ご家族やご自身のこれからの暮らしを考えるとき、「安心して過ごせる場所」として検討されるのが特別養護老人ホームです。
千代田区にも介護が必要な高齢者を支える施設がありますが、「手続きは?」「費用は?」「どこに相談すれば?」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、千代田区内の特別養護老人ホームについて、施設の特徴・入所の流れ・費用・相談窓口などを公式情報をもとにわかりやすく整理しました。初めての方でも安心して全体像をつかめます。
東京都千代田区の特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)とは?
特別養護老人ホームは、日常生活において常に介護が必要な高齢者が安心して暮らせる施設です。食事や入浴、排せつといった生活全般のサポートに加え、健康管理やレクリエーションなどを実施。家庭での介護がむずかしい場合の受け皿として、多くの方に利用されています。
千代田区内の特別養護老人ホームは、介護保険制度に基づいて運営されています。費用の一部は介護保険から給付されるため、公的な制度を利用できる介護施設です。
目次
入所の対象条件:原則要介護3以上

特別養護老人ホームを利用できるのは、原則として要介護3以上と認定された方です。これは「立ち上がりや歩行が1人では困難」「日常生活に継続的な介助が必要」といった状態を指します。
ただし、千代田区ではやむを得ない事情がある場合に限り、要介護1・2の方でも入所が認められるケースがあります。例えば、家族の介護負担が特に大きい場合や、在宅での生活が難しい場合などです。
特別養護老人ホームで受けられる主な介護サービス等
特別養護老人ホームでは、入所者が安心して日常生活を送れるよう、介護と生活支援を一体的にサービスを実施。千代田区の特別養護老人ホームでも、国の基準に基づき、以下のようなサービスを提供しています。
日常生活全般の介護
食事・入浴・排泄といった基本的な生活動作を支援。身体の状態に合わせて介助が行われるため、自宅での生活が困難な方でも安心して暮らせます。
健康管理と医療的ケア
看護職員が常駐し、日常の健康チェックや服薬管理を実施。必要に応じて医療機関とも連携し、体調の変化に迅速に対応できる体制が整っています。
機能訓練
機能訓練指導員による機能訓練が行われ、身体機能の維持・向上を目指します。寝たきりを防ぎ、できる限り自立した生活を続けられるよう支援を実施。
生活相談・心理的サポート
生活上の悩みや不安を相談できる体制があり、入所者本人だけでなく家族も含めたサポートが行われます。
レクリエーション・社会参加活動
四季折々の行事(お花見、夏祭り、敬老会など)や趣味活動を通じて、他の入所者や地域のボランティア、地域の人々と交流できる機会も。孤立を防ぎ、生活に楽しみや張り合いを持てるよう工夫されています。
他の高齢者介護施設との違い
特別養護老人ホームは長期入所を前提としており、人生の最期まで過ごせる生活の場として介護が必要な高齢者を支える役割を担っています。
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅と比べて、所得に応じた負担軽減制度があり、比較的低額で利用できる点が大きな特徴です。ただし、入所希望者が多く待機期間が発生しやすいため、緊急度の高い方から優先的に入所調整が行われます。
施設ごとに目的や対象者が異なるため、「どんな暮らし方をしたいか」や「どれくらい介護が必要か」を考えながら選ぶことが大切です。詳しくは下記の比較表をご参照ください。
主な施設の比較表
| 特別養護老人ホーム | 有料老人ホーム | グループホーム | 小規模多機能型居宅介護 | |
|---|---|---|---|---|
| 目的 | 常時介護が必要で家庭での生活が困難な方の生活施設。介護保険制度に基づく介護施設。 | 食事や生活支援を提供する住まい。個別契約に基づき入居。 | 認知症の高齢者が少人数で共同生活を送る施設。 | 通い・宿泊・訪問を組み合わせ、自宅生活を継続できるよう支援。 |
| 対象者 | 原則、要介護3以上(特例で要介護1・2も可)。 | 高齢者であれば入居可能(介護度は問わない)。 | 認知症の要介護者。 | 自宅での生活を続けたい高齢者。 |
| 規模 | 数十〜百人規模の入所者が生活。 | 数十〜数百人規模まで施設によって様々。 | 1ユニットおおむね10人以下。家庭的な雰囲気。 | 小規模で、地域に根ざした運営。 |
| 費用 | 介護保険が適用され、負担軽減制度もあり比較的低額。 | 施設ごとに異なり、入居一時金や高額な月額費用がかかる場合もある。 | 介護保険が適用。比較的低額〜中程度。 | 介護保険が適用。利用内容により費用は変動。 |
| 暮らし方 | 施設に入所し、24時間体制の介護を受けながら長期的に生活。 | 自立から要介護まで幅広い生活スタイルに対応可能。 | 家庭的な雰囲気で少人数の共同生活。 | 自宅に住みながら必要に応じてサービスを利用。 |
東京都千代田区の特別養護老人ホーム一覧

千代田区にはかんだ連雀など4つの特別養護老人ホームがあります。※令和7年10月現在
