厚生労働省は、令和8年度(2026年度)の処遇改善加算について、計画書の作成方法を解説する動画を公開しています。
以下に解説動画を掲載していますので、内容の理解にお役立てください。
動画は約9分で、Excel様式の入力手順を一通り確認できますが、実務では「細かな仕様の理解不足」によるミスが発生しやすいのが実情です。
本記事では、動画の内容をもとに、計画書の入力手順について分かりやすく解説します。
目次
この記事でわかること
- 令和8年度の処遇改善加算の計画書は、基本情報入力シート→個表→総括表の順に、全4シートで構成されている
- 6月の臨時改定により、4・5月分(別紙様式2-2)と6月以降分(別紙様式2-3)で使用する様式が異なる
- 訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅介護支援など、6月から新たに処遇改善加算の対象となるサービスが追加されている
全体構成|4シートと入力の順序
令和8年度の処遇改善加算の計画書の入力手順は、「基本情報入力→個表→総括表」です。
計画書はExcel形式で作成されており、全体は次の4つのシートで構成されています。
- 基本情報入力シート
- 個表(4・5月分:別紙様式2-2)
- 個表(6月以降分:別紙様式2-3)
- 総括表(別紙様式2-1)
また、6月からの臨時改定により、4・5月分と6月以降分で使用する様式が異なる点にも注意が必要です。同一年度内であっても入力対象が分かれるため、対象月に応じて、適切なシートを選択する必要があります。
基本情報入力シートの重要項目
計画書の作成は、基本情報入力シートから開始します。ここで入力した内容は個表にも反映されるため、最初の段階で正確に入力しておくことが重要です。
動画で示されている主な入力項目は、次の3点です。
- 項目1:加算の届出に係る提出先(指定権者)
- 項目2:事業所の基本情報
- 項目3:加算の対象事業所に関する情報
また、項目3では、指定権者名の入力とあわせて、以下の単位数の入力も必要となります。
- 介護報酬総単位数(一月あたり)
- 処遇改善加算の加算単位数(一月あたり)
これらは後続の計算や要件判定にも影響するため、事前に実績や見込みを整理したうえで入力することが重要です。
また、所在地については、都道府県および市区町村をプルダウン形式で選択する仕様となっており、この選択内容に応じて、1単位あたりの地域単価が自動で入力される仕組みとなっています。
ただし、総合事業については例外となり、1単位あたりの地域単価は自動入力されず、手入力が必要となります。
基本情報入力シート|入力漏れを防ぐポイント
基本情報入力シートでは、提供しているサービスの入力方法にも注意が必要です。入力ルールを正しく理解していないと、記入漏れや集計ミスにつながる可能性があります。
特に重要なのが、サービスごとの行の使い分けです。以下のサービスは、それぞれ別の行で入力する必要があります。
- 介護予防サービス
- 短期利用型サービス
これらをまとめて入力してしまうと、正しく集計されず、後続のシートにも影響が及びます。サービス入力は単純な作業に見えますが、計画書全体の整合性に関わる重要な工程です。
個表の入力|加算区分と様式の使い分け
個表(別紙様式2-2・2-3)の入力では、まず加算区分の選択から行います。ここで選択した区分が、その後の入力内容を決定する起点となります。
加算区分と入力項目の連動
加算区分を選択すると、該当する要件に応じて、入力・確認が必要なセルに自動で色が付く仕組みです。色が付いた箇所は、その事業所で入力や確認が必要な項目です。なお、令和8年6月の臨時改定により、加算Ⅰ・Ⅱにはそれぞれ「イ」「ロ」の区分が新設されています(生産性向上等に取り組む事業者向けの上乗せ区分)。
また、個表は基本情報入力シートの内容と連動しており、あらかじめ入力した事業所情報やサービス内容が反映されるため、必要な入力箇所が適切に表示される設計です。
月ごとの様式の使い分け
令和8年度の処遇改善加算では、年度の途中で制度内容が変更されるため、使用する様式が月ごとに分かれています。
- 4・5月分:別紙様式2-2
- 6月以降分:別紙様式2-3
これは、令和8年6月から臨時改定により処遇改善加算が拡充されることに伴うものです。
あわせて、この6月の制度改定により、処遇改善加算の対象となるサービスも拡大されています。これまで対象外だったサービスでも算定が可能となるため、自事業所が該当しているかを改めて確認することが重要です。
6月分より追加されるサービスは以下のとおりです
- 訪問看護
- 訪問リハビリテーション
