ケアマネジャーの皆さま、日々のお仕事お疲れ様です。現場の”困った”を解決する「ケアマネ相談室」です。
初回訪問やアセスメントの場面で、「時間が足りなくて聞ききれない」「何を優先して聞けばいいのか迷う」と感じたことはありませんか?
今回は、限られた時間の中でも“必要な情報をしっかり押さえる”ヒアリングのコツについて解説していきます。
まず押さえるべきは「生活の全体像」よりも“今困っていること”
限られた時間で大切なのは、「全部を網羅しよう」としないことです。
アセスメントというと、身体状況・生活状況・家族関係など、幅広く情報収集しなければならないイメージがありますが、初回から完璧を目指す必要はありません。
まず優先すべきは、
- 「今、何に困っているのか」
- 「どんな支援があれば生活が楽になるのか」
ここを外さないことです。
たとえば、
- 歩行が不安定で転倒が心配
- 入浴が一人でできない
- 食事の準備が負担になっている
といった“現在進行形の困りごと”を中心に聞くことで、ケアプランの方向性が見えてきます。
ヒアリングは「身体面+生活面」をセットで捉える
結論からいうと、身体面だけでも、生活面だけでも不十分です。大切なのは、この2つを“つなげて考えること”です。さらに重要なのが、身体状況と生活環境は「自分の目で見る」ことです。
初回訪問では、例えば以下のような点を実際に観察します。
【身体面の観察】
- 立ち上がりや歩行の様子
- 表情や反応のスピード
- 会話の理解力や受け答え
【生活環境の観察】
- 室内の動線(移動しやすいか、つまずきやすい場所はないか)
- 段差や手すりの有無
- ベッドやトイレ、浴室の位置関係
- 整理整頓の状況や衛生面
- よく使う場所(居場所)がどこか
ご本人やご家族からの話だけでは、実際の生活状況とズレがあることも少なくありません。
そのため、
- まずは自分の目で評価する(観察)
- 不足している部分をヒアリングで補う
という順番を意識することが大切です。
例えば、
- 「問題なく生活できている」と聞いていても、実際は段差が多く転倒リスクが高い
- 「1人で入浴できている」と言っていても、浴室環境的に危険がある
といった“気づき”は、観察してこそ得られる情報です。
その上で、
- 「普段どのように移動されていますか?」
- 「入浴はどのタイミングでされていますか?」
といったヒアリングを重ねることで、より具体的な生活像が見えてきます。
つまりヒアリングでは、「見て確認したこと」+「聞いて補うこと」この両方を組み合わせることが、質の高いアセスメントにつながります。
現場で使える!優先順位をつける3つのヒアリングポイント
ヒアリングの際の重要なポイントを以下にまとめました。
①命や安全に関わること(最優先)
まず最初に確認すべきは、安全面です。
- 転倒リスクはあるか
- 食事や水分はしっかり取れているか
- 服薬管理はできているか
ここは見落とすと大きな事故につながるため、最優先で確認します。
②日常生活の“できていること・困っていること”
次に、生活の中での実態を把握します。
- 食事、排泄、入浴はどうしているか
- 家事や買い物は誰が担っているか
- 外出頻度や社会との関わり
このときのポイントは、「できていないこと」だけでなく「できていること」も聞くこと
強み(できていること)を把握することで、本人らしい生活を支えるケアプランが立てやすくなります。
③本人の希望・価値観(最後に必ず確認)
時間がなくなると後回しにされがちですが、実はとても重要なのがここです。
- どんな生活を続けたいか
- やりたいこと、避けたいこと
- 大切にしている習慣
たとえば、
- 「デイサービスは行きたくない」
- 「家でお風呂に入りたい」
こうした思いを無視してしまうと、サービスが定着しない原因になります。
短時間でもいいので、「どうしたいですか?」の一言は必ず聞くことを意識してください。
時間が足りないときは「次につなげる」意識を持つ
初回で全部聞ききれなくても問題ありません。
大切なのは、「必要な情報を優先して押さえ、次回につなげること」です。
- 初回は困りごとと安全面を中心に
- 2回目以降で詳細な生活歴や家族関係を深掘り
このように段階的に進めることで、無理なく質の高いアセスメントができます。
その人らしい生活を支えるためのヒアリングとは
アセスメントは「情報を集める作業」ではなく、その人の生活を理解するプロセスです。
限られた時間の中では、「全部聞く」よりも「大事なところを外さない」ことが何より重要です。
せっかく訪問をしているので、さりげなく身体面や生活環境を観察して評価をしていきましょう。ヒアリングでは目で見てわからないところを聞いていく、そんなイメージで良いかと思います。そして必ず最後に“その人の思い”に耳を傾けることを忘れないようにしましょう。ぜひ、明日からの訪問で意識してみてくださいね。
執筆者紹介 花俣
介護現場の「伴走者」。豊富な相談実績から、最適な選択肢を提案します。
介護老人保健施設(老健)や特別養護老人ホーム(特養)での相談援助職を経て、現在は多角的な視点から介護支援を行う。社会福祉士・精神保健福祉士・ケアマネジャーの3つの資格を保持し、制度の裏側から現場のリアルまでを熟知。これまで数多くの家族の悩みに向き合ってきた経験から、読者の「今、どうすればいい?」に対する的確な解決策を提示します。
お気に入り
閲覧履歴
施設を検索する





