第10期計画における介護人材確保・生産性向上の取り組み|都道府県に定量目標を求める方針

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2040年に向けて介護需要が拡大する一方、現場を支える人材不足は深刻化しています。こうした状況を受け、第10期介護保険事業計画では「介護人材確保」と「生産性向上」「経営改善支援」を一体に進める方針が明確に打ち出されました。

特に今回の計画では、都道府県に対して定量的な目標設定が求められるなど、従来よりも実効性を重視した内容です。

本記事では、介護事業者・施設管理者が押さえておくべきポイントを、現場視点でわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 第10期介護保険事業計画で都道府県に求められる定量目標の内容と、介護人材確保における4つの柱の概要
  • 人材推計の精度向上や「介護生産性向上総合相談センター」によるKPI管理など、生産性向上の具体的な推進体制
  • 事業者が押さえるべき「地域全体での連携・協働」という視点と、経営改善支援の方向性

都道府県に求められる「定量的な目標値と時期」とは何か

第10期計画では、介護人材確保に関して、都道府県が主体となり、具体的な数値目標とその達成時期を明確に設定することが求められています。

例えば、介護職員数の増加目標や、外国人介護人材の受入拡大の水準、離職率の改善目標などについて、数値に基づいた計画づくりが前提となる内容です。

従来の「方針中心」の計画から、「成果を測る計画」へと転換している点が大きな特徴です。これにより、各地域の取り組み状況が可視化され、改善サイクル(PDCA)がより機能することが期待されています。

4つの柱で進める介護人材確保戦略

介護人材確保の取り組みは、以下の4つの柱を軸に整理されています。それぞれの柱について、想定される具体的な取り組みとあわせて見ていきましょう。

①多様な人材の確保・育成

たとえば、介護未経験者や高齢者、子育て世代など幅広い層の参入促進や、研修体制の充実による人材育成の強化が挙げられます。

②離職防止・定着促進・生産性向上・経営基盤の強化

単に人を増やすだけでなく、「辞めない環境づくり」が重視されています。ICT導入や業務改善による負担軽減、働きやすい職場環境の整備といった取り組みが考えられるでしょう。

③介護職の魅力向上

賃上げやキャリアパスの明確化、専門性の可視化などを通じて、「選ばれる職業」としての価値を高めていくことがポイントです。

④外国人介護人材の受入環境整備

技能実習・特定技能・EPAといった多様な制度を活用しつつ、生活支援や教育体制も含めた受入環境を整えていくことが求められています。

これらを個別ではなく、総合的に組み合わせて推進することが重要です。

人材推計の精度向上がカギになる

第10期計画では、人材需給の見通しについても大きな見直しが行われています。

特に注目すべきは、以下の点です。

  • 常勤換算数による算定
  • 入職率・離職率を都道府県ごとの実態に応じて設定
  • 推計パラメータの可視化

これにより、より現実に即した人材推計が可能となります。

従来の一律的な推計ではなく、「地域ごとの実態に基づいた精緻な分析」が求められる点は、事業者にとっても重要な変化です。

また、人材推計に使用するワークシートについては、

  • 令和8年10月:令和6年度職員数ベース版
  • 令和9年1月:完成版(令和7年度介護職員数反映版)

が配布予定とされており、計画策定スケジュールと連動した対応が必要となります。

生産性向上は「介護生産性向上総合相談センター」と「KPI管理」で推進

生産性向上の取り組みでは、都道府県主導の体制強化が大きなポイントです。

まず、各都道府県には「介護生産性向上総合相談センター」というワンストップ窓口が設置されており、以下のような支援が行われます。

  • 業務改善やICT導入の相談対応
  • 事業所への伴走支援
  • モデル施設の育成と横展開

これにより、個々の事業所だけでは難しい改善を、地域全体で底上げしていく仕組みが整備されています。

さらに重要なのが、「都道府県介護現場革新会議」の役割です。

この会議体では、地域課題の整理を行うとともに、既存の支援施策の評価や、KPI(重要業績評価指標)の設定などが進められます。

すでにKPIを設定している場合は、そのまま計画目標として活用できるとされており、「数値で管理するマネジメント」が本格化する流れです。

経営改善支援も“数値管理”へ

今回の計画では、経営改善支援についても明確な目標設定が求められています。

具体例としては、事業所間の協働化(連携・共同化)の取組件数や、支援機関による相談対応件数などが指標として想定されています。

特に小規模事業所にとっては、単独での経営維持が難しくなる中で、協働化や連携の推進が重要な課題です。

また、国が老人保健健康増進等事業として実施中の「介護事業者の経営支援モデル事業」の報告書等が、令和8年度上期までに発出される予定であり、これらを踏まえた実務対応が求められます。

事業者に求められる視点|自社だけでなく地域で考える

第10期計画の特徴は、「地域全体での最適化」を前提としている点にあります。

人材確保・生産性向上・経営改善は、もはや個々の事業所だけで完結する課題ではありません。地域内での人材シェアや連携、ICTや業務改善の横展開、他事業所との協働による効率化といった視点も重要になってきます。

また、都道府県が設定する目標やKPIは、今後の補助金や施策にも連動する可能性が高く、経営層としては「地域の方向性を踏まえた戦略設計」が重要となります。

“量”と“質”の両立をどう実現するか

第10期介護保険事業計画では、人材を確保する「量の拡大」と、働きやすさや業務効率を高める「質の向上」を同時に実現していくことが重要なテーマです。これまでのように人材確保と業務改善を別々に捉えるのではなく、一体的に進めていく視点が求められています。

そのために、都道府県主導のもとで具体的な目標設定や人材推計の精緻化が進められ、KPIによる進捗管理や、介護生産性向上総合相談センターを中心とした支援体制の整備が図られています。これにより、地域全体で課題を共有しながら改善を進めていく仕組みが強化されていく流れです。

今後は、「人手不足だから仕方がない」といった従来の発想から一歩進み、限られた人材の中でいかに持続可能な運営体制を構築するかが問われる段階に入っています。介護事業者や施設管理者にとっては、制度の内容を理解するだけでなく、自施設の運営にどのように落とし込むかが重要です。

地域の動向や都道府県の方針を踏まえながら、連携や業務改善を進めていくことが、これからの介護経営において大きな鍵となるでしょう。

参照元:厚生労働省 第10期介護保険事業(支援)計画の策定に向けた事前準備に関する留意事項について

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