グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、認知症と診断された高齢者が1ユニット5〜9名の少人数で共同生活を営みながら、介護職員のサポートのもとで家庭に近い暮らしを続ける地域密着型の介護保険サービスです。
杉並区のグループホームへ入居するには、「医師による認知症の診断」「要支援2または要介護1〜5の認定」「杉並区に住民票があること」の3要件をすべて満たす必要があります。
1日あたりの自己負担額(1割負担・1ユニットの事業所)は要支援2で830円〜要介護5で937円で、これに家賃・食費・日用品費などの実費が加わり、月額の総額は15万〜20万円程度が1つの目安です。
この記事では、杉並区の公式情報にもとづき、グループホームの仕組みと提供されるケア、費用の内訳と負担軽減制度、入居の条件、ほかの施設との比較、見学時のチェックポイント、入居までの手順、そして相談窓口までをまとめています。
目次
杉並区のグループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは?

杉並区内には2026年2月現在40か所のグループホームがあり、西荻窪・荻窪・高円寺・井荻といった各エリアに点在。認知症のある方が住み慣れた街で暮らし続けるために設けられた地域密着型サービスの1つであり、大規模施設での集団生活とは性格が異なります。
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の特徴
杉並区のグループホームでは、認知症のある方が地域のなかで穏やかに暮らし続けられるよう、少人数制のケア体制・日常生活の支援・医療機関との連携という3つの柱で入居者の暮らしを支えています。
少人数の共同生活で認知症ケアを提供する仕組み
グループホームでは、1ユニット最大9名の入居者が同じ住居で暮らす地域密着型サービスです。
食材の下ごしらえや食器洗い、洗濯物の取り込みといった家事を介護職員と一緒にこなします。こうした日々の営みは「生活リハビリ」と呼ばれ、手や体を動かしながら役割を担うことで、認知機能の維持と自尊心の支えにつながるとされているのです。
少人数制の利点は、環境変化に敏感な認知症の方でも顔なじみのメンバーの中で安心感を得やすいことにあります。職員との距離が近く、一人ひとりの生活歴や性格に合わせたケアが行き届きやすい点も、大規模施設にはない強みです。
入浴・排せつ・服薬管理などの日常生活支援
入浴時の安全確認、排せつの声かけやトイレ誘導、服薬の管理といった基本的な生活支援が24時間体制で提供されます。ただし、すべてを職員が代わりに行うのではなく、本人の「できること」を尊重しながら必要な部分だけを補う姿勢が基本です。
医療機関との連携と健康管理
グループホームに医師や看護師の常駐義務はありませんが、多くの事業所では協力医療機関と連携し、定期的な訪問診療やバイタルチェックを実施しています。夜間の急変時にも対応できるフローが整えられており、医療依存度が比較的低い方であれば安心して暮らせる体制が確保されています。
杉並区のグループホームに入居するための3つの条件
グループホームは杉並区が指定・監督する地域密着型サービスであるため、利用対象者が限定されていることをご存知でしょうか。以下の3つの条件をすべて満たしているかを事前に確認しておきましょう。
1.杉並区に住民票があること
地域密着型サービスは、住み慣れた区内で暮らしを継続することを目的とした制度です。原則として杉並区内に住民票がある方が対象となり、家族が区内に居住していても、本人の住民票が他の自治体にある場合は申し込むことができません。
2.医師から認知症の診断を受けていること
入居には、主治医等から認知症であるとの診断を受けていることが前提となります。認知症ケアに特化した環境を整えている施設のため、診断を通じて専門的な見守りと支援の必要性が確認されることが求められます。
3.要支援2以上の介護認定を受けていること
介護保険制度上、要支援2または要介護1〜5のいずれかに認定されていることが必要です。要支援1の方は原則としてグループホームの利用対象外です。認定を受けていない場合は、杉並区の介護保険課または地域包括支援センター(ケア24)で申請手続きの代行を依頼できます。
杉並区のグループホームで受けられるケア・サービス内容
グループホームでは、認知症のある高齢者が地域の中で暮らしを続けながら、日常生活に必要な支援を受けることが可能です。以下では、実際に提供される具体的なサービスを項目ごとに整理します。
1.生活リハビリを重視した日常支援
グループホームのケアの大きな特徴は、日々の暮らしそのものをリハビリの一環として位置づけている点です。食事の支度や配膳、洗濯物のたたみ、居室の整理といった家事に、声かけや見守りを通じて参加してもらいます。
こうした取り組みは「生活リハビリ」と呼ばれ、役割を持ちながら生活することが認知症の進行を穏やかにし、自立した暮らしの維持につながるとされています。
2.食事・入浴・排せつ・服薬管理のサポート
