2026年度(令和8年度)から、科学的介護情報システム(LIFE)の運用体制が大きく変更されます。これまで厚生労働省が運営してきたLIFEは、国民健康保険中央会へ移管され、新たな仕組みとして運用が開始される予定です。
今回の変更は、単なるシステム更新ではなく、介護現場の業務フローや加算算定にも影響する重要な改正です。
本記事では、今回の変更点やスケジュール、実務対応を整理し、現場で迷いやすいポイントまでわかりやすく解説します。
目次
この記事でわかること
- 2026年5月11日からLIFEの運営主体が厚生労働省から国保中央会に移管され、7月31日までに移行作業が必要
- 利用者情報や様式情報は新システムに引き継がれないため再登録が必要で、フィードバックも事前にPDF保存が必要
- 4月24日以降は旧LIFEでの新規利用申請や情報削除ができなくなるため、早めの準備が重要
LIFEの運営主体が変更|令和8年度の基本スケジュール
まず押さえておきたいのが、今回の全体スケジュールです。
- 新LIFE(国保中央会運用):2026年5月11日稼働開始
- 移行期間:2026年5月11日〜7月31日
- 旧LIFE:2026年9月1日サービス停止予定
この期間中に、各事業所・施設は新システムへの移行作業が必要です。
主な変更点|現場業務への影響
今回の移管に伴い、システム面でも複数の変更が行われます。
バックアップファイルの廃止
従来は端末ごとにデータを管理していたため、バックアップファイルのやり取りが必要でした。今後はサーバー上で情報を管理するため、この作業が不要となります。
電子証明書の導入
ログイン時には、ID・パスワードに加え、端末にインストールされた電子証明書が必要になります。正式名称は「介護保険証明書」または「介護DX証明書」で、介護保険資格確認等WEBサービスと同様の仕組みです。
一時パスコード認証の廃止
従来必要だった端末ごとの認証コードが不要となり、職員間の業務負担の軽減につながる仕組みです。
ブラウザログインへの変更
専用アイコンが不要となり、Webブラウザから直接ログインできるようになります。
利用者情報の正確性チェック機能の追加
保険者番号・被保険者番号・生年月日・性別の4項目を照合し、入力ミスを自動検出する仕組みを導入。ただし、本機能の対象は介護情報基盤に対応済みの保険者に属する被保険者に限られます。
移行作業のポイント|現場で必ず押さえるべきポイント
今回の改正で最も重要なのは、事業所側の対応です。特に以下の3点は確実に対応する必要があります。
電子証明書の取得・設定
電子請求受付システムでレセプト請求をしている、またはケアプランデータ連携システムを利用しており、かつその端末と国保中央会運用LIFEで利用予定の端末が同一であれば取得不要です。いずれかの条件に該当しない場合は新規取得が必要です。
システム移行作業
旧LIFEから新LIFEへの移行作業を、移行期間中(5月11日〜7月31日)に実施します。
利用者情報の再登録
重要な注意点として、データの引き継ぎ範囲は以下のように分かれています。
引き継がれるもの
- ID・パスワード
- 事業所情報
引き継がれないもの
- 利用者情報
- 各種様式情報
そのため、新システムでは利用者情報の再登録が必要です。
実務で混乱しやすいポイントと対策
ここからは、現場で特に混乱しやすいポイントを整理します。
重複提出は不要|提出ルールの整理
移行期に多い疑問として、「同じ月のデータを両方のシステムに提出する必要があるか」が挙げられます。
結論として、重複提出は不要です。
- 移行前:旧LIFEへ提出
- 移行後:新LIFEへ提出
また、旧LIFEで提出済みの月のデータを、新LIFEで再提出する必要はありません。
4月24日から一部機能が制限される
事前準備として特に重要なのが、以下の機能制限です。
2026年4月24日以降の主な制限内容
- 新規利用申請が不可
- 利用者情報および事業所サービス情報の削除が不可
この時期以降は新規利用申請や、事業所サービス情報・利用者情報の削除ができなくなるため、事前の対応が重要となります。
過去データの扱い|フィードバックは事前保存が必要
旧LIFEのデータは、新システムへは引き継がれません。特に注意すべきなのが「フィードバック情報」です。
- 新LIFEでは旧データは集計対象外
- 旧システム停止後は参照不可
そのため、必要なデータはPDF等で事前に出力・保存しておく必要があります。
移行ガイドの公開予定
移行作業の詳細については、2026年4月頃に厚生労働省のサイト等で「移行ガイド」が公開される予定です。具体的な手順については、このガイドに基づいて進めることになります。
早期対応が現場負担を左右する
今回のLIFEの移行は、すべての介護事業所に影響する重要な制度変更です。新システムの稼働に伴い、移行作業や利用者情報の再登録、事前準備など、現場での対応が求められます。また、4月24日以降の機能制限や、データの取り扱いについても正しく理解しておく必要があります。
準備の遅れは現場の負担増につながるため、早めに対応を進めることが重要です。移行ガイドなどの情報も活用しながら、計画的に対応していきましょう。
参照元:厚生労働省 科学的介護情報システム(LIFE)の運営主体の移管に係る周知について

執筆者紹介
「福祉現場の架け橋」として、20年の経験から心に寄り添うヒントを。
介護福祉士および保育士として、高齢者介護から障がい福祉、保育まで、世代を問わず20年以上福祉の最前線に携わる。現場での豊富な実践経験を活かし、単なる制度解説に留まらない「介護する側・受ける側」双方の気持ちに寄り添った発信が持ち味。複雑な介護保険制度も、家族の視点に立って分かりやすく紐解きます。





