怒りの裏にあるものを探る|家族支援で見落としたくないサイン

『ケアマネ相談室 第13回 怒りの裏にあるものを探る 家族支援で見落としたくないサイン』と書かれたボードの横で、ひらめき電球を持つキャラクターのススメちゃんが案内しているアイキャッチ画像。

ケアマネジャーの皆さま、日々のお仕事お疲れ様です。現場の”困った”を解決する「ケアマネ相談室」です。

利用者本人への支援だけでなく、ご家族への支援もケアマネジャーの大切な役割です。しかし、時にはご家族から強い口調で不満をぶつけられたり怒りの感情を向けられたりすることもあるのではないでしょうか。

「なぜこんなに怒っているのだろう」と感じる場面でも、その感情の奥には別の思いが隠れていることがあります。今回は、家族の怒りの背景にあるサインの捉え方について、ベテランケアマネがお答えします。

本日のご相談
担当している利用者さんのご家族が、サービスのことや制度のことについて強い口調で話されることがあります。こちらも萎縮してしまうのですが、どのように対応すればよいのでしょうか。また、家族支援では何を意識すればよいですか?

本日のご相談

担当している利用者さんのご家族が、サービスのことや制度のことについて強い口調で話されることがあります。こちらも萎縮してしまうのですが、どのように対応すればよいのでしょうか。また、家族支援では何を意識すればよいですか?

怒りは「一次感情」を守るための二次感情である

家族支援でまず理解しておきたいのは、怒りは多くの場合「二次感情」であるということです。

アンガーマネジメントの考え方では、不安、悲しみ、無力感、孤独感、恐怖といった感情を「一次感情」と呼びます。一方、怒りはそれらのつらい感情から自分を守るために表出される「二次感情」と考えられています。

例えば、

  • 「この先どうなるのだろう」という不安
  • 「親が弱っていく姿を見るのがつらい」という悲しみ
  • 「自分ばかり介護している」という孤独感
  • 「もっとできることがあったのではないか」という罪悪感

こうした感情を抱え続けることは大きな苦痛を伴うものです。そのため、人は無意識のうちに怒りとして表現することがあります。

つまり、家族の怒りに直面したときは、「なぜ怒っているのか」ではなく、「この人は何に苦しんでいるのだろう」と考えることが重要です。

現場で意識したい!怒りの裏側を探る3つのポイント

現場では以下の点を意識してみましょう。当たり前のように感じることかもしれないですが、いざ家族の怒りを目の前にした時に、クレームや困難事例と認識してしまうこともあるでしょう。単なるクレームや困難事例として捉えてしまうと、本当に必要な支援を見落としてしまいます。

①まずは感情を否定せず受け止める

ご家族が不満を訴えているときに、すぐ説明や反論を始めると、さらに感情が強くなることがあります。

まずは「それは大変でしたね」「ご心配だったのですね」と気持ちを受け止める姿勢を示しましょう。

感情を受け止めてもらえることで、ご家族自身も落ち着きを取り戻しやすくなります。

②「何に困っているのか」を具体的に聞く

怒りの背景には必ず困りごとがあります。

「一番大変なのはどんなことでしょうか」「最近特に気になっていることはありますか」と質問し、具体的な悩みを整理していきましょう。

制度やサービスの話よりも先に、ご家族の生活状況や介護負担を把握することが重要です。

③家族も支援の対象であることを忘れない

介護が長期化すると、ご家族自身が心身ともに疲弊している場合があります。

睡眠不足や仕事との両立、将来への不安など、利用者本人以外の課題が隠れていることも少なくありません。

「ご家族は大丈夫ですか」という一言が、支援の糸口になることもあります。

家族の言葉の奥にあるSOSを見逃さないために

ご家族の怒りは、時としてケアマネジャーに向けられたものではなく、「誰かに分かってほしい」というSOSのサインである場合があります。

もちろん理不尽な要求やハラスメントには適切な対応が必要ですが、まずは感情の背景にある不安や負担に目を向けることが大切です。

制度の調整役だけでなく、家族の感情を受け止める伴走者としての視点は、利用者本人の生活を支えることにもつながります。怒りの裏に隠れた本当の声を探る姿勢を、ぜひ日々の支援に生かしてみてください。

執筆者紹介 花俣

介護現場の「伴走者」。豊富な相談実績から、最適な選択肢を提案します。

介護老人保健施設(老健)や特別養護老人ホーム(特養)での相談援助職を経て、現在は多角的な視点から介護支援を行う。社会福祉士・精神保健福祉士・ケアマネジャーの3つの資格を保持し、制度の裏側から現場のリアルまでを熟知。これまで数多くの家族の悩みに向き合ってきた経験から、読者の「今、どうすればいい?」に対する的確な解決策を提示します。

あなたのちょっと聞いてほしいこと

ちょっと聞いてほしいこと

ひとこと相談室