高齢化や単身世帯の増加が進む中、「高齢を理由に賃貸住宅を借りにくい」「障害があることで入居を断られた」といった住まいの課題が全国的に広がっています。
特に、見守りや生活支援が必要な方にとっては、住まい探しそのものが大きな負担になるケースも少なくありません。
こうした中、葛飾区では「居住サポート住宅」に関する制度案内を行っています。
これは、高齢者や障害者など住宅の確保に配慮が必要な方が、見守りや福祉サービスとの連携を受けながら、地域で安心して暮らし続けられるよう支援する仕組みです。
本記事では、居住サポート住宅の概要や対象者、支援内容、申請方法などについて、わかりやすく解説します。
目次
この記事でわかること
- 居住サポート住宅の概要と、「専用住宅」「非専用住宅」の違い
- 入居者が受けられる安否確認・見守り・福祉サービスへのつなぎなどの支援内容
- 賃貸人側にとってのメリット(代理納付・家賃債務保証・見守り体制)
居住サポート住宅とは?
居住サポート住宅とは、高齢者や障害者など「住宅確保要配慮者」が安心して住み続けられるよう、安否確認や見守り、福祉サービスとの連携などを組み合わせた賃貸住宅のことです。
住宅セーフティネット法の改正(令和7年10月施行)により創設された制度で、民間賃貸住宅を活用しながら、住まいと福祉を一体的に支えることを目的としています。
「専用住宅」と「非専用住宅」の違い
居住サポート住宅には、「専用住宅」と「非専用住宅」の2種類があります。
専用住宅
専用住宅とは、「要援助者」を対象にした住宅です。
要援助者とは、「安否確認」「見守り」「福祉サービスへのつなぎ」の3つすべてを必要とする方を指します。
制度上、居住サポート住宅として認定を受けるためには、計画の中に1戸以上の専用住宅を設ける必要があります。
単身高齢者や、障害によって継続的な見守りが必要な方などが主な対象です。
非専用住宅
非専用住宅は、それ以外の住宅です。
住宅確保要配慮者だけでなく、一般の方も入居できるケースがあります。
「施設に入るほどではないが、少し支援があると安心」という方にとって、利用しやすい住まいの選択肢の1つといえるでしょう。
どのような人が対象になる?
居住サポート住宅の対象となるのは、「住宅確保要配慮者」と呼ばれる方です。
具体的には、以下のような方が含まれます。
- 低額所得者
- 被災者
- 高齢者
- 障害者
- 子どもを養育している者
- その他住宅の確保に特に配慮を要するものとして国土交通省令で定める者
居住サポート住宅で受けられる支援
居住サポート住宅では、通常の賃貸住宅とは異なり、入居後の生活支援が制度として整備される仕組みです。
安否確認
安否確認は、原則として1日1回以上実施されます。
主な確認方法としては、以下のとおりです。
- 人感センサーやドア開閉の検知
- 水道使用状況の検知
- 電気使用量の検知(スマートメーター)
- IoT家電(使用状況を検知する照明など)
- 電話やSNS(1日1回以上の双方向のやりとりが必要)
- 訪問確認
なお、制度上は「緊急通報ボタンを押した時だけ通知される仕組み」だけでは、安否確認として不十分とされています。
たとえば、意識を失った場合など、自分でボタンを押せないケースにも対応できるよう、24時間以内に異常を自動検知できる仕組みが必要です。
また、異常を検知した場合には、認定事業者が速やかに現地確認を行い、必要に応じて関係機関と連携する対応フローがあらかじめ定められています。
独居の高齢者や、ご家族が遠方にお住まいの方にとっても、安心につながる仕組みです。
見守り
見守りは、原則として月1回以上行われます。
対面確認が基本ですが、ビデオ通話による対応も認められています。
主な確認内容は、以下のとおりです。
- 心身の状態(顔色や外見の変化、食事・睡眠の状況など)
- 生活状況(室内の様子、ごみの状況、ライフラインの使用状況など)
- 福祉サービスの必要性の有無
単なる安否確認ではなく、生活全体を支える支援として位置づけられている点が特徴です。
福祉サービスへのつなぎ
必要に応じて、介護・医療・福祉サービスへつなぐ支援も行われます。
たとえば、以下のような機関・サービスとの連携が想定されています。
- 地域包括支援センター
- ケアマネジャー
- 訪問介護
- デイサービス
- 医療機関
- 障害福祉サービス
賃貸人側のメリットとは?
