2025年12月2日、第53回日本救急医学会総会・学術集会において、慶應義塾大学医学部による高分解能レーダーシステムを用いた高齢者「転倒」検知の実証成果が発表されました。これは、高齢社会の逼迫する介護現場の課題解決、特に要介護化の主要因である「転倒」の早期発見と予防に挑むものです。
日本の要介護認定者数は2030年に約900万人に達する見込みであり、要介護化の一因となる転倒の早期処置は、高齢者の健康維持に不可欠とされています。
介護施設での実証:転倒発見までの時間短縮に貢献
この実証実験は、特別養護老人ホーム、認知症高齢者グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅など、ニーズが異なる複数の介護施設で実施。室内の壁面や天井に小型のレーダーセンサを設置し、転倒検知の有効性が検証されました。
実証で確認された具体的な改善効果は以下のとおりです。
1.救助時間の短縮可能性

特別養護老人ホームで発生した大腿骨骨折の事例において、スタッフによる救助が転倒発生から46分後に行われたのに対し、センサ側では転倒直後に通知が記録されていました。もしセンサ通知がスタッフにつながっていれば、45分早い救助に貢献できた可能性が示されました。
2.転倒予防への応用

住宅型有料老人ホームでは、パーキンソン病を罹患している被験者の転倒件数が急激に増加したことがセンサによって定量的に把握されました。これにより、症状増悪の可能性を迅速に察知し、部屋のレイアウト変更などの転倒予防措置を講じることができ、転倒削減に寄与しました。
転倒検知から始まるワンストップソリューションへの展望
これらの実証結果は、高精度レーダーシステムが、介護スタッフよりも早い転倒発見への貢献可能性、そして転倒傾向から具体的な予防策への貢献可能性を見出せることを示しています。
研究者らは、この即時検知を起点として救急搬送までつなぐワンストップソリューションを提供できれば、介護施設における介護業務の効率化や、一般住宅に住む高齢者の介護予防、ひいては要介護化の抑制に貢献できるとしています。
センサ技術による定量的データ活用は、高齢者の安全確保と介護負担軽減のための、重要な一歩となるでしょう。
参照元:プレスリリース





