厚生労働省老健局高齢者支援課は令和8年7月8日、福祉用具および住宅改修に関する事務連絡4本を発出しました。
今回公表されたのは、介護給付の適正化や福祉用具専門相談員の人材育成、多職種連携、福祉用具の新種目提案に関する手引き・報告書・マニュアル等です。
いずれも令和7年度老人保健健康増進等事業の調査研究成果を自治体や事業所へ周知する内容となっています。
目次
この記事でわかること
- 厚労省が令和8年7月8日に発出した福祉用具・住宅改修に関する事務連絡4本の概要
- 住宅改修の点検手引き(第二版)やOJTマニュアルなど、各資料の主なポイントと改訂内容
- 自治体・事業所・ケアマネジャーなど、それぞれの立場での活用の視点
住宅改修の点検手引き(第二版)を公表 判断に迷う事例への対応も追加
今回公表された「介護給付適正化における住宅改修等の点検および福祉用具購入・貸与調査の取組促進に向けた手引き(第二版)」は、令和5年度に作成された第一版を改訂したものです。
介護保険における住宅改修や福祉用具購入・貸与の給付適正化を進めることを目的としています。
改訂版では、各自治体が効率的・効果的に点検を実施できるよう、住宅改修の点検方法や福祉用具購入・貸与調査のポイントを整理しています。
さらに、新たに「判断に迷う事例」とその対応のポイントが追加され、住宅改修の申請を確認する際の判断事例集も収録されました。
手引きは主に保険者(自治体)向けの資料ですが、住宅改修を検討している利用者や家族にとっても、「どのような視点で申請内容が確認されるのか」を知る参考になるでしょう。
福祉用具専門相談員向け指導ガイドライン・OJTマニュアルを新たに策定
今回、新たに策定されたのが「福祉用具専門相談員の資質向上に向けた指導ガイドライン・OJTマニュアル」です。
背景には、令和5年度に福祉用具専門相談員指定講習のカリキュラムが見直され、令和6年度に新カリキュラムに基づく指導要領等の周知が行われた一方で、講習修了後の事業所内教育(OJT)の実態が十分に把握されていなかったことがあります。
そのため、福祉用具貸与事業所における標準的な教育体制を示すことを目的として作成されました。
本資料は「教育・指導体制ガイドライン」と「新人職員教育のためのOJTマニュアル」の2部構成です。ガイドラインでは、新人教育体制の整備方法や指導者の育成、外部研修の活用などを整理しています。
OJTマニュアルでは、福祉用具貸与・販売におけるサービス提供場面ごとの指導方法や住宅改修に関する教育内容を具体的に示しています。
あわせて、入職後約1年間を想定した「OJTによる指導チェックリスト」も作成されました。
チェックリストは3か月ごとに習熟度を確認できる構成となっており、新人職員と指導者が目標を共有しながら育成を進められる内容です。
福祉用具貸与事業所では人材確保や職員定着が課題となっています。今回の資料は、教育体制の標準化やサービス品質の向上だけでなく、人材育成を支える実践的なツールとしても活用が期待されます。
多職種連携における福祉用具貸与事業所の役割も整理
厚生労働省はあわせて、「在宅高齢者への多職種による支援を踏まえた福祉用具貸与事業所の役割に関する調査モデル研究事業報告書」も公表しました。
報告書では、要支援認定前の地域在住高齢者への支援や、介護老人保健施設から在宅へ戻る際の退所支援などを対象に、多職種の中で福祉用具専門相談員が果たす役割や、効果的な連携のあり方が整理されています。
福祉用具の新種目提案手引書は改訂第3版に
「介護保険制度における福祉用具の新たな種目・種類の追加・拡充に関する提案の手引書」も改訂第3版が公表されました。
この手引書は、介護保険の対象となる新たな福祉用具を提案する製造・開発事業者向けの資料です。今回の改訂では、介護保険制度における福祉用具・住宅改修の制度内容や、有効性・安全性に関するデータの示し方などが見直されたほか、提案内容を自己点検できるチェックシートも新たに追加されました。
介護現場の質向上につながる資料として活用に期待
今回公表された4つの事務連絡に含まれる手引き・報告書等は、それぞれ対象は異なりますが、介護保険制度の適正な運用やサービスの質向上を支える内容となっています。
住宅改修の適正化、人材育成、多職種連携、新たな福祉用具の開発支援など、今後の介護現場に幅広く関わる内容が盛り込まれており、自治体や事業所だけでなく、福祉用具専門相談員やケアマネジャーなどの関係職種にとっても、確認しておきたい資料といえるでしょう。
参照元:厚生労働省 介護給付適正化における住宅改修等の点検および福祉用具購入・貸与調査の取組促進について 等

「福祉現場の架け橋」として、20年の経験から心に寄り添うヒントを。
介護福祉士および保育士として、高齢者介護から障がい福祉、保育まで、世代を問わず20年以上福祉の最前線に携わる。現場での豊富な実践経験を活かし、単なる制度解説に留まらない「介護する側・受ける側」双方の気持ちに寄り添った発信が持ち味。複雑な介護保険制度も、家族の視点に立って分かりやすく紐解きます。
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