令和6年度介護報酬改定で新設された「協力医療機関連携加算」について、令和8年6月算定分から会議開催要件の見直しが行われます。
今回の見直しは、令和8年度診療報酬改定を踏まえたものです。これまで「概ね月1回以上」が基本だった会議開催について、一定条件を満たす場合には「年1回以上」まで緩和されるケースが新たに整理されました。
特に、地域医療情報連携ネットワークなどの電子的システムを活用している施設や、実際に入院・往診連携の実績がある施設にとっては、実務負担の軽減につながる可能性があります。
本記事では、協力医療機関連携加算の概要を整理したうえで、令和8年6月からの変更点や「電子的システム」の具体例、対象サービス、施設側が今後確認すべきポイントについて解説します。
目次
この記事でわかること
- 協力医療機関連携加算の会議開催要件が令和8年6月からどのように緩和されるか
- 会議頻度の緩和条件となる「電子的システム」や「入院・往診実績」の具体的な内容
- 対象サービスの範囲と、施設側が今から確認・準備しておくべきポイント
協力医療機関連携加算とは
協力医療機関連携加算は、令和6年度介護報酬改定で新設された加算です。
施設・居住系サービスにおいて、協力医療機関との間で入所者・入居者の病歴や急変時対応方針などを共有し、平時から連携体制を構築することを目的としています。
背景には、入所者の高齢化・重度化に伴い、急変時や入退院時における医療連携の重要性が高まっていることがあります。そのため、加算要件には「定期的な会議開催」が位置づけられていました。
協力医療機関連携加算の導入背景や、現場で課題となっている会議負担・ICT連携の実態については、以下の記事でも詳しく解説しています。
会議開催要件はどう変わるのか
今回の見直しでは、会議開催要件の考え方が大きく見直されています。
従来は、原則として「概ね月1回以上」の会議開催が必要とされていました。
ただし、電子的システムを活用し、協力医療機関側が入所者・入居者の情報を随時確認できる体制を整えている場合には、会議開催を「年3回以上」とする運用も可能でした。
令和8年6月以降は、会議開催頻度の緩和要件として、以下のように見直されます。
| 区分 | 従来 | 令和8年6月以降 |
|---|---|---|
| 電子的システムを活用している場合 | 年3回以上 | 年1回以上 |
| 電子的システムなし | 月1回以上 | 年3回以上 |
| 入院・往診実績が一定以上ある場合 | 規定なし | 条件を満たせば年1回以上 |
特に今回の見直しでは、一定条件を満たすことで、会議開催頻度を「年1回以上」まで緩和できる点が大きな変更ポイントとなっています。
①電子的システムを活用している場合
協力医療機関側が、施設利用者の情報を随時確認できる電子的システムを導入している場合、会議開催は「年1回以上」で差し支えないと整理されました。
②入院・往診実績が一定以上ある場合
電子的システムを使用していない場合でも、以下いずれかを満たす場合は、会議開催を年1回以上に緩和できます。
- 入院の必要性が認められた入所者・入居者を、協力医療機関が年2件以上受け入れた実績がある
- 往診の必要性が認められた入所者・入居者に対し、協力医療機関が年2件以上往診を実施した実績がある
さらに、この場合は入退院時や往診時に、急変時の対応方針や連絡方法などについて適切な情報共有が行われていることも求められます。
「電子的システム」とは具体的に何か
今回の見直しで重要になるのが、「電子的システム」の定義です。
厚生労働省のQ&Aでは、都道府県が構築する地域医療介護総合確保基金の「ICTを活用した地域医療ネットワーク基盤の整備」事業を活用した、地域医療情報連携ネットワーク(地連NW)への参加を想定。
具体的には、施設の医師等が記録した入所者・入居者の診療情報や急変時の対応方針等を、協力医療機関側が当該ネットワークにアクセスして随時確認できる体制が求められます。
具体的には、以下のような体制が該当します。
- 地域医療情報連携ネットワークへ参加している
- 協力医療機関側から利用者情報を確認できる
- それぞれの入所者・入居者について、少なくとも月1回以上、診療情報や急変時の対応方針等を記録している
- 利用者の状態に変化がない場合は記録更新を省略可能
- 記録を省略する場合でも、「変化なし」である旨を文書等により少なくとも月1回は協力医療機関へ情報提供している
既に地域医療連携システムを導入している特養や特定施設では、今回の要件緩和対象となる可能性があるため、協力医療機関との運用状況を確認しておくことが重要です。
対象サービスの一覧
今回の会議開催要件の見直しは、「居住系サービス」と「施設系サービス」が対象となっています。
| 区分 | 対象サービス |
|---|---|
| 居住系サービス | 特定施設入居者生活介護 |
| 居住系サービス | 介護予防特定施設入居者生活介護 |
| 居住系サービス | 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) |
| 居住系サービス | 地域密着型特定施設入居者生活介護 |
| 施設系サービス | 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) |
| 施設系サービス | 地域密着型介護老人福祉施設 |
適用時期と対応のポイント
今回の改正後の取扱いは、令和8年6月算定分から適用されます。施設側としては、今後以下の点を確認しておくことが重要です。
会議開催頻度の見直し
現在、毎月会議を開催している施設でも、条件を満たせば開催頻度を見直せる可能性があります。
特に、管理者・ケアマネ・看護職の会議調整負担軽減につながる可能性があります。
電子的システム導入状況の確認
地域医療情報連携ネットワークなどを既に導入している場合は、今回の「年1回要件」に該当するかを協力医療機関と確認しておくことが重要です。
また、単にシステムを導入しているだけではなく、「月1回以上の情報記録・情報提供」が運用として継続されているかも確認が必要です。
一方、未導入施設でも、今後の実務負担軽減を見据えて導入を検討する動きが広がる可能性があります。
協力医療機関との運用整理
入院・往診実績による要件緩和を活用する場合は、実績件数だけでなく、入退院時等の情報共有体制も必要になります。
特に、急変時対応方針や連絡フロー、情報共有記録、会議記録などについては、協力医療機関との間で改めて整理しておくことが重要です。
入退院時や往診時に適切な情報共有が行われていることも要件となるため、「どのように情報共有を行っているか」を記録として残せる体制づくりが、今後さらに重要になるでしょう。
今回の見直しは、単なる「会議回数の削減」ではなく、実際に医療連携が機能している施設について、実態に合わせた柔軟な運用を認める内容といえます。
今後は、ICT活用や地域医療との連携体制の重要性が、さらに高まっていく可能性があります。

「福祉現場の架け橋」として、20年の経験から心に寄り添うヒントを。
介護福祉士および保育士として、高齢者介護から障がい福祉、保育まで、世代を問わず20年以上福祉の最前線に携わる。現場での豊富な実践経験を活かし、単なる制度解説に留まらない「介護する側・受ける側」双方の気持ちに寄り添った発信が持ち味。複雑な介護保険制度も、家族の視点に立って分かりやすく紐解きます。
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