介護・福祉業界では、人材不足や離職率の高さが深刻な課題となっています。特に東京都心部では、物価や地価の高さも重なり、介護・福祉人材の確保が難しくなっている状況です。
こうした中、渋谷区は令和8年度(2026年度)の新規事業として、介護職員やケアマネジャー、障がい福祉サービス事業所で働く職員などを対象にした独自の賃上げ支援制度「福祉人材支援手当」を創設する方針を示しました。
区独自の手当として月額最大2万円を支給する内容で、福祉・介護分野の処遇改善策として注目されています。
本記事では、渋谷区の「福祉人材支援手当」の概要や対象者、支給額、実施スケジュールについてわかりやすく解説します。
目次
この記事でわかること
- 渋谷区が2026年度に創設する「福祉人材支援手当」の支給額や加算の仕組み
- 対象となる職種・勤務条件・対象規模などの具体的な要件
- 支給開始時期や予算額などの今後のスケジュール
渋谷区の「福祉人材支援手当」とは?
渋谷区が新たに実施する「福祉人材支援手当」は、区内の介護事業所や障害福祉サービス等事業所で働く職員を対象に、給与へ上乗せする形で支給される独自手当です。
背景には、全産業と福祉・介護分野との平均賃金の格差があります。
東京都では福祉・介護人材への手当の支給が始まり、国でも報酬改定が予定されていますが、渋谷区では、物価や地価が高い都心部では依然として十分な格差是正には至っていないとしています。
そのため、区独自に福祉人材支援手当を支給し、区内事業所における人材確保・定着を促進する方針です。あわせて、サービスの質の向上や運営体制の安定化を目指す取り組みと位置づけられています。
月額最大2万円を支給|ケアマネジャーと勤続6年目以上の職員は加算
福祉人材支援手当では、対象者1人あたり月額1万円を基本として支給します。
さらに、介護分野では、ケアマネジャーおよび勤続6年目以上の職員に月額1万円を加算。障がい福祉分野では、勤続6年目以上の職員に月額1万円を加算します。該当する職員は、最大で月額2万円の支給を受けられる仕組みです。
| 区分 | 支給額 |
|---|---|
| 基本支給 | 月額1万円 |
| ケアマネジャー | 月額1万円を加算 |
| 勤続6年目以上の福祉・介護職員 | 月額1万円を加算 |
月額2万円の対象となる場合、年間では24万円の増額となります。日々の業務を支える職員にとって、継続的な処遇改善につながる支援策といえるでしょう。
また、区は手当の支給に加え、社会保険料相当分として15%を別途補助する方針です。予算額4億8,800万円には、この社会保険料相当分の補助も含まれています。
対象は週20時間以上勤務する常勤・非常勤職員
対象となるのは、渋谷区内の介護事業所や障害福祉サービス等事業所に勤務する福祉・介護職員などです。
介護分野では、介護事業所に勤務する介護職員やケアマネジャーが対象に含まれます。障がい福祉分野では、障害福祉サービス等事業所に勤務する福祉・介護職員が対象です。
勤務形態は常勤・非常勤を問いません。ただし、所定労働時間が週20時間以上であることが条件となっています。
対象規模は、介護分野で220事業所・約1,500人、障がい分野で246事業所・約1,200人が見込まれています。介護分野だけでなく、障がい福祉分野も含めた広い支援策である点が特徴です。
区内で働き続けられる就労環境づくりを支援
渋谷区の資料では、福祉人材支援手当について「区内での従事経験を有する福祉人材が、安心して働き続けられる就労環境の整備」を支援するものと説明されています。
単に一時的な賃上げを行うだけでなく、区内の介護・福祉現場で働く人が、将来への不安を軽減しながら継続して働ける環境づくりを進めることが目的です。
特にケアマネジャーは、利用者や家族への相談支援、ケアプラン作成、サービス事業所との連絡調整など、介護保険制度を支える重要な役割を担っています。今回の制度で加算対象に含まれていることは、専門職の定着支援という面でも注目されます。
支給開始は2026年11月を予定
渋谷区の資料によると、福祉人材支援手当は、令和8年6月に対象事業所への周知を開始し、令和8年11月から支給を始める予定です。
事業の予算額は4億8,800万円です。この金額には、対象職員への手当支給分に加え、社会保険料相当分15%の補助も含まれています。
今後は、事業所への周知や申請手続きの詳細が示されるとみられます。対象となる事業所や職員は、渋谷区からの案内を確認しておくことが大切です。
渋谷区が介護・障がい福祉人材の処遇改善を独自に支援
渋谷区の「福祉人材支援手当」は、区内の介護事業所や障害福祉サービス等事業所で働く職員を対象に、月額最大2万円を支給する独自の処遇改善策です。
基本支給は月額1万円で、ケアマネジャーや勤続6年目以上の福祉・介護職員には、さらに月額1万円が加算されます。対象は週20時間以上勤務する常勤・非常勤職員で、介護分野では約1,500人、障がい分野では約1,200人が対象となる見込みです。
人材不足が続く介護・福祉分野において、自治体が独自に賃上げ支援を行う取り組みは、職員の定着やサービス提供体制の安定化につながる可能性があります。渋谷区で働く介護・福祉職員や事業所にとって、今後示される詳細な制度内容が注目されます。
参照元:渋谷区 令和8年度(2026年度)渋谷区当初予算案概要

執筆者紹介
「福祉現場の架け橋」として、20年の経験から心に寄り添うヒントを。
介護福祉士および保育士として、高齢者介護から障がい福祉、保育まで、世代を問わず20年以上福祉の最前線に携わる。現場での豊富な実践経験を活かし、単なる制度解説に留まらない「介護する側・受ける側」双方の気持ちに寄り添った発信が持ち味。複雑な介護保険制度も、家族の視点に立って分かりやすく紐解きます。
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