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介護保険事業状況報告結果の概要(令和7年10月・11月分)から読み解く現場と財政の動向

介護保険事業状況報告結果の概要(令和7年10月・11月分)から読み解く現場と財政の動向を表す画像

厚生労働省が公表している「介護保険事業状況報告(暫定版)」は、全国の介護保険サービスの利用状況や給付費の推移を把握するうえで欠かせない基礎資料です。

本記事では、令和7年10月分・11月分を中心に、4月〜9月の動向と比較しながら、現場目線で読み解きます。

この記事でわかること

  • 令和7年度の要介護(要支援)認定者数は半年強で約13万人増加し、認定率が約20%を超えた
  • 居宅サービス受給者数は10月に一時減少したが11月に回復し、報告月とサービス提供月のズレを踏まえた読み方が重要である
  • 保険給付費は9月報告分をピークにやや落ち着いたものの、高額医療合算介護サービス費の変動には精算処理の集中という構造的な背景がある

第1号被保険者数は3,586万人台で横ばい

第1号被保険者数は、次のとおり推移しています。

  • 4月末:3,585万人
  • 10月末:3,587万人
  • 11月末:3,586万人

年度当初から見ても大きな増減はなく、月単位では横ばいに近い動きです。ただし、団塊世代が全員後期高齢者となった今、今後はより明確な増加傾向が統計に現れてくる可能性があります。

要介護(要支援)認定者数は736万人へ

認定者数は着実に増加しています。

  • 4月末:723.0万人
  • 10月末:735.4万人
  • 11月末:736.1万人

半年強で約13万人増加しており、認定率も4月の約19.8%から、11月は約20.1%へと上昇。11月時点の女性認定者数は499.2万人で、全体の約7割(約67.8%)を占めています。高齢女性人口の多さがそのまま介護需要に反映されている構図です。

居宅サービスは10月に一時減少、11月に回復

居宅(介護予防)サービス受給者数は、次のとおり推移しています。

  • 4月:430.3万人
  • 9月:443.2万人
  • 10月:441.9万人
  • 11月:444.8万人

10月は一時的に減少していますが、11月には再び増加に転じています。

ここで重要なのは、報告月と実際のサービス提供月にはズレがあるという点です。たとえば、11月公表分は原則として「9月サービス分」の動きが反映されています。つまり、10月版(8月サービス分)の減少は、猛暑や夏季休暇、帰省などによる一時的な利用控え、日数の影響など、季節要因が影響している可能性も考えられます。

統計の「月」だけを見るのではなく、実際のサービス提供時期と結びつけて読むことが重要です。

地域密着型サービスは緩やかな増加

地域密着型サービス受給者数は、次のとおり推移しています。

  • 4月:91.6万人
  • 10月:93.0万人
  • 11月:94.0万人

大きな伸びではありませんが、小規模多機能型居宅介護やグループホームなど、在宅生活を支える基盤として安定的に利用が広がっています。地域密着型の強みが統計にも表れているといえるでしょう。

施設サービスは横ばいの中で「介護医療院」が微増

施設サービス受給者数は、次のとおり推移しています。

  • 4月:95.9万人
  • 10月:96.0万人
  • 11月:97.4万人

大きな変動は見られず、高水準での横ばい傾向が続いています。しかし内訳を見ると、介護医療院は次のとおり推移している状況です。

  • 4月:5.0万人
  • 11月:5.2万人

全体規模としては小さいものの、着実な増加が続いている点が特徴です。この傾向は、老健や療養型病床からの転換が進んでいる可能性や、介護医療院へのニーズが高まっていることなどが背景として考えられます。

保険給付費は「9月ピーク後にやや落ち着き」

総給付費は、次のとおり推移しています。

  • 4月:8,764億円
  • 7月:9,763億円
  • 9月:9,782億円
  • 10月:9,538億円
  • 11月:9,586億円

年度前半にかけて増加し、9月に年度内のピークを記録しました。その後は9,500億円台で推移しており、やや落ち着いた水準に戻っていることがわかります。

高額医療合算介護サービス費の動向

特筆すべき点として、「高額医療合算介護(介護予防)サービス費」の変動があります。各月の推移は次のとおりです。

  • 4月:12億円
  • 5月:28億円
  • 6月:67億円
  • 7月:110億円
  • 8月:79億円
  • 9月:47億円
  • 10月:25億円
  • 11月:18億円

7月に110億円と突出し、その後は徐々に減少しています。この大きなばらつきは、需要の急増・急減によるものではありません。

高額医療合算介護サービス費は、1年間の医療費と介護費を合算し、自己負担限度額を超えた分を後からまとめて支給する仕組みです。そのため、年単位の精算処理が特定の時期に集中し、支給決定額が一時的に膨らむ月が生じます。

さらに、自治体ごとの事務処理や国保連への請求スケジュールの影響により、支給決定が特定の月に集中することもあります。結果として、統計上は大きく変動しているように映る構造です。

現場が向き合うこれからの課題

10月・11月のデータからは、認定者数が確実に増加を続けていること、在宅サービスは高水準を維持していること、そして給付費が年度後半に向けて拡大基調にあることが読み取れます。

また、施設サービス全体の構成は大きく変わらないものの、介護医療院が小幅ながら増加している点も見逃せません。統計上、急激な構造転換は見られませんが、需要と財政規模は着実に積み上がっています。

今後は、増加する認定者数に対応するための介護予防の強化に加え、人材確保と生産性向上への取り組みを一層進めていく必要があります。同時に、拡大する給付費を見据えた財政の持続可能性の確保も避けて通れない課題です。現場と制度の双方が連動しながら、質を維持しつつ支え続ける体制づくりが求められています。

参照元:厚生労働省 介護保険事業状況報告の概要(令和7年11月暫定版)介護保険事業状況報告の概要(令和7年10月暫定版)介護保険事業状況報告の概要(令和7年9月暫定版)介護保険事業状況報告の概要(令和7年8月暫定版)介護保険事業状況報告の概要(令和7年7月暫定版)介護保険事業状況報告の概要(令和7年6月暫定版)介護保険事業状況報告の概要(令和7年5月暫定版)護保険事業状況報告の概要(令和7年4月暫定版)

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