丁目56番地1 |
| 電話番号 | 042-539-2910 |
特別養護老人ホーム サンシャインビラ
| 所在地 | 東京都福生市北田園1丁目53番地3 |
| 電話番号 | 042-551-1703 |
特別養護老人ホーム 第2サンシャインビラ
| 所在地 | 東京都福生市福生3244番10号 |
| 電話番号 | 042-553-3701 |
特別養護老人ホーム ヨコタホーム
| 所在地 | 東京都福生市福生2300番4号 |
| 電話番号 | 042-553-6633 |
福生市で特別養護老人ホームを選ぶときのポイント
特別養護老人ホームは長期間生活する場所だからこそ、事前の比較・検討が重要です。福生市内の施設を選ぶ際は、以下の観点を押さえて判断しましょう。
アクセス・立地条件
施設を選ぶ際は、まず家族の通いやすさも考慮しましょう。面会や緊急時の対応を考えると、自宅からの距離や交通手段は重要な要素です。また、自然環境が豊かな立地か、買い物や公共交通に便利な市街地かによって、入居者の生活の雰囲気も大きく異なります。
居室タイプと生活環境
居室選びでは、プライバシー重視か費用重視かを判断することが必要です。個室やユニット型個室は生活の自由度やプライバシーを確保しやすい反面、費用は高めになります。一方、多床室は費用を抑えられますが、同室者との共同生活になるため、生活音やプライバシー面を十分に考慮するようにしましょう。
医療連携と介護体制
協力医療機関が近くにあるか、緊急時の搬送体制が整っているかを必ず確認しましょう。また、24時間介護職員が常駐していることはもちろん、日中の看護職員配置や夜間の対応体制についても事前に把握しておくことが重要です。
施設の雰囲気と職員対応
見学では、居室や共用スペースの清潔さ、職員の対応、入居者同士の雰囲気など、資料だけではわからない部分をしっかりチェックしましょう。レクリエーションの内容、食事の提供方法、入浴回数や時間といった日常生活の細かな部分も、事前に確認しておくと安心です。
こうしたポイントを総合的に見て、ご本人の介護度や生活スタイル、家族のサポート体制に合った施設を選ぶことが大切です。特に見学時の印象は、その後の生活満足度に大きく影響します。
入所にかかる費用の目安と内訳

特別養護老人ホームの利用料金は、「介護サービス費の自己負担分」+「居住費」+「食費」+「日常生活費」を合計した金額になります。
ここでは、国が定める基準費用額や制度をもとに、それぞれの内容と目安をまとめました。
介護サービス費(自己負担分)
介護サービス費は介護保険から給付され、利用者は原則1〜3割を負担します。負担割合は所得状況によって決まり、要介護度が高いほど金額が上がる仕組みです。
例:ユニット型個室の場合(基本費用のみ)
・要介護3:約24,450円/月(1割負担)
・要介護5:約28,650円/月(1割負担)
※看護体制加算、夜勤職員配置加算などにより、実際の金額は変動します。
居住費
居室タイプによって費用が異なります。国が定める基準費用額(1日あたり)は、多床室437円、ユニット型個室2,066円です。これを月額換算すると、おおよそ13,110円〜61,980円になります。多床室は費用を抑えやすく、個室は快適性やプライバシー面で優れています。
食費
食費は別途負担で、基準費用額は1日あたり1,445円です。月額では約43,350円が目安となります。食事内容は施設によって異なりますが、通常は1日3食におやつが含まれます。
日常生活費・その他
おむつ、衣類、嗜好品、レクリエーション費用、理美容代などは実費です。金額は利用内容や個人差が大きく、目安は施設によって異なります。また、医療費については、施設サービス費に含まれない診療や処置があった場合、医療保険の自己負担分が発生します。
費用の目安(基準費用額に基づく例)
| 項目 | 内容 | 月額の目安 |
|---|---|---|
| 介護サービス費(自己負担分) | 要介護度に応じた介護費用の1〜3割負担 | 約24,450〜85,950円※1 |
| 居住費 | 居室タイプ別(多床室〜ユニット型個室) | 約13,110〜61,980円 |
| 食費 | 1日あたり1,445円(3食+おやつ) | 約43,350円 |
| 日常生活費 | おむつ・衣類・嗜好品・レクリエーション等 | 実費(施設ごとに異なる) |
| その他 | 医療費、理美容代など | 実費 |
※1:要介護3〜5、1〜3割負担で試算。加算により変動します。3割負担の場合は50,000円を超える場合があります。
費用負担を軽減できる制度
特別養護老人ホームの利用料が家計の負担になる場合でも、所得や資産の状況に応じて利用できる軽減制度があります。福生市では以下の制度を活用することで、費用負担を抑えることが可能です。
高額介護サービス費
同月内に支払った介護サービス費の自己負担額が上限額を超えた場合、超過分が払い戻される制度です。上限額は所得区分によって異なり、例えば住民税非課税世帯では月額24,600円が上限となります。複数の介護サービスを利用している場合や、介護度が高い方は特に活用しやすい制度です。
特定入所者介護サービス費(補足給付)
