ケアマネジャーの皆さま、日々のお仕事お疲れ様です。現場の”困った”を解決する「ケアマネ相談室」です。
困難ケースに直面すると、「このケースだけはうまくいかない」「何度訪問しても前に進まない」と悩むことがあります。
利用者本人はサービスを拒否し、ご家族は疲弊し、多職種との調整も難航する。気づけば頭の中はそのケースでいっぱいになり、「自分の対応が悪いのではないか」と自信を失ってしまうこともあるでしょう。
しかし、困難ケースとは、本来「1人のケアマネジャーが解決するもの」ではありません。むしろ、支援者自身が「抱え込んでしまうこと」が、ケースをさらに難しくしてしまうことがあります。
今回は、困難ケース対応で本当に大切な「相談する力」について考えてみたいと思います。
困難ケースは「解決できないケース」ではなく、「1人で解決しようとしてはいけないケース」
困難ケースに共通しているのは、医療、介護、家族関係、経済状況、地域とのつながりなど、複数の課題が複雑に絡み合っていることです。
だからこそ、1人の専門職だけで全体像を把握し、最適な支援を導き出すことは簡単ではありません。
それにもかかわらず、ケアマネジャーは「担当者」という立場から、自分が解決しなければならないという責任感を抱きやすい職種です。
ですが、その責任感が強すぎると、視野は狭くなります。
「この人はサービスを拒否する人」「この家族は協力的ではない」という固定観念が生まれ、新しい支援方法に気づけなくなってしまうのです。
困難ケースほど必要なのは、支援力ではなく、「支援を開く力」なのかもしれません。
「相談」とは答えをもらうことではなく、自分の視点を増やすこと
解決を急ぐのではなく、まずは相談して現状を共有することや自分の視点を増やしていくことが重要です。
① 相談すると、自分の思い込みに気づける
人は悩み続けるほど、自分の考えに縛られてしまいます。
第三者にケースを説明するだけでも、「本当に困っていることは何か」「利用者本人は何を望んでいるのか」が整理されることもあるでしょう。
相談とは、答えを教えてもらう場ではなく、自分の見えていない景色を見せてもらう機会でもあります。
また、各関係機関に現状を共有するだけでも、何かをきっかけにケースが進む場合もあります。大切なのは、色々なところに種を蒔いておいて、いざという時に協力してもらえる体制を整えておくことです。
② 「支援が進まない」のではなく、「本人の準備が整っていない」こともある
ケアマネジャーは支援を前に進めたい、しかし、利用者本人には本人のタイミングがあります。
サービスを受け入れる準備ができていない人もいますし、家族が現状を受け止め切れていない場合もあるでしょう。
支援とは、相手を変えることではなく、変化できるタイミングを待ちながら寄り添うことでもあります。
その視点を持つだけで、「進まないケース」という見え方が変わることがあります。
③ ケアマネジャー自身を守ることも支援の一部
困難ケースを抱え込むと、休日もそのケースが頭から離れず、訪問前になると気持ちが重くなることもあるでしょう。それでも「担当だから」と無理を続けてしまう人は少なくありません。
しかし、疲弊したケアマネジャーは、利用者に最善の支援を届けることが難しくなります。自分自身を守るために相談することも、専門職として必要なセルフマネジメントです。
相談することは弱さではなく、支援を継続するための技術なのです。
支援者が抱え込まないために大切なこと
困難ケースに向き合っていると、「もっと経験があれば」「もっと知識があれば」と自分を責めてしまうことがあります。
ですが、本当に経験豊富なケアマネジャーほど、1人で抱え込まず、周囲を巻き込みながら支援を組み立てています。
ケアマネジメントとは、「1人で頑張る仕事」ではなく、「地域や多職種をつなぎ、利用者を支える仕事」です。
困難ケースで行き詰まったときは、「どう解決するか」を考える前に、「誰と一緒に考えられるか」を考えてみてください。
その”相談する力”こそが、困難ケースを乗り越えるための最も大切な専門性なのかもしれません。
執筆者紹介 花俣
介護現場の「伴走者」。豊富な相談実績から、最適な選択肢を提案します。
介護老人保健施設(老健)や特別養護老人ホーム(特養)での相談援助職を経て、現在は多角的な視点から介護支援を行う。社会福祉士・精神保健福祉士・ケアマネジャーの3つの資格を保持し、制度の裏側から現場のリアルまでを熟知。これまで数多くの家族の悩みに向き合ってきた経験から、読者の「今、どうすればいい?」に対する的確な解決策を提示します。
お気に入り
閲覧履歴
施設を検索する





