東京都目黒区が公表した「第10期介護保険事業計画基礎調査・高齢者の生活に関する調査 報告書(本編)」のうち、「居宅介護支援事業所調査」をもとに、介護支援専門員の業務実態や課題を整理します。
本調査は、今後の計画策定に向けた基礎資料として実施されたものであり、事業所運営や人材確保、業務負担の実態が明らかになっています。
目次
この記事でわかること
- 目黒区の居宅介護支援事業所は小規模事業所が中心で、ケアプラン担当件数の多さや業務外の相談対応がケアマネジャーの大きな負担となっている
- 事業所運営の課題は「介護報酬の低さ、採算性」が最多で、ICT化への対応や人材確保・離職対策も上位に挙がっている
- 離職防止には有給取得促進や働き方の柔軟化が中心的に取り組まれており、人材確保は職員・知人への声かけなど身近なネットワークに頼る傾向がある
事業所の基本属性と主任介護支援専門員の配置状況
事業所の開設時期は、「平成26〜30年」が32.6%で最も多く、次いで「平成15年以前」が26.1%です。
職員数は「4人」が28.3%で最も多く、「2人」が26.1%、「3人」が17.4%と続いており、小規模な事業所が中心であることがうかがえます。
また、主任介護支援専門員は「1人」が52.2%、「2人」が30.4%となっており、多くの事業所で一定の配置がされている実態が確認できます。
ケアプラン作成と多職種連携の実態
ケアプラン作成数は、1事業所あたり「101件以上」が45.7%と最も多い構成割合となりました。また、介護支援専門員1人あたりでは「51件以上」が37.0%と最も多く、担当件数の多さが特徴といえます。
主治医との連携については、「おおむね連携がとれている」が73.9%、「十分に連携がとれている」が13.0%となっており、多くの事業所で一定の連携が確保されています。
ICTの活用と運営上の課題
事業所運営上の課題としては、「介護報酬の低さ・収益性」が54.3%で最も多く、次いで「ICT化への対応」が37.0%、「職員の確保・離職対策」が34.8%でした。
ICTについては、業務効率化に向けた重要なテーマとして認識されている一方、対応が課題となっている実態が示されています。
人材確保・定着と業務負担
人材確保に向けた取り組みでは、「就職希望者の情報がより早く得られるように、職員や知人に声をかけている」が41.3%で最多となっており、外部サービスの活用よりも身近なネットワークを活用した採用が多い傾向が見られました。
また、離職防止の取り組みとしては、「有給休暇の取得促進」が54.3%、「労働時間や業務内容の見直し」が43.5%と、働き方改善に関する取り組みが中心となっています。
ケアマネジャーの業務負担の実態
業務負担については、「ケアマネジャー業務以外の相談や頼まれごとへの対応」が56.5%で最も多く、「休日・夜間の相談対応や緊急対応」が37.0%、「記録作成や給付管理などの事務処理」が34.8%と続きました。
また、利用者・利用者家族から受ける介護関係の相談や苦情では、「認知症に関するもの」が73.9%で最も多く 、家族支援の役割も大きいことが分かります。
第10期計画に向けた課題
本調査からは、ケアプラン件数の多さや相談対応の広がりにより、介護支援専門員の業務負担が大きいと感じられている実態があります。加えて、ICT対応や人材確保といった構造的課題も浮き彫りとなりました。
これらの課題への対応は、令和9年度からの「第10期目黒区介護保険事業計画」において重要な検討事項となると考えられます。
参照元:目黒区 第10期介護保険事業計画基礎調査・高齢者の生活に関する調査 報告書、居宅介護支援事業所調査(189ページから224ページ)

執筆者紹介
介護現場の「伴走者」。豊富な相談実績から、最適な選択肢を提案します。
介護老人保健施設(老健)や特別養護老人ホーム(特養)での相談援助職を経て、現在は多角的な視点から介護支援を行う。社会福祉士・精神保健福祉士・ケアマネジャーの3つの資格を保持し、制度の裏側から現場のリアルまでを熟知。これまで数多くの家族の悩みに向き合ってきた経験から、読者の「今、どうすればいい?」に対する的確な解決策を提示します。





