武蔵野市、第10期介護保険事業計画の論点23項目を公表|人材確保・ICT・認知症施策など

武蔵野市、第10期介護保険事業計画の論点23項目を公表|人材確保・ICT・認知症施策などを表す画像

令和8年6月16日、武蔵野市は「高齢者福祉計画・第10期介護保険事業計画専門部会」の第2回会合を開催し、令和9~11年度の計画策定に向けた23の論点を提示しました。

2040年の団塊ジュニア世代の高齢期を見据え、介護人材の確保、ケアマネジャーの業務負担軽減、医療介護連携の深化など、現場に直結するテーマが多く盛り込まれています。

この記事でわかること

  • 武蔵野市が第10期介護保険事業計画(令和9~11年度)で提示した23の論点の概要
  • ケアマネジャーのシャドーワークの実態と、居宅介護支援事業者連絡協議会が市に提出した3つの提言
  • 介護人材の高齢化・不足の現状と、ICT導入支援や認知症施策推進計画をめぐる議論のポイント

ケアマネのシャドーワーク|通院支援や生活雑務が常態化

部会で特に議論が白熱したのが、ケアマネジャーのシャドーワーク問題です。

市が実施したケアマネジャーアンケートでは、「通院支援(送迎・付き添い・介助)」を「自身あるいは他の介護支援専門員が対応した」割合が52.7%に上りました。

部会に出席した居宅介護支援事業者連絡協議会の委員からは、通院介助のほか、マイナンバーカードの手続代行、家電トラブルの対応、粗大ごみシールの購入代行など、介護保険外の業務を幅広く担っている実態が報告されました。

同協議会は市に対し、

  1. 院内介助への市独自助成事業の創設
  2. シルバー人材センター等の既存社会資源の再整理と利用促進
  3. ケアマネジャーの本来業務を周知するリーフレットの作成

上記の3点を意見書として提出しています。

市側も「ケアマネジャーが専門性を発揮できる環境づくりが最も重要」との認識を示し、他分野の社会資源を整理してケアマネジャーや利用者が確認できる仕組みの構築を検討する考えを述べました。

人材確保|高齢化する介護職員と外国人・スポットワーカーの活用

介護職員・看護職員等実態調査によると、介護職員の50歳以上の割合は43.7%、ケアマネジャーでは60歳代以上が39.5%と、支える側の高齢化が顕著です。

介護職が「不足している」と回答した施設・事業所は24.3%に上る一方、外国人介護職員の受入れ意向がない事業所が39.0%、スポットワーカーを活用済みの事業所は20.6%にとどまりました。

市は「介護職・看護職Reスタート支援金事業」を継続し、令和7年度は56件の支給実績を上げています。

しかし、部会では新卒者・経験者・潜在有資格者それぞれに対する施策のあり方や、外国人・スポットワーカーの活用促進について今後議論を深める方針が示されました。

ICT導入支援と生産性向上

デジタル技術の導入については、「導入コストが高い」「推進役となる職員がいない」が主な課題として挙がっています。

部会では、居宅介護支援事業所における電話対応の効率化(AI留守番電話とLINE連携等)も支援対象に含まれるかとの質問があり、市は「ICTやデジタル機器を広く捉えれば含まれる」と回答。

国や都の補助金の対象範囲を確認しつつ、事業者間や保険者とのやりとりの効率化を優先的に進める考えを示しました。

認知症施策推進計画の策定と「新しい認知症観」の普及

認知症基本法の施行を受け、市は第10期計画と調和する形で認知症施策推進計画を策定します。

部会に先立ち、認知症のある人本人、家族、事業者へのヒアリングが実施され、「相談窓口に行く勇気が出なかった」「診断結果が出るまでの待機中に不安が増大した」といった当事者の声が共有されました。

副部会長からは、認知症対応型通所介護だけでなく、医療機関、スーパー、公共交通機関、雇用主など幅広い事業者へのヒアリングの必要性が指摘されています。

身寄りのない高齢者支援と5%助成の行方

「頼れる身寄りがいない高齢者等への対応」も重要論点として位置づけられました。

副部会長は、親族の有無だけで支援の対象を判断すべきでないと指摘し、住民情報だけに頼らない慎重な運用を求めました。

また、市独自の「利用者負担額助成事業(5%助成)」については、介護保険システム標準化に伴う事務負担の増大を踏まえ、制度の持続可能性と事務効率化の両面から再検討する方針が示されています。

次回の第3回専門部会は令和8年7月14日に開催予定です。引き続き論点の具体化と施策の方向性が議論されます。

参照元:第2回 武蔵野市高齢者福祉計画・第10期介護保険事業計画策定委員会 会議要録(令和8年6月開催) 資料2 認知症のある人、家族、支援事業者ヒアリング 資料3 武蔵野市在宅介護・地域包括支援センターヒアリング 資料5 武蔵野市高齢者福祉計画・第10期介護保険事業計画及び認知症施策推進計画策定にあたっての論点

執筆者紹介 高橋

医療と介護をつなぐ「安心のサポーター」。現場のリアルな知恵を届けます。

訪問看護やデイサービスでの勤務を通して、介護の現場に携わってきました。病院勤務の経験もあり、医療と介護の両方の視点から、現場で得た知識や経験をわかりやすくお届けします。

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