厚生労働省は、2026年7月13日に「介護保険最新情報Vol.1523」、翌14日に「介護保険最新情報Vol.1524」を発出しました。
今回示されたのは、訪問リハビリテーション・介護予防訪問リハビリテーションにおける診療未実施減算、介護老人保健施設の初期加算(Ⅰ)、居住系・施設系サービスの協力医療機関連携加算に関する取扱いです。
訪問リハビリテーション事業所では、事業所外の医師に求められる研修要件が具体化されました。介護老人保健施設では、令和8年度診療報酬改定で新設された入院基本料の取扱いが示されています。
また、協力医療機関連携加算を算定する施設では、新たに協力医療機関を定めた場合の会議頻度が明確になりました。
本記事では、各Q&Aの内容を、介護事業所が押さえておきたいポイントに絞って解説します。
目次
この記事でわかること
- 訪問リハビリテーションの診療未実施減算で、日医かかりつけ医機能研修制度の応用研修が「適切な研修」に含まれるための具体的な要件
- 令和8年度診療報酬改定で新設された「急性期病院一般入院基本料」が、介護老人保健施設の初期加算(Ⅰ)の対象に含まれるかどうか
- 協力医療機関連携加算で、新たに協力医療機関を定めた場合に求められる会議の頻度と実施期限
訪問リハビリテーション|診療未実施減算の「適切な研修」に日医かかりつけ医機能研修は含まれる?
訪問リハビリテーションや介護予防訪問リハビリテーションでは、事業所の医師が利用者を診療せず、別の医療機関の医師から情報提供を受けて、リハビリテーション計画を作成し、実施を指示することも可能です。
この場合、事業所外の医師が「適切な研修の修了等」の要件を満たしていれば、基本報酬から50単位を減算したうえで、訪問リハビリテーション費などを算定できます。
「介護保険最新情報Vol.1524」の問1では、日本医師会の「日医かかりつけ医機能研修制度」における応用研修の単位取得が、この「適切な研修の修了等」に含まれるかが示されました。
日医かかりつけ医機能研修の応用研修も対象
厚生労働省は、日医かかりつけ医機能研修制度の応用研修についても、診療未実施減算における「適切な研修の修了等」に含まれるとしています。
ただし、応用研修を受講しているだけで、必ず要件を満たすわけではありません。
指定されたリハビリテーション関連のプログラムを含め、所定の期間内に必要な単位数を取得していることなどが求められます。
応用研修の全単位を取得していなくてもよい
今回のQ&Aで注目したいのは、応用研修のすべての単位を取得している必要はないと明確にされた点です。
事業所外の医師は、対象となるプログラムを含めたうえで、次のいずれかの条件を満たす必要があります。
- 訪問リハビリテーション事業所などへ情報提供を行う日の属する月から、前36か月の間に合計6単位以上を取得している
- 令和9年3月31日までに所定の単位を取得する予定である
たとえば、応用研修全体の修了認定を受けていない医師であっても、対象プログラムを含む合計6単位以上を、情報提供を行う日の属する月から前36か月の間に取得していれば、研修要件を満たします。
一方、合計6単位以上を取得していても、厚生労働省が示した対象プログラムが含まれていなければ、今回示された要件には該当しない点に注意が必要です。
年度別の該当プログラム
対象となる応用研修のプログラムは、年度によって異なります。
| 年度 | 該当プログラム |
|---|---|
| 令和8年度 | 在宅を支えるリハビリテーション |
| 令和7年度 | かかりつけ医とリハビリテーションの連携 |
| 令和6年度 | リハビリテーションにおける医療と介護の連携 |
| 令和5年度 | 介護保険制度における医療提供と生活期リハビリテーション |
| 令和5年度 | 口腔・栄養・リハビリテーションの多職種協働による一体的取組 |
日医かかりつけ医機能研修制度の応用研修会は、各年度6単位を基本とする内容で、通常1日の日程です。
令和8年度の応用研修については、日本医師会が公表する「日医かかりつけ医機能研修制度」の詳細もあわせて確認する必要があります。
診療未実施減算の適用猶予は令和9年3月31日まで
診療未実施減算に関する研修要件には、令和9年3月31日まで適用猶予措置が設けられています。
ただし、猶予期間中であっても、訪問リハビリテーション事業所側の確認や記録が不要になるわけではありません。
事業所の従業者は、計画的な医学的管理を行う医師について、適切な研修を修了しているか、または令和9年3月31日までに必要な単位を取得する予定があるかを確認し、訪問リハビリテーション計画書に記載する必要があります。
事業所外の医師も、利用者に関する情報を提供する際には、訪問リハビリテーション事業所から求められた場合、研修の修了状況や取得予定について伝えなければなりません。
事業所では、医師から情報提供を受ける際の確認項目に、研修の名称、取得単位数、受講年度、今後の取得予定などを加えておくとよいでしょう。
なお、今回のQ&Aは、「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.15)」(令和7年7月9日)の問1を一部修正したものです。
過去のQ&Aのみをもとに運用している事業所は、今回の内容をあらためて確認しておく必要があります。
介護老人保健施設|初期加算(Ⅰ)の対象に「急性期病院一般入院基本料」は含まれる?
