単身世帯の増加などにより、高齢者や障害者の住まいに対するニーズは高まっています。一方で、大家側では、孤独死への懸念や入居後の見守り、生活上のトラブル対応などに負担を感じるケースも少なくありません。
こうした背景から、高齢者や障害者が賃貸住宅を借りにくい状況が課題となっています。
特に、見守りや生活支援が必要な方にとっては、住まいを借りることだけでなく、安心して暮らし続けられる環境も重要なポイントです。
こうした中、令和6年の住宅セーフティネット法改正により「居住サポート住宅」の認定制度が創設されました。中央区でもこの制度に基づき、認定や補助を実施しています。
居住サポート住宅は、高齢者や障害者など住宅確保に配慮が必要な方を対象に、住まいの提供と入居後の生活支援を組み合わせた住宅制度です。
本記事では、居住サポート住宅の概要や対象者、受けられる支援内容、入居方法、事業者向けの認定制度や補助制度についてわかりやすく解説します。
目次
この記事でわかること
- 居住サポート住宅の概要と対象者
- 入居者が受けられる支援内容と住宅の探し方
- 事業者向けの認定制度・補助制度の仕組み
居住サポート住宅とは?
居住サポート住宅とは、高齢者や障害者など、住宅の確保に特に配慮が必要な方に対して、賃貸住宅と生活支援を一体的に提供する住宅制度です。
中央区では、賃貸人(オーナー)と居住支援法人などが連携し、入居者への見守りや生活支援を行う仕組みとなっています。
対象となる「住宅確保要配慮者」には、以下のような方が含まれます。
- 低額所得者
- 被災者
- 高齢者
- 障害者
- 子どもを養育している者
- その他住宅の確保に特に配慮を要するものとして国土交通省令で定める者
通常の賃貸住宅とは異なり、入居後のサポート体制が制度として整えられている点が特徴です。
なお、居住サポート住宅は、入居を拒まない住宅として登録する「セーフティネット住宅」や、常駐の相談員が状況把握・生活相談を行う「サービス付き高齢者向け住宅」とは異なる制度です。
居住サポート住宅で受けられる支援とは?
居住サポート住宅では、単に住宅を貸し出すだけではなく、入居者が安心して暮らし続けられるよう、一定のサポート実施が求められています。
主なサポートは以下のとおりです。
- 常時作動型のセンサーや通信機器等による安否確認(1日1回以上)
- 訪問などによる見守り
- 生活・心身の状況が不安定化したときの福祉サービスへのつなぎ
居住サポート住宅の探し方
居住サポート住宅に関する情報は、「居住サポート住宅情報提供システム」で検索できます。
住宅ごとに所在地や提供されるサポート内容などを確認できます。
また、介護サービスや障害福祉サービスを利用している場合は、ケアマネジャーや相談支援専門員へ相談しながら進めると安心です。
事業者向け|居住サポート住宅の認定制度について
中央区において「居住サポート住宅」としての事業を行うためには、「居住安定援助計画」を作成し、区による認定を受ける必要があります。
この認定基準は、大きく分けて「事業者・計画に関する基準」、見守りや安否確認などの提供内容を定めた「居住サポート(ソフト基準)」、そして建物の規模や安全性に関する「住宅(ハード基準)」のカテゴリーで構成されています。
具体的な認定基準の概要は以下の通りです。
| カテゴリー | 項目 | 認定基準の概要 | 留意事項・詳細 |
|---|---|---|---|
| 1.事業者の要件 | 認定事業者資格 | 賃貸人及び援助実施者が欠格要件に該当しない | 暴力団員、破産者、拘禁刑以上の刑に処せられた者、過去2年以内に認定を取り消された者などが含まれます。法人の場合は役員や使用人も対象です。 |
| 2.居住サポート(ソフト基準) | ①安否確認 | 一日一回以上の安否確認が実施される計画である | 機器を利用する場合は種類が適切か、訪問や電話の場合はスケジュールに無理がないかを確認します。異常検知後の具体的な行動フローや、連絡不能時の現地確認体制も必要です。 |
| ②見守り | 月に一回以上、訪問等が実施される計画である | 心身や生活状況の変化を確認するため、原則として対面による訪問(ビデオ通話も可)が必要です。他の福祉サービスでの代替は基本的に想定されていません(ただし、地域居住支援事業による見守りは例外的に活用可能です)。 | |
| ③福祉へのつなぎ | つなぎの内容が適切である | 課題別に1件以上のつなぎ先を設定し、公的機関を含める必要があります。民間事業者の場合は同意書等の添付が必要であり、サービス利用状況を把握できるフローが求められます。 | |
| ④その他の居住サポート | 老人ホームに該当しない(該当する場合は届け出ている) | 高齢者に対して介護、食事提供、家事、健康管理のいずれかを継続的に提供し、かつ届出がない場合は認定されません。 | |
| ⑤居住サポートの対価 | 対価が内容や頻度に照らして不当に高額でない | 援助実施者がすでに行っている一般向けサービス料と比較して著しく高額でないか、対価の幅が大きすぎないかが確認されます。 | |
| ⑥居住サポートの提供の条件 | 不当な契約になっていないか | 強制的な契約締結や不実の告知がないこと、入居者の利益を不当に害する条項が含まれていないことが求められます。 | |
| 3.居住サポート住宅(ハード基準) | ①専用住宅 | 専用住宅が1戸以上 | 専用住宅とは、3つの居住サポート(安否確認・見守り・つなぎ)のすべてを必要とする「要援助者」限定の住戸です。 |
| ②要配慮者の範囲 | 要配慮者の入居を不当に制限しない | 特定の属性を差別したり、対象を極めて少数(例:100歳以上限定など)に絞り込むことはできません。 | |
