【3/16追記】最新情報を反映しました。
高齢になると、筋力の低下や外出機会の減少によって生活機能が衰える「フレイル」のリスクが高まります。こうした課題に対応するため、東京都板橋区では「高齢者の暮らしを拡げる10の筋力トレーニング」という介護予防の取り組みが進められています。
この取り組みは、筋力トレーニングを通じて日常生活に必要な身体機能を維持・改善するとともに、地域の仲間づくりや社会参加を促すことを目的としたものです。区内では住民主体のグループ活動として広がっており、高齢者の健康づくりと地域づくりを同時に支える仕組みとして注目されています。
この記事では、板橋区の「高齢者の暮らしを拡げる10の筋力トレーニング」の概要やグループ活動の仕組み、自宅で取り組む方法などについて紹介します。
目次
この記事でわかること
- 板橋区の「高齢者の暮らしを拡げる10の筋力トレーニング」の内容と、住民主体のグループ活動の仕組み
- グループへの参加方法や、立ち上げ時に受けられる支援(リハ専門職の派遣・出前講座)
- グループに通えない方向けの自宅での取り組み方(動画・オンライン筋トレ・PDFリーフレット)
板橋区で取り組む「10の筋力トレーニング」とは
「高齢者の暮らしを拡げる10の筋力トレーニング(通称:10の筋トレ)」は、群馬大学が開発した介護予防プログラムで、高齢者の生活機能の維持・向上を目的とした筋力トレーニングです。
このプログラムは、日常生活を送るうえで重要な筋力を無理なく鍛えられるよう、10種類の運動で構成されています。階段を昇る・下りる、高いところの物を取る、落とした物を拾うなど、高齢になると難しくなる日常動作に直結した筋力を鍛えることが目的です。継続して取り組むことで、身体機能の維持や転倒予防などにつながるとされています。
運動は比較的シンプルな動作で構成されており、体力に応じて無理のない範囲で取り組めることも特徴です。そのため、運動習慣がない方でも参加しやすく、継続しやすいプログラムとなっています。
板橋区では、この「10の筋トレ」を地域の介護予防の取り組みとして推進しており、住民主体のグループ活動を中心に広がっています。筋力の維持・向上だけでなく、外出のきっかけづくりや地域のつながりづくりにもつながる取り組みとして、多くの高齢者に親しまれている活動です。
地域の通いの場となる10の筋トレグループ
板橋区では、「高齢者の暮らしを拡げる10の筋力トレーニング」を地域で継続して取り組めるよう、住民主体の「10の筋トレグループ」が区内各地で活動しています。これらのグループは、高齢者同士が集まり、定期的に筋力トレーニングを行う地域の介護予防活動の場として運営されています。
グループ活動は、原則週1回、3人以上の仲間で実施する形式で、地域の集会所や区民施設などを会場に実施。参加者同士が声をかけ合いながら運動を行うことで、身体機能の維持だけでなく、外出の機会づくりや地域の交流の場としての役割も果たしています。
また、グループの立ち上げや活動の開始時には、板橋区のおとしより保健福祉センターなどが支援を行っています。開始当初の3回程度、リハビリテーション専門職をグループへ派遣し、運動のポイントを一つひとつ指導することで、参加者が安心して取り組める体制です。なお、3人以上のメンバーが集まり活動場所が決まれば、椅子が準備できる会場(個人宅でも可)へ出前講座(説明会・筋トレ体験)を実施してもらうことも可能です。
このような住民主体の活動は、地域のつながりを育みながら介護予防を進める「通いの場」として重要な役割を担っています。
グループ参加が難しい方は自宅で10の筋トレを
「10の筋トレ」は、地域のグループ活動だけでなく、自宅などで個人でも取り組むことができます。外出が難しい方や、グループ活動の時間が合わない方でも、自分のペースで運動を続けることが可能です。
板橋区の『自宅などで個人で取り組みたい方へ』のページでは、10の筋トレのトレーニング1から10までを動画で視聴できるほか、オンライン会議システム『Zoom』を使った『オンライン10の筋トレ』も紹介されています。オンライン10の筋トレは、毎週水曜日の10時からリハビリテーション専門職が講師を務めるライブ配信形式で、板橋区民であればどなたでも参加することが可能です。
また、同ページでは『10の筋トレ トレーニング方法』や『個人で10の筋トレに取り組みたい方へ』といったPDFリーフレットも掲載されており、ダウンロードして自宅での運動に活用することができます。
自宅での運動は、自分の体調や体力に合わせて無理のない範囲で行うことが大切です。こうした動画やリーフレットを活用しながら継続して体を動かすことで、健康づくりや介護予防につながるといえるでしょう。
地域で活動を支える会場提供施設
板橋区内では、地域の健康づくりや介護予防の取り組みを応援する目的で、活動場所として会場を無償で提供している施設があります。こうした施設には、地域センターや集会所などの公共施設のほか、介護施設や民間事業所などが含まれます。
また、会場を提供する施設にとっても、地域とのつながりを深める機会となる点が特徴です。施設と地域住民が協力することで、健康づくりや介護予防を支える地域のネットワークが広がっています。
板橋区では、このように地域のさまざまな主体が協力しながら「10の筋トレ」の活動を支えています。住民同士の取り組みに加え、施設や地域の支援があることで、継続的な介護予防活動が地域に根付いているといえるでしょう。
地域で広がる「通いの場」の重要性
高齢者が住み慣れた地域で元気に暮らし続けるためには、運動習慣だけでなく、人との交流や社会参加の機会を持つことも重要です。こうした役割を担う場として注目されているのが「通いの場」です。
通いの場とは、地域の高齢者が定期的に集まり、体操や趣味活動、交流などを行う場所のことを指します。外出のきっかけをつくるとともに、地域の仲間とのつながりを育む場として、介護予防の観点からも重要な取り組みとされています。
板橋区で実施されている「10の筋トレグループ」も、この通いの場の一つです。筋力トレーニングを行うことで身体機能の維持・向上を図るだけでなく、参加者同士の交流や地域の見守りにもつながっています。
高齢者が地域で安心して暮らし続けるためには、こうした通いの場が身近な地域にあることが大切です。板橋区では、住民主体の活動や地域の施設の協力を通じて、通いの場づくりが広がっています。こうした取り組みは、地域全体で高齢者の健康づくりや介護予防を支える仕組みとして、今後ますます重要になっていくと考えられます。
参照元:板橋区 高齢者の暮らしを拡げる10の筋力トレーニング、10の筋トレとは、10の筋トレグループの紹介、自宅などで個人で取り組みたい方へ、無償で会場を提供いただいている施設

執筆者紹介
「福祉現場の架け橋」として、20年の経験から心に寄り添うヒントを。
介護福祉士および保育士として、高齢者介護から障がい福祉、保育まで、世代を問わず20年以上福祉の最前線に携わる。現場での豊富な実践経験を活かし、単なる制度解説に留まらない「介護する側・受ける側」双方の気持ちに寄り添った発信が持ち味。複雑な介護保険制度も、家族の視点に立って分かりやすく紐解きます。





