次期介護報酬改定に向け、施設系4サービスの議論が本格スタート ── 第260回介護給付費分科会

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令和8年7月9日、厚生労働省は第260回社会保障審議会介護給付費分科会を開催し、令和9年度介護報酬改定に向けた施設系サービスの検討を本格的に開始しました。

今回、議論の対象となったのは、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)・介護老人保健施設・介護医療院・特定施設入居者生活介護の4サービスです。

各資料では、現状や課題を整理するとともに、次期介護報酬改定に向けて検討すべき論点が示されました。

施設サービスは、重度化・高齢化の進展や医療ニーズの増加、人材不足など共通の課題を抱えており、今回の議論は令和9年度介護報酬改定の方向性を探る第一歩となります。

この記事でわかること

  • 令和9年度介護報酬改定に向けて議論が始まった施設系4サービス(特養・老健・介護医療院・特定施設)それぞれの主な論点
  • 協力医療機関との連携体制や感染症対策、加算の整理・統合など、4サービスに共通する課題
  • 特養の収支差率や老健の在宅復帰機能など、各施設が抱える経営・運営面の現状

議論の対象となった4サービスの概要

今回の分科会では、介護保険制度を支える主要な施設系サービスについて現状と課題が整理されました。

  • 介護老人福祉施設(特養):11,077施設、受給者65.6万人
  • 介護老人保健施設(老健):4,137施設、受給者約35万人
  • 介護医療院:受給者約5.9万人(令和8年度推計)
  • 特定施設入居者生活介護:4,669事業所、受給者約29.8万人

いずれのサービスも、高齢化の進展に伴って重要性が高まっています。一方で、利用者像や役割は異なるため、それぞれの機能を踏まえた報酬体系やサービス提供体制のあり方について議論が進められています。

特養(介護老人福祉施設)の主な論点

特養では、中重度の要介護高齢者を支える施設としての役割を踏まえ、今後のサービス提供体制が主要な論点となりました。

資料では、要介護者の重度化が進む中、安定したサービス提供体制を維持するための対応が求められています。

また、平成17年度以前に整備された経過的小規模介護老人福祉施設については、通常の基本報酬への統合を視野に検討する方向性が示されました。

さらに、算定率の低い加算の整理・統合など、報酬体系の簡素化も検討事項となっています。

あわせて資料では、特養の収支差率が1.4%と、介護サービス全体平均(4.7%)を下回る状況も示されており、経営環境も踏まえた論点が示されています。

施設類型ごとの収支差率の詳細は、「特養の収支差率1.4%、老健は0.6%──令和6年度決算にみる介護施設の経営実態」で解説しています。

老健(介護老人保健施設)の主な論点

老健では、本来の役割である在宅復帰・在宅療養支援機能のさらなる強化が主な論点です。

論点には、医療ニーズへの対応力向上に加え、看取りへの対応、ポリファーマシー(多剤服用)の適正化、リハビリテーション機能の充実などが盛り込まれました。

老健における看取りの現状については、「老健での看取りはどこまで可能か──麻薬対応「できない」が7割、現場のリアル」もあわせてご覧ください。

また、資料では在宅復帰・在宅療養支援機能を評価する施設類型のうち、「超強化型」施設が増加している状況も示されています。

こうした現状を踏まえ、老健が本来担う役割をより発揮できる報酬体系について引き続き検討が進められます。

介護医療院の主な論点

介護医療院では、長期療養と生活の場という両方の役割を担う施設としての機能強化が議論の中心となりました。

資料では、医療ニーズが高い利用者を支えながら、生活の場としての役割も果たすため、医療・介護が一体となったサービス提供体制の充実が課題として整理されています。

また、医療提供体制の充実に加え、多職種連携や薬剤調整などについても論点として挙げられています。今後は、医療依存度の高い利用者への支援を適切に評価する報酬体系についても検討が進められる見込みです。

特定施設入居者生活介護の主な論点

特定施設では、医療ニーズが高まる利用者への対応を踏まえ、協力医療機関との連携強化や看取りへの対応が主な論点となりました。

また、特定施設が担う役割を充実させるため、中重度利用者への支援体制や医療との連携強化についても検討が進められます。

資料では、有料老人ホーム全体の中で、介護保険サービスを提供する特定施設への移行促進についても課題として整理されています。

一方で、自治体による総量規制との関係から、地域によっては指定が進みにくい状況も示されており、制度設計における課題の1つです。

全サービス共通の論点

今回の資料では、4サービスに共通する課題も整理されました。

特に重要なテーマとなっているのが協力医療機関との連携体制の整備です。令和6年度介護報酬改定で設けられた経過措置は令和9年3月末までとなっており、各施設には体制整備が求められています。

現時点での整備状況については、「協力医療機関の体制整備、経過措置期限まで残り1年を切る ── 特養の約3割がまだ未整備」で詳しくまとめています。

また、感染症対策のさらなる充実も共通課題として挙げられました。平時から医療機関との連携体制を構築し、新興感染症にも対応できる体制づくりが重要な論点です。

さらに、利用者にとって分かりやすく、事業者の事務負担軽減にもつながるよう、算定率の低い加算の整理・統合など報酬体系の簡素化についても引き続き議論が進められる予定です。

各加算の算定率については、「次期改定で見直される? 算定率が極めて低い加算・高い加算を一覧で整理」で一覧にまとめています。

今後の見通し

今後も各サービスごとに詳細な検討が進められる予定であり、本サイトでも関連する議論の動向を引き続きお伝えしていきます。

参照元:厚生労働省 第260回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護介護老人保健施設介護医療院特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護

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