通所介護(デイサービス)や通所リハビリテーションにおける送迎は、日常業務の一部でありながら、報酬算定や減算に直結する重要な要素です。
江東区では、送迎に関するルールが具体的に整理されており、原則と例外の理解が不十分な場合、意図せず減算となるリスクがあります。
本記事では、通所サービスの送迎に関する基本ルールや例外対応、実務上の注意点を分かりやすく解説します。
目次
この記事でわかること
- 通所サービスにおける送迎の原則と、減算が適用されるケース
- バスストップ方式や訪問介護による送迎が認められる条件と手続き
- 総合事業(介護予防型通所)における送迎ルールの違い
通所サービスにおける送迎の原則
通所サービスにおける送迎は、基本報酬に包括されているサービスです。
そのため、次のような取り扱いとなります。
- 送迎は通所サービス事業所が実施する
- 訪問介護による送迎を別途算定することは原則不可
- 送迎時間は利用時間には含まれない
また、原則として、利用者宅の玄関までの送迎(ドアtoドア)が必要です。
この対応を行っていない場合は、送迎減算の対象となります。
バスストップ方式による送迎
江東区では、一定の条件を満たす場合に限り、自宅前以外での乗降(バスストップ方式)が認められています。
なお、人員不足など事業所の都合によりドアtoドアの送迎を行わない場合は、減算の対象となるためご注意ください。
立地上やむを得ない場合
具体的には、道路が狭く送迎車が居宅まで入ることができない場合など、地理的要因等によりやむを得ないケースが対象です。
この場合は、「理由を示す資料(図面・写真等)の提出」「居宅介護支援事業所から介護保険課給付係への事前相談」「区への承認申請」が必要になります。
利用者・家族の希望による場合
利用者や家族の希望により、ドアtoドアを行わないケースもあります。
この場合の実務上の要点は以下のとおりです。
- サービス担当者会議での検討が必須
- 送迎方法や安全性の確認
- 検討結果の記録
そして重要なのが、このケースでは区への承認申請は不要である点です。
ただし、以下の場合は減算対象となります。
- 検討や記録がない場合
- 利用者宅から事業所までの全区間を、本人のみ、または家族のみで対応し、事業所が一切送迎を行っていない場合
単なる「家族希望」ではなく、事業所の関与があることが前提となります。
訪問介護による送迎
原則として、通所サービスの送迎は基本報酬に含まれているため、訪問介護による送迎を別途算定することはできません。
ただし、一定の条件を満たす場合には例外的に認められる場合があります。
認められる条件
利用者の身体状況、住環境や地理的条件等により、通所サービス事業所だけでは対応が困難で、訪問介護員の介入が必要な場合が対象です。
この場合は、必要性の明確化、サービス担当者会議での検討および記録の保存に加え、外出に直接関連する身体介護が行われていることが求められます。
なお、検討を行っていない場合(検討結果を記録に残していない場合を含む)は、訪問介護との重複算定が認められない場合があるため注意しましょう。
理由の明確化
訪問介護による送迎を認めるためには、その必要性や理由を明確に整理することが重要です。以下の点を整理し、明確にしておく必要があります。
- 通所サービス事業所だけでは対応できない理由(必須)
- 通所サービス事業所においてドアtoドア送迎ができない場合は、その理由も併せて必要
承認申請の要否に関する区別
訪問介護による送迎については、すべてのケースで承認申請が必要なわけではありません。
以下の場合は申請不要となります。
- 通所サービス事業所側で送迎減算を行っている場合
- 訪問介護の報酬単位数が、送迎時間を加えても変わらない場合
それ以外のケースでは、事前相談のうえ承認申請が必要です。
減算との関係
訪問介護員等により送迎が行われる場合、通所サービス事業所の従業者が送迎を実施していない扱いとなるため、当該利用者には送迎減算が適用されます。
承認申請の手続きと注意点
例外的な送迎を行う場合は、事前の手続きが必要です。
申請方法
- LoGoフォームによる申請が原則
- 窓口または郵送でも提出可能(様式は区へ問い合わせ)
申請についての詳細は、「【事業所の方へ】通所サービスにおける送迎について」のページをご確認ください
申請期限
- 開始月の前月10日まで
- 土日祝の場合はその前日が期限
サービス開始後にさかのぼって申請することはできないため、事前に申請を行う必要があります。
総合事業に関する補足
介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)の介護予防型通所については、送迎の取り扱いが通所サービスと異なります。主な違いは以下のとおりです。
- 送迎は基本報酬に包括されておらず、送迎加算として別途算定する(片道あたり要支援1・事業対象者42単位、要支援2は47単位)
- バスストップ方式による送迎について、届出は不要
- ただし、バスストップまでヘルパーを利用する場合は承認申請が必要
詳細は、「江東区介護予防・日常生活支援総合事業サービスA Q&A(令和8年1月5日版)」をご確認ください。
実務上のチェックポイント
現場で押さえておきたいポイントを整理します。
- 原則はドアtoドア送迎
- 実施しない場合は減算対象となる可能性
- 家族希望の場合は申請不要だが記録が必須
- 本人のみ・家族のみで完結する送迎は減算対象
- 訪問介護併用時は理由を2点セットで整理
- 外出に直接関連する身体介護が必要
- 訪問介護併用時は通所側で送迎減算が適用
- 承認申請の要否はケースごとに異なる
適切な運用に向けて
通所サービスの送迎は、日常業務の一部として扱われることが多く、見落とされやすい分野です。
しかし、制度の理解と記録・手続きの徹底によって、減算リスクを防ぎ、適正なサービス提供につなげることができます。
制度に基づいた適切な対応を継続することで、安心してサービスを提供できる体制づくりにつながります。
参照元:江東区 【事業所の方へ】通所サービスにおける送迎について、江東区介護予防・日常生活支援総合事業サービスA Q&A(令和8年1月5日版)

執筆者紹介
「福祉現場の架け橋」として、20年の経験から心に寄り添うヒントを。
介護福祉士および保育士として、高齢者介護から障がい福祉、保育まで、世代を問わず20年以上福祉の最前線に携わる。現場での豊富な実践経験を活かし、単なる制度解説に留まらない「介護する側・受ける側」双方の気持ちに寄り添った発信が持ち味。複雑な介護保険制度も、家族の視点に立って分かりやすく紐解きます。