居住サポート住宅は、入居者支援だけでなく、賃貸人側の不安軽減も重視された制度です。
家賃滞納リスクを軽減できる
生活保護受給者が居住サポート住宅に入居する場合には、住宅扶助費(家賃)の「代理納付」が原則化されています。
これは、生活保護の実施機関(自治体)が、住宅扶助費を入居者に代わって直接賃貸人へ支払う仕組みです。家賃と一緒に支払う共益費(生活扶助費)についても代理納付が可能です。
なお、代理納付を希望する旨を通知できるのは、居住支援法人や賃貸住宅管理業の登録事業者など、一定の要件を満たす認定事業者に限られます。
家賃債務保証業者を利用できる
居住サポート住宅に入居する要配慮者に対しては、「認定家賃債務保証業者」が家賃債務保証を原則として引き受ける仕組みです。
認定家賃債務保証業者には、緊急連絡先を親族などの個人に限定しないこと(法人でも可)や、保証人の設定を条件としないことなどが求められており、高齢者や障害者の入居で連帯保証人や緊急連絡先の確保が難しいケースでも、賃貸人側が安心して住宅を貸し出しやすくなります。
見守り体制がある安心感
見守りや福祉サービスとの連携体制が制度として整備されていることで、孤独死のリスクや緊急時対応の負担、トラブルの長期化などに対する不安軽減も期待されています。
申請方法
葛飾区内で居住サポート住宅を実施する場合は、事前相談および認定申請(オンライン)が必要です。
入居を希望する方へ
居住サポート住宅への入居を検討されている方は、「居住サポート住宅情報提供システム」から登録住宅の情報を検索できます。お住まいの地域の地域包括支援センターや自治体の住宅担当窓口への相談も可能です。
事業者の方へ
申請は、「居住サポート住宅情報提供システム」から受け付けています。
居住サポート住宅情報提供システムでは、制度の概要や申請方法を確認できるほか、登録住宅の情報検索なども行えます。
申請を検討している事業者は、必要書類や認定基準を事前に確認したうえで手続きを進めることが大切です。
住まいと福祉をつなぐ新たな仕組みとして注目
居住サポート住宅は、高齢者や障害者など、住まいの確保に不安を抱える方を支える新しい制度です。
単なる賃貸住宅ではなく、安否確認や見守り、福祉サービスとの連携、緊急時対応などを組み合わせることで、地域で安心して暮らし続けられる環境づくりを目指しています。
また、賃貸人側にとっても、家賃滞納対策や保証制度、見守り体制などが整備されることで、住宅確保要配慮者を受け入れやすくなる仕組みとなっています。
今後、高齢化や単身世帯の増加が進む中で、居住サポート住宅は、地域で暮らし続けるための新たな住まいの選択肢として、さらに注目されていく可能性があるでしょう。
参照元:葛飾区 居住サポート住宅、国土交通省 居住サポート住宅情報提供システム、居住サポート住宅認定制度認定申請解説書

執筆者紹介
「福祉現場の架け橋」として、20年の経験から心に寄り添うヒントを。
介護福祉士および保育士として、高齢者介護から障がい福祉、保育まで、世代を問わず20年以上福祉の最前線に携わる。現場での豊富な実践経験を活かし、単なる制度解説に留まらない「介護する側・受ける側」双方の気持ちに寄り添った発信が持ち味。複雑な介護保険制度も、家族の視点に立って分かりやすく紐解きます。