日常の基本的な支援として、食事の介助や見守り、入浴時の安全確保、排せつの介助やトイレ誘導、服薬の確認・管理などを提供。ただし、何もかもを職員が行うのではなく、本人の残存能力を活かしながら必要な部分だけを補う「過介護を防ぐ支援」が基本的な姿勢です。
3.医療機関との連携・健康管理
グループホーム自体は医療機関ではありませんが、協力医療機関との連携は施設選びの重要な判断材料です。
多くの事業所では、定期的な往診やバイタルチェックによって持病の経過を見守る体制を整えています。体調の急変時には、医療機関への連絡と家族への報告を含む緊急対応フローに沿って迅速に対応されます。
4.レクリエーション・地域との交流
生活意欲の維持や閉じこもり防止を目的に、体操・音楽活動・手工芸・回想法・季節行事・誕生日会など、多彩なレクリエーションを実施。
また、地域住民やボランティアとの交流、近隣の散歩、町内行事への参加といった取り組みも特徴的です。住み慣れた地域とのつながりが保たれることで、精神的な安定にもつながっています。
5.外出・外泊の支援
入居後も、外出や外泊が一律に制限されるわけではありません。事前の申請と調整に基づき、散歩・買い物・家族との面会・外泊なども柔軟に対応してもらえます。あくまで暮らしの延長として、地域の中で生活の継続性が尊重されています。
6.家族との連携・相談支援
入居後も、家族への状態報告や定期面談を実施。認知症の進行や体調の変化に応じて、ケア内容の見直しや医療機関との連携も実施されます。不安がある場合は、施設職員やケアマネジャー、稲城市の地域包括支援センターに相談することで適切なサポートを受けられます。
有料老人ホームなど他の高齢者施設との違い

グループホームを検討するにあたり、よく比較される特別養護老人ホーム(特養)や有料老人ホームとの相違点を把握しておくと、施設選びの判断軸が明確になります。
有料老人ホームとの比較
介護付き有料老人ホームは民間運営が中心です。居室や共用設備が充実している一方、入居一時金が数百万円以上に設定されるケースもあります。
グループホームは介護保険を軸に運営されるため費用体系が比較的統一されており、入居一時金が不要または少額の施設が大半です。費用を抑えつつ認知症ケアを重視したい場合にはグループホームが現実的な選択肢になります。
特別養護老人ホーム(特養)との比較
特養は原則として要介護3以上の方を対象とし、認知症の有無にかかわらず入所可能な大規模施設です。
所得に応じた負担軽減制度が充実している反面、待機者が多く入所までに長期間を要する傾向です。グループホームは認知症ケアに特化した少人数環境であり、比較的軽い介護度の段階から専門的な支援を受けたい場合に適しています。
東京都杉並区エリアのグループホーム一覧情報
以下では、区内のグループホーム情報を一部ご紹介します。(2026年2月時点の情報です)
グルップボエンデ井荻
| 所在地 | 東京都杉並区下井草5丁目22番4号 |
| 電話番号 | 03-3301-1211 |
グループホームきらら西荻窪
| 所在地 | 東京都杉並区今川3丁目3番29号 |
| 電話番号 | 03-5311-5586 |
エクセレント杉並清水
| 所在地 | 東京都杉並区清水3丁目9番地19号 |
| 電話番号 | 03-3399-1165 |
愛の家グループホーム杉並上高井戸
| 所在地 | 東京都杉並区上高井戸2丁目8番27号 |
| 電話番号 | 03-5336-3230 |
木下の介護グループホーム下高井戸
| 所在地 | 東京都杉並区下高井戸2丁目18番15号 |
| 電話番号 | 03-5355-4060 |
グループホームたのしい家杉並高井戸
| 所在地 | 東京都杉並区高井戸西1丁目2番9号 |
| 電話番号 | 03-5336-8721 |
マザアスホームだんらん杉並・松庵
| 所在地 | 東京都杉並区松庵1丁目13番21号 |
| 電話番号 | 03-5941-9183 |
せらび杉並
| 所在地 | 東京都杉並区上井草2丁目42番12号 |
| 電話番号 | 03-3397-4165 |
もえぎ西荻北
| 所在地 | 東京都杉並区西荻北1丁目19番17号 |
| 電話番号 | 03-3301-2036 |
グループホームたかいどの里
| 所在地 | 東京都杉並区高井戸東4丁目5番7号 |
| 電話番号 | 03-3334-1570 |
グループホームきらら新高円寺
| 所在地 | 東京都杉並区堀ノ内3丁目5番18号 |
| 電話番号 | 03-5378-7807 |
その他のグループホームや空室一覧情報などはこちらをご確認ください。
杉並区のグループホームの費用内訳と負担軽減制度
グループホームの月額費用は、介護保険の自己負担分と施設が設定する実費の合計で決まります。杉並区は1級地(上乗せ20%)に該当し、全国でも最も高い地域単価が適用されます。
1日あたりの介護保険自己負担額の目安
以下は、1ユニットの事業所で1割負担の場合の金額です(令和6年6月改定後)。
| 介護度 | 1日あたりの自己負担額(1割負担) |
|---|---|
| 要支援2 | 830円 |
| 要介護1 | 834円 |
| 要介護2 | 873円 |
