訪問介護の収支差率9.6%、全サービス平均を上回るも地域差大

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厚生労働省が令和8年6月29日に開催した第259回社会保障審議会介護給付費分科会に提出した資料によると、訪問介護の令和6年度決算における収支差率(税引前、物価高騰対策関連補助金を含まない)は9.6%となりました。

令和6年度介護報酬改定では訪問介護の基本報酬が引き下げられ、業界からは厳しい意見も上がっていましたが、全介護サービス平均の4.7%を大きく上回る結果となっています。

この記事でわかること

  • 訪問介護の令和6年度収支差率は9.6%で全サービス平均4.7%を上回るが、地域や事業所規模によるばらつきが大きいこと
  • 休止・廃止事業所の主な理由は「人員不足」であり、「報酬改定による収入減」は552件中わずか7件にとどまること
  • 厚生労働省が補正予算56億円で進めるタスクシェア・通所介護の多機能化・サテライト設置の3つの体制確保策

収支差率の推移と全体像

厚生労働省の資料では、訪問介護の収支差率は令和3年度5.8%、令和4年度7.8%、令和5年度11.1%、令和6年度9.6%と推移してきました。

令和5年度の11.1%からは低下したものの、依然として全介護サービス平均の4.7%を上回る高い水準を維持しています。

金額ベースでは、1事業所あたり1か月の収支差額は約31.6万円となりました。全国平均で見ると、訪問介護は居宅サービスの中でも比較的高い収益性を示す結果となっています。

ただし、この数値だけで訪問介護全体の経営状況を判断することはできません。

厚生労働省は、都市部と中山間地域などの立地条件、事業所の規模、集合住宅利用者の割合などによって収支差率には大きなばらつきがあることを示しており、個々の事業所の状況を踏まえた分析が必要としています。

休止・廃止の実態 ―「報酬減」ではなく「人員不足」が主因

資料では、令和6年6月から8月までの3か月間に休止・廃止となった訪問介護事業所は552事業所で、前年同期の510事業所から8.2%増加しました。

ただし、全国の訪問介護事業所数35,468事業所と比べると、その割合は限定的です。

休止・廃止理由を見ると、最も多かったのは「人員の不足」の255件でした。次いで「経営戦略上の事業所の統廃合」が78件となり、「介護報酬改定に伴う収入減」を理由としたものは7件にとどまっています。

また、休止・廃止の増加は大都市部や大都市を含む都道府県で目立つ傾向が見られました。

さらに職員の充足状況については、すべての地域区分で「不足」と回答した事業所が6~7割を占め、都市部では73.8%が人材不足を感じているなど、慢性的な人材確保が大きな課題となっていることが示されています。

R7補正予算56億円の体制確保策

厚生労働省は訪問介護の人材不足や地域間格差への対応として、令和7年度補正予算に56億円を計上し、新たな体制確保策を進めています。

1つ目は、5.9億円を充てる「タスクシェア・タスクシフトの推進」です。

家政婦(夫)やボランティア、学生など多様な担い手との協働モデルを構築し、生活援助の一部を分担することで、介護職員が専門性の高い業務に集中できる体制づくりを目指します。

2つ目は、11億円を計上する「通所介護の多機能化」です。

訪問介護事業所がない中山間地域などを対象に、通所介護事業所へ訪問機能を追加する取り組みで、アドバイザー派遣や初期費用の助成、導入後の定額補助などを行います。

3つ目は、12億円を計上する「サテライト(出張所)設置支援」です。本体事業所と連携しながら中山間地域などへ少人数の出張所を設置し、配置基準を柔軟に運用することで、サービス提供体制の維持を図る方針です。

いずれも人材確保や地域でのサービス継続を目的とした施策であり、今後の具体的な運用方法については引き続き検討が進められます。

まとめ

今回公表されたデータでは、訪問介護の全国平均の収支差率は9.6%となり、全介護サービス平均を上回る結果となりました。

一方で、休止・廃止事業所の主な要因は介護報酬改定による収入減ではなく、人材不足であることも明らかになっています。

また、厚生労働省は令和9年度介護報酬改定に向けた論点として、全国平均の収支差率だけで評価するのではなく、地域特性や事業所規模、事業形態による経営状況の違いを踏まえた検討が必要としています。

今後の制度改正では、全国平均の数値だけでなく、多様な事業所の実態を踏まえた議論が進められる見通しです。

参照元:厚生労働省 訪問介護

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