介護老人保健施設の初期加算(Ⅰ)は、急性期医療を担う医療機関の一般病棟などから、一定の要件を満たして利用者を受け入れた場合に算定する加算です。
「介護保険最新情報Vol.1524」の問2では、令和8年度診療報酬改定で新設された「急性期病院一般入院基本料」を算定する病棟が、初期加算(Ⅰ)の対象に含まれるかが示されました。
急性期病院一般入院基本料を算定する病棟も対象
結論として、「急性期病院一般入院基本料」を算定する病棟も、初期加算(Ⅰ)における「急性期医療を担う医療機関の一般病棟」に含まれます。
令和8年度診療報酬改定では、急性期病棟に関する入院基本料の体系が再編され、新たに急性期病院一般入院基本料が設けられました。
名称や入院基本料の体系が変更されても、老健の初期加算(Ⅰ)では、従来の急性期一般入院基本料などを算定する病棟と同様に対象として取り扱われます。
介護老人保健施設では、病院から入所者を受け入れる際、紹介元の病棟が算定している入院基本料を確認し、初期加算(Ⅰ)の算定対象に該当するかを判断しましょう。
居住系・施設系サービス|新たに協力医療機関を定めた場合の会議頻度は?
協力医療機関連携加算では、介護施設などと協力医療機関が、入所者の病歴や健康状態などを共有するため、定期的に会議を開催することが求められています。
「介護保険最新情報Vol.1523」の問1では、新たに協力医療機関を定めて加算の算定を開始する場合、算定を開始した月から1年以内に所定回数の会議を予定していればよいか、また翌年度以降は年度ごとに所定回数を実施すればよいかが問われ、厚生労働省はこれを肯定しました。
必要な会議回数は情報共有体制によって異なる
協力医療機関との会議頻度は、電子的なシステムにより、協力医療機関が施設入所者の情報を随時確認できるかどうかで異なります。
| 情報共有の体制 | 必要な会議頻度 |
|---|---|
| 電子的システムにより、協力医療機関が入所者の情報を随時確認できる体制がある | 年1回以上 |
| 上記以外 | 原則として年3回以上 |
電子カルテや情報共有システムなどを活用し、協力医療機関が入所者の情報を必要なときに確認できる体制が整っている場合は、年1回以上の会議が必要です。
そのような電子的な情報共有体制がない場合は、原則として年3回以上の会議を実施します。
新規に定めた場合は算定開始月から1年以内に実施
新たに協力医療機関を定めた場合は、算定開始月から1年以内に所定回数の会議を実施する予定を組めばよいことが確認されました。
電子的な情報共有体制がある場合は、算定開始月から1年以内に1回以上の会議を実施します。
電子的な情報共有体制がない場合は、算定開始月から1年以内に、原則として3回以上の会議を実施することになります。
たとえば、10月から加算の算定を始めた施設では、必ずしも翌年3月末までに所定の回数を終える必要はありません。算定を開始した10月から1年以内に、必要な回数の会議を実施すればよいという取扱いです。
翌年度以降は年度ごとに必要回数を実施
加算の算定を開始した翌年度以降も継続して算定する場合は、年度ごとに所定の回数の会議を実施します。
初年度と翌年度以降の考え方は、次のように整理できます。
| 算定時期 | 会議の実施期間 |
|---|---|
| 新たに協力医療機関を定めた初年度 | 算定開始月から1年以内 |
| 算定開始の翌年度以降 | 各年度内 |
必要な会議回数は、いずれの場合も、電子的な情報共有体制があれば年1回以上、それ以外は原則として年3回以上です。
施設では、協力医療機関を定めた日だけでなく、加算の算定開始月、情報共有体制の有無、会議の開催日を記録し、必要な頻度を満たしているか確認できるようにしておきましょう。
今回の介護報酬改定Q&Aで押さえておきたいポイント
訪問リハビリテーションの診療未実施減算では、日医かかりつけ医機能研修制度の応用研修も「適切な研修」に含まれます。
ただし、対象となるプログラムを含め、情報提供を行う月から前36か月の間に合計6単位以上を取得しているか、令和9年3月31日までに取得する予定であることが要件です。
介護老人保健施設の初期加算(Ⅰ)については、令和8年度診療報酬改定で新設された「急性期病院一般入院基本料」を算定する病棟も対象に含まれます。
協力医療機関連携加算では、新たに協力医療機関を定めた場合、算定開始月から1年以内に所定の回数の会議を実施する取扱いです。翌年度以降は、年度ごとに必要な回数の会議を行う必要があります。
対象となる事業所や施設では、医師の研修状況、紹介元病棟の入院基本料、協力医療機関との会議予定や実績を、今回のQ&Aに沿ってあらためて確認しておきましょう。
原文は、厚生労働省の「介護保険最新情報Vol.1523」および「介護保険最新情報Vol.1524」で確認できます。
参照元:厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1523、介護保険最新情報Vol.1524

「福祉現場の架け橋」として、20年の経験から心に寄り添うヒントを。
介護福祉士および保育士として、高齢者介護から障がい福祉、保育まで、世代を問わず20年以上福祉の最前線に携わる。現場での豊富な実践経験を活かし、単なる制度解説に留まらない「介護する側・受ける側」双方の気持ちに寄り添った発信が持ち味。複雑な介護保険制度も、家族の視点に立って分かりやすく紐解きます。
お気に入り
閲覧履歴
施設を検索する





