介護保険では、在宅生活を支えるために「福祉用具の貸与・購入」と「住宅改修費の支給」が用意されています。いずれも申請手続きが必要であり、事前に必要書類や流れを把握しておくことが重要です。
本記事では、制度の概要と申請に必要な情報を整理します。
目次
この記事でわかること
- 福祉用具の貸与・購入の仕組みと申請に必要な書類
- 住宅改修費の支給申請の流れと事前・事後それぞれの必要書類
- 手続きで給付対象外にならないために押さえておくべき注意点
福祉用具の貸与と購入の仕組み・申請方法
福祉用具の貸与は、ケアマネジャーまたはおとしより相談センター(地域包括支援センター)に相談し、ケアプランを作成したうえで利用する流れです。
手すりや歩行器、車いすなどが対象で、一部は要介護2以上や要介護4以上などの条件があります。福祉用具の貸与では、商品ごとに全国平均貸与価格や貸与価格の上限が設定されています。
※サービスを受ける月によって上限価格が異なる場合がありますので注意が必要です。
福祉用具購入費は、入浴や排せつなど福祉用具貸与にはなじまない性質のものが対象で、都道府県知事の指定を受けた特定(介護予防)福祉用具販売事業所で購入後に申請します。支給限度額は年間10万円、自己負担は1割から3割です。
また、固定用スロープ・歩行器(歩行車を除く)・単点杖(松葉杖を除く)と多点杖については、令和6年4月から、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員の提案を受け、利用者の意思決定に基づき、貸与か購入を選択できるようになっています。
購入費用を全額支払うときの経済的負担が大きい場合には、「受領委任払い」または「費用の貸付制度」が利用可能です。
申請の流れ
- 担当のケアマネジャーまたはおとしより相談センター(地域包括支援センター)に相談
- 指定事業所で福祉用具を購入
- 区へ福祉用具購入費の支給申請を行う
- 審査後に支給(購入した金額の1割、2割または3割は利用者負担)
※なお、申請から支給までには約2か月かかります。
申請に必要な書類
- 介護保険居宅介護(介護予防)福祉用具購入費支給申請書
- 領収証(本人宛てのもので、原本が必要。複数の品目を購入した場合には内訳書が必要です。)
- 購入した福祉用具の概要が分かる書類(パンフレットのコピーなど)
- 福祉用具サービス計画書(コピー)
- 介護保険福祉用具購入費申請書チェックリスト
※排泄予測支援機器の場合は、医師の所見や排泄予測支援機器確認調書など追加書類が必要です。その他必要に応じて、オーダーメイドの場合などは図面又は写真、ご家族様などご本人以外の銀行口座で受け取る場合は委任状などを揃えていただく場合があります。
住宅改修費の支給と申請に必要な書類
在宅の要介護者が居住する住宅について、心身の状況や住環境に応じてケアマネジャー等が必要と認めた改修は、原則として一旦全額を支払った後、申請により保険給付分が払い戻されます。支給限度額は20万円で、利用者の自己負担は1割から3割です。
なお、費用負担が大きい場合には「受領委任払い」や「費用の貸付制度」の利用が可能で、区の独自制度として「高齢者住宅設備改修費助成事業」も設けられています。
申請の流れ
- ケアマネジャーまたはおとしより相談センター(地域包括支援センター)に相談
- 本人や施工業者とともに住宅改修計画を作成
- 工事前に区へ申請(事前申請)し、審査・受理を受ける
- 工事を実施し、完了後に費用を支払う
- 工事後に区へ申請(事後申請)を行う
- 審査後、費用の7~9割が支給
なお、支給までには約2か月かかります。また、事前申請を行っていない場合は住宅改修費の支給対象とならないため、手続きの順序には十分注意が必要です。
事前申請に必要な書類
- 住宅改修費支給申請書
- 住宅改修が必要な理由書(ケアマネジャーもしくはおとしより相談センター(地域包括支援センター)職員が作成)
- 工事見積書(複数の施工業者から取って選択)
- 図面
- 工事前の写真(日付入り)
- 申請書チェックリスト
必要に応じて、家主などの承諾書(住宅所有者が本人以外の場合)、事前承諾書(改修後に当該住宅に転入・転居する場合や、入院・入所中もしくは認定申請中に改修を行う場合)などの書類が求められます。
事後申請に必要な書類
- 住宅改修費支給申請書(受理印あり)
- 領収証(本人宛てのもので、原本)
- 工事費内訳書(工事完了日以降の日付で作成されたもの)
- 工事後の写真(日付入り)
- 介護保険住宅改修申請書チェックリスト
必要に応じて、本人以外の口座で受け取る場合は委任状などの書類が求められます。また、提出書類は「介護保険住宅改修申請書チェックリスト」で確認し、チェックリストも含めて提出することが必要です。
申請窓口
福祉用具購入費・住宅改修費の申請受付は、いずれも介護保険課給付係の窓口で行っています。
手続きで注意すべきポイント
福祉用具購入は「指定事業所での購入」、住宅改修は「工事前の申請」が必須です。いずれも手続きを誤ると給付対象外となるため注意が必要です。また、申請から支給まで約2か月かかるため、余裕を持った準備が求められます。
制度を確実に活用するためには、ケアマネジャーや地域包括支援センターと連携しながら進めることが重要です。
参照元:板橋区 福祉用具・住宅改修について、厚生労働省 福祉用具の全国平均貸与価格及び貸与価格の上限一覧(厚生労働省)

執筆者紹介
介護現場の「伴走者」。豊富な相談実績から、最適な選択肢を提案します。
介護老人保健施設(老健)や特別養護老人ホーム(特養)での相談援助職を経て、現在は多角的な視点から介護支援を行う。社会福祉士・精神保健福祉士・ケアマネジャーの3つの資格を保持し、制度の裏側から現場のリアルまでを熟知。これまで数多くの家族の悩みに向き合ってきた経験から、読者の「今、どうすればいい?」に対する的確な解決策を提示します。