千代田区立一番町特別養護老人ホーム
| 所在地 | 東京都千代田区一番町12番 いきいきプラザ一番町4階 |
| 電話番号 | 03-3265-6131 |
特別養護老人ホームかんだ連雀
| 所在地 | 東京都千代田区神田淡路町2丁目8番1号 |
| 電話番号 | 03-3252-8815 |
ザ番町ハウス
| 所在地 | 東京都千代田区二番町7番地6 |
| 電話番号 | 03-3238-0088 |
小規模特別養護老人ホームジロール麹町(地域密着型)
| 所在地 | 東京都千代田区麹町2丁目14番3号 |
| 電話番号 | 03-3222-8750 |
市区町村ごとに違う?入所までの流れと必要な手続き
千代田区で特別養護老人ホームの利用を希望する場合、申込みから入所までにはいくつかのステップがあります。「どこに申し込めばいいの?」「どんな書類を用意すればいいの?」と迷う方も多いですが、流れを知っておくことでスムーズに準備することが可能です。
申込みの流れ(申込書の入手先・提出方法)
申込書は次の場所で入手・提出できます。
- 千代田区役所高齢介護課
- 各特別養護老人ホーム
- かがやきプラザ(1階相談センター)
- 千代田区の介護保険ポータルサイト(ダウンロード・オンライン申込み可能)
必要な書類と記入時の注意点
申込みに必要な主な書類は以下のとおりです。
- 特別養護老人ホーム入所申込書(兼変更届出書)
- 介護保険被保険者証の写し
- 「介護困難・住宅環境ポイント」を証明する書類(例:就労証明書など)
他の市町村で要介護認定を受けている場合は、介護保険主治医意見書や認定調査票の提出が必要となります。
また、申込書の記入では、日常生活でどの程度介助が必要か、家庭での介護状況などをできるだけ具体的に書くことが重要です。千代田区では、これらの情報を基にポイント化して入所の必要性を判定します。
申込み後の調査・判定・入所までのステップ
提出された申込書は、千代田区独自の基準に基づきポイント化されます。
- 要介護度や在宅での生活困難度を数値化
- 千代田区特別養護老人ホーム入所調整委員会で判定
- ポイントの高い順に「入所申込者名簿」に登載
原則は要介護3~5の方が対象ですが、要介護1・2で在宅生活が難しい場合は特例的に申込みが可能です。
申込みは毎月末が締め切りで、翌々月1日に名簿へ登載されます。入所は申込順ではなく、名簿上位者から順に調整されます。
空きが出ると、名簿上位の方から連絡があり、入所案内が届きます。待機期間が長くなるケースもあるため、早めの申込みと並行して、訪問介護やデイサービスなど在宅介護サービスを利用しておくと安心です。
申込みの更新について
申込みには有効期限があり、申込年度の3月31日までとなっています。引き続き入所を希望する場合は、1月中旬に郵送される申込書を2月中旬までに再提出する必要があります。更新を忘れると名簿から削除されてしまうので注意しましょう。
特別養護老人ホームの費用と自己負担

特別養護老人ホームを検討する際に気になるのが「どのくらい費用がかかるのか」という点です。利用料は介護サービス費だけでなく、居住費や食費、さらに日常生活に必要な費用が加わるため、事前に仕組みを理解しておくことが安心につながります。
利用料の基本構成
特別養護老人ホームの費用は大きく分けて次の3つで構成されています。
- 介護サービス費:介護保険が適用され、自己負担は1~3割。要介護度が高くなるほどサービス量(単位数)が増えます。
- 居住費(部屋代):多床室(相部屋)か個室かによって金額が異なります。
- 食費:1日3食の食事提供にかかる費用。
このほかに、日常生活費(理美容代、嗜好品、日用品費など)は実費負担となります。※おむつ代は施設負担
自己負担の割合と費用の目安
介護サービス費の自己負担割合は、所得に応じて次のように決まります。
- 原則:1割負担(65歳以上で一般的な所得の方)
- 一定以上の所得がある方:2割または3割負担
例えば、要介護3・多床室利用・1割負担の場合、介護サービス費の自己負担はおよそ2万~3万円/月となります。
(例:要介護3・多床室の基本サービス費は1日あたり712単位→30日で約21,360円/月、ユニット型個室の場合は697単位で約20,910円/月)
これに居住費や食費(多床室・第2段階で約3.8万~4.4万円/月)が加わり、さらに医療費や日常生活費を考慮すると、合計で月7万~13万円程度になるケースが一般的です。
費用を考えるときのポイント
特別養護老人ホームの費用を検討する際には、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
まず、実際の自己負担額は要介護度・所得区分・部屋の種類によって大きく変わることを理解しておきましょう。介護サービス費に加えて、医療費や日常生活費(理美容代・嗜好品など)は別途必要になります。
なお、おむつ代は施設負担となりますが、特別養護老人ホームには医師が常駐していないため、外部医療機関を受診した際は医療費が発生します。