| ③規模(床面積) | 各戸の床面積が面積基準を満たしている | 原則として新築25㎡以上、既存住宅18㎡以上が必要です。台所や浴室等を共同利用する場合は、新築18㎡、既存13㎡まで緩和されます。 | |
| ④構造 | 建築基準法・消防法等に適合し、耐震性が確保されている | 昭和56年6月以降の着工であるか、それ以前の場合は新耐震基準等に適合していることを書類で証明する必要があります。 | |
| ⑤設備 | 一定の設備(台所、便所、浴室など)を備えている | 各戸に完備することが原則ですが、共用部分に適切な設備を備える「一部共用型」や「共同居住型(シェアハウス)」も基準を満たしていれば認められる仕組みです。 | |
| ⑥家賃 | 近傍同種の賃貸住宅家賃と均衡しているか | 申請する住宅の近隣にある民間賃貸住宅の相場と比較して、不当に高い設定になっていないことが確認されます。 |
特に、計画全体の中で、必須となる3つのサポート(安否確認・見守り・福祉へのつなぎ)をすべて必要とする方を対象とした「専用住宅」を1戸以上設けることが認定の必須要件となります。
居住サポート住宅の認定制度についての詳細は、「居住サポート住宅認定制度認定申請解説書」をご確認ください。
認定申請の流れ
居住サポート住宅の認定を受けるためには、事前協議から認定申請まで、段階的な手続きが必要です。
| 手続き | 内容 |
|---|---|
| 事前協議 | 必要書類を提出し、区と事前確認を実施 |
| 審査・結果通知 | 区が提出書類をもとに審査 |
| 認定申請 | システム上で正式申請 |
| 認定・住宅情報公開 | 認定後、システムで住宅情報を掲載 |
1.事前協議
中央区では、認定申請や審査を円滑に進めるため、事前協議を実施しています。
事業者は、「事前協議書(サポート・ハードの2種類)」に加え、「居住サポート住宅認定制度認定申請解説書」の認定基準チェックリストに記載されている添付書類・参考書類を提出する必要があります。
なお、相談内容に応じて問い合わせ窓口が異なるため、事前確認が必要です。
| 相談内容 | 担当窓口 |
|---|---|
| サポートに関する内容 | 地域福祉課 |
| ハード(住宅設備等)に関する内容 | 住宅課 |
2.審査・結果通知
提出書類をもとに、中央区が認定基準への適合状況を審査します。
3.認定申請
適合の旨が記載された事前協議書の交付後、「居住サポート住宅情報提供システム」から認定申請を行います。
申請にはアカウント登録が必要です。
また、区が交付した事前協議書データ(サポート・ハードの2種類)についても、添付書類としてアップロードします。
認定後は、その旨が通知されるとともに、「居住サポート住宅情報提供システム」に住宅情報が公開される仕組みです。
定期報告
認定後は、毎年4月1日から6月30日までに、前年度分の定期報告を行う必要があります。報告手続きは「居住サポート住宅情報提供システム」で行う仕組みです。
認定後の各種手続き
認定後に内容変更などが発生した場合は、「居住サポート住宅情報提供システム」で各種申請・届出を行います。
主な手続きは以下のとおりです。
- 変更認定の申請
- 変更の届出
- 廃止の届出
- 目的外使用承認申請
認定申請の手続きについての詳細は、「居住サポート住宅」のページをご確認ください。
中央区の補助制度
中央区では、居住サポート住宅に関する補助制度も用意されています。
| 補助制度 | 内容 |
|---|---|
| 家賃低廉化補助 | 1戸あたり月額最大7万円(最長10年間、補助総額840万円上限) |
| サポート費用補助 | 1戸あたり月額最大1万5千円 |
| 死亡保険料補助 | 1戸あたり年額最大6千円(対象:60歳以上の方のみで構成する世帯) |
家賃低廉化補助の対象となる入居者には、所得要件(月額15万8千円以下)や居住地域(東京都内)などの条件があります。詳細は募集要項をご確認ください。
なお、サポート費用・死亡保険料補助については、令和9年4月から受付開始予定です(令和9年度予算の審議・議決後に実施)。
補助制度についての詳細は、以下のリンクをご確認ください。
住まいと生活支援を一体で支える新しい仕組み
居住サポート住宅は、高齢者や障害者など住宅確保に配慮が必要な方に対して、住まいと生活支援を一体的に提供する制度です。
単なる住宅供給ではなく、「安心して地域で暮らし続けること」を支える仕組みとして注目されています。
また、大家や事業者にとっても、代理納付による家賃回収の安定化や空き室対策につながる可能性がある制度です。
今後は、単に住まいを提供するだけでなく、安心して暮らし続けられる環境づくりの重要性もさらに高まっていくと考えられます。
お問い合わせ先
- サポートに関する内容:福祉保健部地域福祉課(電話:03-6278-8059)
- ハード(住宅設備等)に関する内容:都市整備部住宅課(電話:03-3546-5466)
参照元:中央区 居住サポート住宅、居住サポート住宅運営事業者等の募集、居住サポート住宅におけるサポート費用・死亡保険料補助、国土交通省 居住サポート住宅情報提供システム、居住サポート住宅認定制度認定申請解説書

執筆者紹介
「福祉現場の架け橋」として、20年の経験から心に寄り添うヒントを。
介護福祉士および保育士として、高齢者介護から障がい福祉、保育まで、世代を問わず20年以上福祉の最前線に携わる。現場での豊富な実践経験を活かし、単なる制度解説に留まらない「介護する側・受ける側」双方の気持ちに寄り添った発信が持ち味。複雑な介護保険制度も、家族の視点に立って分かりやすく紐解きます。





