中山間・人口減少地域の介護サービスはどうなる?第10期計画で検討される新たな対応策

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第10期介護保険事業(支援)計画の策定に向けて、地域ごとの実情に応じた介護サービス提供体制の見直しが重要なテーマとなっています。

中でも注目されているのが、中山間・人口減少地域におけるサービス確保のあり方です。これらの地域では、従来の仕組みだけでは持続的なサービス提供が難しくなっており、新たな対応策の検討が進められようとしています。

本記事では、厚生労働省の事務連絡をもとに、中山間・人口減少地域の課題と、今後検討される対応の方向性について整理しましょう。

この記事でわかること

  • 第10期計画で検討される中山間・人口減少地域の介護サービス確保の方向性
  • 既存制度(基準該当サービス・特別地域加算等)の限界と「特例介護サービスの新たな類型」の検討状況
  • 令和8年度から始まる実態把握・都道府県と市町村の連携スケジュール

地域分類の考え方:一律ではなく「地域特性」に応じた設計へ

第10期計画では、地域の特性に応じた施策を検討するため、市町村が自らの地域を客観的なデータに基づき分析し、3つの分類のいずれに該当するかを念頭に検討を行う方針が示されています。

  • 中山間・人口減少地域
  • 大都市部
  • 一般市等

この分類は、人口動態やサービス需要の変化、事業所の分布状況などを踏まえて整理されるものであり、地域ごとの課題に応じたサービス提供体制を構築することが目的です。

特に中山間・人口減少地域については、他の地域とは異なる構造的な課題が存在するため、重点的な対応が求められています。

中山間・人口減少地域で顕在化する課題

中山間地域や人口減少が進む地域では、すでに介護サービスの提供体制にさまざまな課題が生じています。

まず、訪問介護事業所の減少です。利用者数の減少や移動コストの増大により、事業の採算が取りにくく、撤退する事業者も少なくありません。その結果、サービス提供そのものが困難になる地域も出てきています。

また、訪問介護においては、利用者宅間の移動負担が大きいことも課題です。都市部に比べて移動距離が長く、移動時間も業務の大きな割合を占めるため、効率的なサービス提供が難しい状況です。

さらに、慢性的な人材不足も深刻です。人口減少に伴い担い手が不足し、職員の確保が困難な状況が続いています。加えて、事業所によっては赤字経営が継続しているケースも見られ、サービス提供の持続性が危ぶまれている状況です。

こうした複合的な課題が重なり、中山間・人口減少地域では「サービスを維持すること自体が難しい」という構造的な問題が顕在化しています。

既存の対応策とその限界

これまで、こうした地域に対しては一定の支援策が講じられてきました。

代表的なものとしては、以下のような制度があります。

  • 基準該当サービス
  • 離島等相当サービス
  • 特別地域加算

これらは、事業所が少ない地域でも一定のサービス提供を可能とするための仕組みであり、一定の効果を果たしてきました。

しかしながら、人口減少の進行や人材不足の深刻化により、これら既存の制度だけでは十分に対応しきれないケースも増えてきています。今後は、これまでの対応策を踏まえつつ、より柔軟で実効性のある仕組みが求められると考えられます。

「特例介護サービスの新たな類型」の検討が開始へ

こうした背景を踏まえ、第10期計画では「特例介護サービスの新たな類型」の導入の必要性を含めて検討が進められる見込みです。

国の資料のタイムラインでは、制度改正により創設される特例介護サービスの新たな類型の活用が想定されています。ただし、具体的な内容や制度設計(対象地域、実施基準等)はまだ明らかになっておらず、導入の検討の要否も含めて都道府県・市町村間で調整が行われる段階です。

特に中山間・人口減少地域においては、従来の基準では対応が難しいケースも多く、こうした枠組みがどのように設計されるのか、あるいは導入されるのかが今後の大きなポイントとなるでしょう。

なお、令和9年度以降を1つの目安として、都道府県と市町村が連携しながら議論・検討を進め、必要に応じて自治体の条例や規則の整備が行われる予定とされています。

令和8年度から実態把握と議論が本格化

第10期計画の策定に向けては、令和8年度から具体的な準備が本格化します。

都道府県は、令和8年4月頃から市町村に対して、以下のような事項の把握・分析を依頼される見込みです。

  • 介護サービス事業所の分布状況
  • サービス提供体制の実態
  • 稼働状況や経営状況
  • 地域ごとの課題

これらのデータをもとに、同年夏頃(7月を目途)には、都道府県と市町村の間で課題認識の共有や意見交換が行われる予定です。

また、必要に応じて複数の市町村を含めた広域的な議論も行われることが想定されており、単独の自治体だけでなく、広域的な視点でのサービス確保が重要となります。

今後の検討における留意点

中山間・人口減少地域に関する検討においては、いくつかの重要な留意点があります。

まず、「中山間・人口減少地域」の範囲については、現時点で検討されている他の事業(小規模市町村地域支援連携協働体制整備事業(仮称)など)とは必ずしも一致するものではありません。従って、制度ごとに対象範囲が異なる可能性がある点に注意が必要です。

また、新たな特例サービスの類型についても、現時点では詳細が確定していないため、今後の国の議論や制度設計の動向を注視する必要があります。

中山間地域の介護をどう支えるかが今後の焦点に

中山間・人口減少地域における介護サービスの確保は、今後の介護保険制度における大きな課題の1つです。

従来の制度では対応が難しくなりつつある中、地域の実情に応じた柔軟な仕組みの構築が求められています。第10期計画では、その第一歩として実態把握と課題整理が進められ、新たな対応策の検討が本格化していく見込みです。

地方の介護事業者や自治体関係者にとっては、今後の制度動向が事業運営や地域包括ケアのあり方に大きく影響する可能性があるため、継続的な情報収集と対応が重要となるでしょう。

※本内容は令和8年3月時点の検討状況に基づくものであり、今後変更される可能性があります。

参照元:介護保険最新情報 第 10 期介護保険事業(支援)計画の策定に向けた 事前準備に関する留意事項について Vol.1485 令和8年3月26日

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