所得や預貯金が一定以下の方を対象に、食費・居住費の負担を軽減する制度です。負担限度額は所得区分ごとに設定されており、第1段階から第3段階までの方が対象となります。この制度を利用することで、月額数万円の負担軽減につながるケースもあります。
生計困難者等利用者負担額軽減制度
市町村民税非課税世帯など、特に生計が困難な方を対象とした制度です。社会福祉法人などが運営する施設において、条件を満たす場合には介護費・食費・居住費が1/4〜全額軽減されます。所得や資産の要件があるため、事前に確認が必要です。
申請方法と相談窓口
これらの制度を利用するには、それぞれ申請が必要です。手続きや必要書類については、福生市福祉保健部介護福祉課介護保険係(TEL:042-551-1764)または地域包括支援センターで詳しく確認できます。ケアマネジャーに相談すれば、利用できる制度や手続きの流れについてアドバイスを受けることも可能です。
制度を知らずに利用していない方も多いため、まずは相談してみることをおすすめします。
入所申し込みから契約までの流れ

福生市で特別養護老人ホームを利用するには、介護保険制度に沿った手続きが必要です。以下は、申し込みから契約・入所までの一般的な流れです。
1.要介護認定の申請
市役所または地域包括支援センターで申請を実施。訪問調査や主治医の意見書をもとに審査が行われ、介護度が判定されます。
2.認定結果の通知
原則として申請から30日以内に「認定結果通知書」が郵送されます(状況により前後する場合があります)。入所対象は原則要介護3以上ですが、特例入所の条件(認知症による日常生活の著しい困難、家族による虐待の恐れなど)に該当すれば要介護1・2でも申し込み可能です。
3.入所申し込み
希望する施設に直接申込書を提出します。複数施設への同時申し込みも可能です。申し込み時には、介護度や健康状態、家族の介護状況などの情報を提出します。なお、特養は待機者が多いため、申し込みから入所まで数か月から数年かかる場合も少なくありません。
4.入所判定
東京都の優先入所指針に基づき、施設の入所判定委員会が介護度や在宅での介護状況などをもとに優先順位を決定します。
5.契約と説明
入所が決まったら、重要事項説明書の内容を確認し、契約書に署名・押印します。費用やサービス内容など、不明点は必ず事前に確認しておきましょう。
6.入所準備
健康診断書や必要物品(衣類、日用品など)をそろえます。入所日程もこの段階で調整します。
7.入所開始
契約内容に沿って入所サービスがスタート。初日は職員によるオリエンテーションや生活リズムの確認が行われます。
福生市の相談窓口
特別養護老人ホームへの入所や介護サービスの利用を検討している場合は、まず以下の窓口にご相談ください。相談は無料です。
福生市介護福祉課介護保険係
- 住所:福生市本町5番地(市役所内)
- 電話:042-551-1764
- 相談時間:平日 8:30〜17:15(介護保険相談員による相談は月・火・木・金 9:00〜16:00)
- 主な相談内容:要介護認定申請、介護保険制度の説明、施設情報の提供など
地域包括支援センター(市内3か所)
お住まいの地区により担当センターが異なります。介護・福祉・健康・医療などの総合相談に専門職が対応します。
開所時間:月〜土曜日 8:30〜17:15(祝日・年末年始除く)
| センター名 | 所在地 | 電話番号 | 担当地区 |
|---|---|---|---|
| 武蔵野 | 福生市大字福生2269-4ポニービル2F | 042-553-6695 | 牛浜第二、原ヶ谷戸、本町第七、本町第八第一、本町第八第二、武蔵野台一丁目 |
| 加美 | 福生市加美平3-6-10メゾン加美平103 | 042-553-3720 | 牛浜第一、志茂第一、志茂第二、本町第一、本町、本町中央、本町第六、永田、長沢、加美、加美平住宅 |
| 熊川 | 福生市南田園2-13-1(福祉センター内) | 042-510-2945 | 福生熊川住宅、南、内出、武蔵野、南田園一丁目、南田園二丁目、南田園三丁目、富士見台、福栄、福東、玉川台、福生団地、鍋ヶ谷戸第一、鍋ヶ谷戸第二、熊川牛浜 |
※要介護認定申請には、介護保険証、健康保険証、マイナンバー関連書類、主治医情報などが必要です。
入所準備は早めに、安心できる選択を
福生市で特別養護老人ホームを検討する際は、正しい情報収集と余裕を持った準備が大切です。待機期間が長くなることも多いため、いざという時に慌てないよう、施設見学や相談窓口の活用、申込書類の準備など、できることから少しずつ始めましょう。
入所にかかる費用についても、介護保険の負担限度額認定制度など、各種制度を活用することで経済的負担を軽減できる場合があります。福生市の介護福祉課や地域包括支援センターの専門スタッフに相談しながら、ご本人とご家族にとって最適な選択ができるよう、じっくりと検討を進めていきましょう。
参照元:厚生労働省 介護老人福祉施設、介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、特別養護老人ホームの「特例入所」に係る国の指針(骨子案)について、福生市 介護保険べんり帳、介護保険負担限度額認定(特定入所者介護(介護予防)サービス費)、生計困難者等に対する介護保険サービスに係る利用者負担額軽減制度、介護保険サービスの利用方法について、地域包括支援センター