- 居宅介護支援
- 介護予防訪問看護
- 介護予防訪問リハビリテーション
- 介護予防支援
- 介護予防ケアマネジメント
特に、これまで加算の対象外だったサービスを中心に運営している事業所にとっては、今回の改定が新たな加算取得の機会となります。
一方で、対象サービスの拡大に気づかず、申請を見送ってしまうケースも考えられます。制度変更の内容を正しく把握し、自事業所のサービスが対象に含まれているかを確認することが重要です。
同一年度内であっても、制度の切り替えに応じて様式が異なる点は、実務上の重要な注意ポイントです。入力を始める前に、対象となる期間を整理し、それぞれの様式を正しく使い分けることが、正確な計画書作成につながります。
総括表の入力|最終確認と要件のチェック
令和8年度の計画書作成において、「総括表(別紙様式2-1)」は、最後に入力と確認を行う重要なシートです。ここでは、これまで各シートで入力した内容が集約され、加算の算定要件を満たしているかを最終的に確認します。
賃金改善計画(項目2)
令和8年度における賃金改善見込み額を入力します。入力後は、対応するオレンジ色のセルが「〇」になっていることを必ず確認してください。
月額賃金改善要件(項目3(1))
加算による賃金改善見込み額のうち、「月額賃金改善による額」を入力します。こちらも、オレンジ色のセルが「〇」と表示されていれば、要件を満たしている状態です。
キャリアパス要件(項目3(2)〜(5))
これらの項目は、個表(別紙様式2-2・2-3)の入力内容が自動で転記される仕組みです。そのため、内容に誤りがある場合は、総括表ではなく個表に遡って修正する必要があります。
また、令和8年度の特例要件を適用する場合は、「令和9年3月末までに昇給の仕組みの整備を行うことを誓約します」にチェックを入れます。
特に、キャリアパス要件5に「×」が表示された場合は、個表の入力内容を見直すことが重要です。
職場環境等要件(項目3(6))
こちらもキャリアパス要件と同様に、個表の内容が転記されます。特例要件を適用する場合は、「令和9年3月末までに職場環境等要件に係る取組を行うことを誓約します」にチェックを入れます。
なお、区分ごとに必要なチェック項目数が異なるため、チェック漏れがないよう注意が必要です。
見える化要件
処遇改善の取り組みについて、どのように周知するかを選択します。ホームページへの掲載など、事業所で実施する周知方法に応じて該当箇所にチェックを入れます。
特例要件の反映
個表(2-2・2-3)の「項目7」で入力した特例要件の内容は、総括表にも自動で反映される仕組みです。
最終確認(項目4)
すべての入力が完了した後は、「項目4:要件を満たすことの確認」に進みます。ここでは、表示されているチェックリストを確認し、「×」が一つも残っていないことを最終確認します。
総括表は、各シートの内容をもとに、加算の算定要件を満たしているかを確認する最終工程です。形式的な確認にとどめず、内容を一つひとつ見直しながら、確実にチェックを行うことが求められます。
実務でミスを防ぐための重要ポイント
令和8年度の処遇改善加算の計画書は、入力支援機能が充実している一方で、シート間の連動や様式の使い分けなど、理解しておくべきポイントが多いのが特徴です。
特に、基本情報入力シートから個表、総括表へとつながる入力の流れや、加算区分の選択によって必要な項目が変わる仕組みを正しく把握しておくことが重要です。また、「×」がないことだけでなく、「〇」が適切に表示されているかを確認する視点も欠かせません。
さらに、総合事業における地域単価の手入力や、6月以降の様式の切り替え、特例要件の確認といった実務上の注意点は、見落としやすい部分でもあります。これらを事前に理解しておくことで、入力ミスや差し戻しのリスクを大きく減らすことができます。
処遇改善加算は、人材確保や職場環境の改善に直結する重要な制度です。計画書の作成にあたっては、単なる入力作業として捉えるのではなく、制度の要件を正しく満たしているかを確認するプロセスとして、丁寧に対応していくことが求められます。
参照元:厚生労働省 令和8年度の介護職員等処遇改善加算の計画書の記入方法について

執筆者紹介
「福祉現場の架け橋」として、20年の経験から心に寄り添うヒントを。
介護福祉士および保育士として、高齢者介護から障がい福祉、保育まで、世代を問わず20年以上福祉の最前線に携わる。現場での豊富な実践経験を活かし、単なる制度解説に留まらない「介護する側・受ける側」双方の気持ちに寄り添った発信が持ち味。複雑な介護保険制度も、家族の視点に立って分かりやすく紐解きます。