料金を見て「思ったより高い」と感じることがあるかもしれませんが、負担軽減制度を活用することで費用を抑えられるケースも。具体的な料金はケースごとに異なるため、千代田区高齢介護課や希望する施設の相談窓口で見積もりを取ることが大切です。
千代田区で利用できる負担軽減制度
千代田区では、所得や資産が一定の基準以下の方を対象に、介護保険施設利用時の自己負担を軽減する制度が用意されています。制度ごとに対象や軽減内容が異なり、いずれも申請が必要です。
介護保険負担限度額認定制度
この制度は、介護サービス費の自己負担割合(1~3割)を軽減するものではなく、特別養護老人ホームやショートステイなどを利用する際の食費と居住費(部屋代)を所得段階に応じて減額する仕組みです。
要件を満たすと「介護保険負担限度額認定証」が交付され、施設に提示することで減額後の料金が適用されます。
主な対象要件
- 要支援・要介護認定を受けていること
- 世帯全員および配偶者(事実婚を含む)が住民税非課税であること
- 預貯金や有価証券などの資産が一定基準以下であること
必要書類
- 介護保険負担限度額認定申請書
- 預金通帳の写し(申請日の約2か月前までの記載ページ、表紙、定期預金ページなど)
- 有価証券を保有している場合は取引残高報告書の写し
- 借入がある場合は借用書の写し
- 書類提出時には「チェックシート」の確認が必要
この制度を利用するには申請が必要です。詳しい申請方法や窓口については、千代田区保健福祉部高齢介護課介護事業指定係(電話:03-5211-4336)にお問い合わせください。
社会福祉法人等による生計困難者向けの利用者負担軽減
所得や資産が一定の要件を満たす方を対象に、介護サービス費(10%の自己負担分)・食費・居住費を軽減する制度です。対象サービスは、地域密着型特別養護老人ホームです。
軽減内容
- サービス利用料(自己負担分)・食費・居住費の合計額の25%を軽減
- 老齢福祉年金受給者は50%軽減
- 生活保護受給者は、個室の居住費(滞在費)の自己負担分が全額軽減
- 食費や居住費の軽減は、「特定入所者介護(予防)サービス費」の対象者に限られます
この制度を利用するには「社会福祉法人等利用者負担軽減確認証」の交付を受け、施設に提示する必要があります。申請については、千代田区保健福祉部高齢介護課介護事業指定係(電話:03-5211-4336)にお問い合わせください。
制度利用の流れ
- 必要書類を準備し、窓口または郵送で申請
- 区の審査を経て「認定証」や「確認証」が交付
- 施設に証明書を提示することで、減額後の料金で利用可能
入所待機中・在宅介護を支援する制度

特別養護老人ホームへの入所を待つ間、または在宅での介護を続けたい方のための支援制度です。
主な居宅サービス(介護保険適用)
- 訪問介護、デイサービス、ショートステイ
- 訪問看護、訪問リハビリなど
家族介護者への支援
- 家族介護者教室・交流会(年6回以上開催)
- かがやきカウンセリングルーム(無料)
福祉用具・住宅改修
- 福祉用具貸与・購入費支給(上限10万円)
- 住宅改修費支給(上限20万円)
相談窓口とサポート体制
特別養護老人ホームの入所や介護に関する相談は、以下の窓口で受け付けています。
特養入所の申込み・介護保険の手続き:高齢介護課(千代田区役所)
- 要介護認定の申請
- 特別養護老人ホームの入所申込み受付
- 介護保険料・負担限度額認定などの手続き
地域での総合相談:高齢者あんしんセンター(地域包括支援センター)
千代田区には麹町センターと神田センターの2か所があり、地域の身近な相談窓口として機能しています。
- 在宅介護サービスの利用調整
- 介護予防・認知症に関する相談
- 家族介護者への支援
総合サポート拠点:高齢者総合サポートセンター(かがやきプラザ)
- 介護・福祉に関する総合相談
- 介護者向けカウンセリング(無料)
- 特養入所申込みの受付も可能
初めての方は、お住まいの地域の「高齢者あんしんセンター」または「かがやきプラザ」に相談すると、必要な手続きや窓口を案内してもらえます。
千代田区で特別養護老人ホームを検討する方へ
特別養護老人ホームへの入所には、要介護認定の取得、施設選び、申込み、入所判定という流れがあります。待機期間が発生する場合もあるため、早めに準備を始めることが大切です。
「どの施設を選べばよいのか」「費用はどのくらいかかるのか」など、疑問や不安を感じたときは、千代田区役所高齢介護課や高齢者あんしんセンター、かがやきプラザなどの相談窓口で気軽に相談してみてください。専門の職員が状況に合った支援や制度を案内してくれます。
千代田区で特別養護老人ホームを検討している方やそのご家族にとって、この情報が少しでも安心と手がかりになれば幸いです。
参照元:厚生労働省 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、千代田区 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、千代田区特別養護老人ホームの入所申込、介護サービス利用料の減免等、千代田区の介護保険、介護保険サービスの種類と自己負担金のめやす、家族介護者教室、かがやきカウンセリングルーム(介護カウンセリング)、相談窓口