| 要介護3 | 899円 |
| 要介護4 | 917円 |
| 要介護5 | 937円 |
(1ユニットの事業所の場合/令和6年6月改定後/杉並区=1級地・1単位10.90円で算出)
所得に応じて負担割合が2割・3割になる場合があるため、手元の「介護保険負担割合証」で必ず確認してください。また、夜間支援体制加算や医療連携体制加算など、各種加算が別途上乗せされる場合があります。
家賃・食費・日用品費などの実費
基本サービス費に加えて、家賃・食材費・光熱水費・日用品費などの実費が毎月かかります。これらは介護保険の適用外であり、施設ごとに独自に設定されている費用です。
杉並区は23区内でも地価が比較的高いエリアのため、駅近の施設では家賃が高めになる傾向があります。月額の総額は15万〜20万円程度が一つの目安ですが、施設の立地や設備によって幅があります。
補足給付(負担限度額認定)はグループホーム対象外
特別養護老人ホームや介護老人保健施設で利用できる「負担限度額認定(補足給付)」は、グループホームには適用されません。食費・居住費の減額を受けることはできないため、全額自己負担を前提に資金計画を立てる必要があります。
高額介護サービス費制度で自己負担を軽減できる
介護保険の自己負担額が月ごとの上限を超えた場合、超過分が払い戻される「高額介護サービス費」制度は利用できます。主な所得区分と上限額は以下のとおりです。
| 所得区分 | 月額上限(世帯) |
|---|---|
| 住民税非課税世帯 | 24,600円 |
| 一般的な住民税課税世帯 | 44,400円 |
| 現役並み所得(課税所得690万円以上) | 140,100円 |
※上記は代表的な3区分です。所得によってさらに細かく区分されるため、詳しくは杉並区介護保険課給付係(電話番号:03-5307-0655)にご確認ください。
杉並区でグループホームを探す手順と見学のポイント

施設選びは情報収集と見学の両輪で進めるのが基本です。杉並区ならではの相談窓口と公的資料を活用し、候補を効率よく絞り込みましょう。
ケア24(地域包括支援センター)で相談する
杉並区では地域包括支援センターを「ケア24」の愛称で呼んでおり、区内20か所に設置されています。保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャーなどの専門職が常駐し、最新の空室状況や施設ごとのケア方針について無料でアドバイスを受けることができます。
インターネットのランキングや口コミだけでは分からない、現場に近い生の情報を持っているのがケア24の強みです。今の心身の状態や生活上の困りごとを具体的に伝えることで、より的確な施設を提案してもらえます。
杉並区発行のガイドブックで一覧をチェックする
杉並区が発行する「介護保険利用者ガイドブック」には、区内のグループホーム一覧が掲載されています。区役所やケア24で配布されているほか、杉並区の公式ホームページからもダウンロード可能です。自宅や家族の住まいから通いやすい施設をリストアップする出発点として活用してください。
見学では「設備」より「人の動き」を観察する
気になる施設が見つかったら、必ず現地を訪問して雰囲気を確かめましょう。建物の新しさや内装よりも、入居者と職員がどのように関わっているかに注目してください。
職員が入居者の名前を呼んで自然に声をかけているか、入居者の表情に穏やかさがあるかといった「日常のリアルな空気感」が、施設の質を見極める最大の手がかりです。
見学の際には、夜間の職員配置体制、医療機関との連携方法、退去基準と重度化への対応方針なども確認しておくと、将来設計が立てやすくなります。
杉並区でグループホームを探している方へ
グループホームは施設ごとにケアの考え方、職員の層の厚さ、医療機関との関係、そして費用の組み立て方が一つひとつ異なります。
「駅から近い」「月額が安い」といった条件だけで絞り込まず、本人が穏やかに過ごせる環境かどうか、介護度が変わっても暮らし続けられるかどうかを判断軸に据えてください。
迷ったときは、杉並区のケア24(地域包括支援センター)やケアマネジャーに早めに相談しましょう。制度の整理から候補施設の絞り込みまで、第三者の客観的な視点が入ることで冷静な判断がしやすくなります。
「比較する → 見学する → 専門窓口に相談する」——この3ステップが、納得できるグループホーム選びへの近道です。
参照元:厚生労働省 認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)、令和6年度介護報酬改定における改定事項について 、7. 認知症高齢者グループホーム(認知症対応型共同生活介護、東京都福祉局 介護保険制度パンフレット、杉並区 介護保険利用者ガイドブック


執筆者紹介
医療と介護をつなぐ「安心のサポーター」。現場のリアルな知恵を届けます
看護師・ケアマネジャー:訪問看護やデイサービス勤務を通して、介護の現場に携わってきました。また、病院で看護師として勤務した経験を持ち、医療と介護の両方の視点から、現場で得た知識や経験をわかりやすくお届けします。





