2026年3月12日、NTTドコモビジネスXとNTTデータ経営研究所は、就労しながら介護を担う「ワーキングケアラー(ビジネスケアラー)」に関する実態調査の結果を公表しました。就労者の5人に1人が介護を経験している一方で、企業の支援制度が十分に活用されていない深刻な現状が浮き彫りとなっています。
1.浮き彫りになった「介護の長期化」と「孤独な将来」
調査の結果、仕事と介護の両立は、一時的な問題ではなく長期的な課題であることが分かりました。
介護経験者は2割、期間は「5年以上」が最多

30代〜60代の就労者のうち、20.5%が介護を経験しています。また、その期間は「5年以上」が約3割と最も多く、半数以上が3年を超える中長期の介護を担っています。
将来への不安は「頼れる人の不在」

将来、自分が介護される側になった際の不安として、約半数が「頼れる人がいない」と回答しました。金銭面(約36%)や認知機能の低下(約35%)を上回り、介護の担い手や支援者の不在への懸念が、最大の不安要素となっています。
2.制度活用を阻む「職場の風土」と「心理的ハードル」
企業の両立支援制度(介護休業やテレワーク等)の導入は進んでいるものの、実際の利用には大きな壁が存在します。
制度があっても4割以上が「未活用」
勤務先に支援制度がある介護経験者のうち、42.2%が「いずれの制度も活用していない」と回答しました。制度が形骸化しており、従業員の実際のニーズに応えきれていない実態がうかがえます。
出産・育児支援との大きな格差

「出産・育児支援と比較して、介護支援の方が充実している」と感じる人はわずか4.5%。さらに、約半数が「介護の支援が必要であることを職場に伝えるのは、育児よりハードルが高い」と感じており、職場における介護への理解不足や話しづらい雰囲気が浮き彫りとなりました。
調査概要
- 調査対象: 就労している30歳以上の男女 1,061人
- 調査期間: 2025年10月6日〜10月11日
- 実施機関: NTTドコモビジネスX株式会社、株式会社NTTデータ経営研究所
編集部より
今回の調査で注目すべきは、介護支援が「出産・育児支援」に比べて制度・心理面ともに大きく遅れている点です。済産業省の推計によると、2030年にはワーキングケアラーが約318万人に達し、介護離職や生産性低下による経済損失は約9兆円にのぼるとされています。
企業にとって、制度を作るだけでなく「介護を理由に休む・働き方を変える」ことを当たり前に受け入れる風土づくりは、もはや福利厚生ではなく、労働力確保のための死活問題といえるでしょう。
参照元:プレスリリース





