ケアマネジャーの皆さま、日々のお仕事お疲れ様です。現場の”困った”を解決する「ケアマネ相談室」です。
利用者やご家族との信頼関係は、ケアマネジャーにとって欠かせないものといえます。
しかし、関係が深くなるほど、身寄りの方がいない人ほど「どこまで関わればいいのだろう」「断ると冷たいと思われないだろうか」と悩む場面も増えていくでしょう。
今回は、利用者・家族との良好な関係を築きながらも、ケアマネジャーとして適切な距離感を保つための「境界線(バウンダリー)」について考えていきます。
「良い関係」と「近すぎる関係」は違う
利用者や家族との信頼関係は、ケアマネジャーの支援を円滑に進めるためにとても重要です。
しかし、「困っているから断れない」「自分が何とかしなければ」という気持ちが強くなりすぎると、本来の支援範囲を超えてしまうことがあります。
その結果、ケアマネ自身が疲弊したり、公平な判断が難しくなったりすることも少なくありません。
大切なのは「親しくなること」ではなく、「専門職として安心して相談できる関係」を築くことです。
現場で意識したい3つの境界線
現場では以下の点を意識すると良いでしょう。
① 「できること」と「できないこと」を最初に伝える
契約時や関係性ができ始めた頃に、「ケアマネジャーとして対応できる内容」と「事業所で対応できないこと」を丁寧に説明しておきましょう。
最初にルールを共有しておくことで、後からお断りする場面でも理解を得やすくなります。
「それは私の仕事ではありません」と線を引くのではなく、「その内容は別の支援につなぐことができますよ」と伝える姿勢が、信頼関係を保つポイントです。
② 介護保険では対応できないニーズは「地域の力」につなぐ
利用者や家族からは、「電球を交換してほしい」「ペットの世話をしてほしい」「庭の草むしりをお願いしたい」など、介護保険サービスだけでは対応できない相談を受けることがあります。
そのような時こそ、「できません」で終わらせるのではなく、地域の支え合いサービスやシルバー人材センター、社会福祉協議会の生活支援、民間サービスなど、利用できる社会資源を提案することが大切です。
ケアマネジャーが直接対応するのではなく、必要な支援につなぐことも重要なマネジメント業務の1つです。
地域資源を活用しても必要な支援が行き届かない場合や、在宅生活への不安が残る場合もあるでしょう。
そのようなときは、ご本人やご家族の意向も大切にしつつ、施設入所や短期入所などのサービスも選択肢として提案していくことが必要です。
③ 「抱え込まない」ことも専門職としての責任
利用者や家族から頼られると、「自分が何とかしなければ」と感じてしまうことがあります。
しかし、1人で抱え込み続けると、ケアマネジャー自身が疲弊し、公平な支援が難しくなることもあります。
地域包括支援センターや医療機関、多職種との連携を積極的に活用し、必要に応じて地域資源へつなぐこともケアマネジャーの大切な役割です。
専門職として信頼される距離感を大切に
利用者や家族との距離感に正解はありません。しかし、「何でも引き受けること」が良い支援ではなく、専門職として適切な境界線を持ちながら、必要な支援へ確実につないでいくことが本来の役割です。
介護保険制度だけでは解決できない困りごとも少なくありません。だからこそ、地域資源やインフォーマルサービスを活用し、「支えられる仕組み」を一緒に考えていくことがケアマネジャーの専門性につながります。
利用者、ご家族、そしてケアマネジャー自身が無理なく関われる距離感を意識しながら、安心して相談できる関係づくりを目指していきましょう。
執筆者紹介 花俣
介護現場の「伴走者」。豊富な相談実績から、最適な選択肢を提案します。
介護老人保健施設(老健)や特別養護老人ホーム(特養)での相談援助職を経て、現在は多角的な視点から介護支援を行う。社会福祉士・精神保健福祉士・ケアマネジャーの3つの資格を保持し、制度の裏側から現場のリアルまでを熟知。これまで数多くの家族の悩みに向き合ってきた経験から、読者の「今、どうすればいい?」に対する的確な解決策を提示します。
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