目黒区では、令和9年度から始まる「第10期目黒区介護保険事業計画」などの策定に向け、区内高齢者の生活実態や意向を把握する大規模な調査を実施しました。
住み慣れた地域で安心して自分らしく暮らし続けるために、今どのような課題があり、どのような備えが求められているのか。本記事では、目黒区の高齢者の「今」を11の視点で紹介します。
目次
この記事でわかること
- 目黒区の高齢者の世帯構成・経済状況・健康状態など、暮らしの基本的な実態
- 1人暮らし世帯の交流頻度や災害時の不安など、地域で取り組むべき課題
- 在宅介護サービスやデジタル活用など、今後の暮らしに向けた備えと意向
1.回答者の属性(世帯構成・経済状況)
夫婦のみの世帯や1人暮らし世帯が主流となる中、将来の生活維持に対する備えが重要な関心事となっています。
目黒区の高齢者は、配偶者と2人の「夫婦のみ世帯」が35.5%で最も多く、次いで「子供との同居」が24.7%、「1人暮らし」が24.2%となっていました。
経済状況については、「ふつう」と感じている方が52.3%で最も多い一方、「やや苦しい」「大変苦しい」と感じている方も合わせて約26%にのぼり、経済的な不安を抱える層も一定数存在します。
2.健康状態と医療機関との関わり
多くの方が「かかりつけ医」を持ち、日頃から高い健康意識を持って健診や通院による体調管理を行っています。
現在の健康状態は「ふつう」が38.6%で最も多く、「まあよい」30.4%、「とてもよい」10.9%を加えると約8割の方がおおむね良好な健康状態です。
3.配偶者・家族・友人との付き合い
家族や友人との交流が心の支えとなっている一方、外出機会が少ない層への「社会的孤立」対策が急務です。
「家族との会話が毎日ある」方が多数を占める一方、1人暮らしの方では「友人・隣人との交流」が心の支えとなっています。
全体では孤独感が「ない」「ほとんどない」と回答した方が約8割を占めますが、1人暮らしの方では「ほぼ毎日」人と話す割合が47.5%(全体80.1%)と低く、交流機会の確保が課題の1つです。
4.日常生活の自立度
多くの家事を自立してこなせている一方で、足腰の衰えなど身体機能のわずかな変化を感じ始めている層も存在します。
要介護認定を受けていない方が84.3%を占め、多くの方が自立した日常生活を送っている現状です。
一方、身体機能の低下を感じている方もおり、「下肢(股関節・脚・膝)」31.7%、「目(視覚・視野など)」26.4%、「耳(聞こえ・平衡感覚など)」23.4%が上位に挙がっています。
5. 仕事・社会活動への参加
目黒区の高齢者は就労や地域活動への意欲が高く、社会の中での「役割」を持つことが生きがいにつながっています。
収入を伴う仕事をしたい年齢について、「働けるうちはいつまでも」と「働きたくない」がともに21.6%で最も高くなっており、就労意欲には個人差が大きいことがわかりました。
また、趣味のサークルやボランティア活動など、地域コミュニティへの参加を通じて「役割」を持つことが生きがいにつながっています。
6.ICT・介護ロボットへの関心と利用
スマートフォンなどのデジタルツールは生活に浸透しており、介護の負担軽減につながるテクノロジーにも前向きな期待が寄せられています。
通信・通話機器では、スマートフォンの利用率が74.4%と最も高く、主な用途は「連絡手段(電話、メール、LINE等)」96.8%、「情報収集・検索」81.5%で、日常生活に広く浸透。
一方、「どれも使っていない」方も8.4%おり、デジタルデバイドへの対応も求められています。
7.地域への愛着・支え合い
「住み慣れた目黒区で暮らし続けたい」という強い定住意欲が、地域の支え合い活動を支える原動力となっています。
「目黒区に住み続けたい」という定住意欲は非常に高く、住み慣れた地域での支え合い活動に対する関心も寄せられているようです。
8.災害時の不安
1人暮らしの方や身体機能に不安がある方にとって、災害時の避難や情報入手への備えが切実な課題です。
災害時に必要な支援としては、「避難所(在宅避難を含む)での生活支援」が58.1%で最も多く、「安否確認の支援」54.9%、「避難所までの移動支援」44.4%と続いています。
9.デジタル人材・DX関連の意識
デジタル機器を使っていない方の最大の理由は「自分の生活に必要性を感じない」が64.2%で、「使い方がわからない」32.7%、「情報漏えいや詐欺被害等のトラブルへの不安」18.1%でした。デジタル活用の推進にあたっては、こうした層への丁寧な支援が求められます。
行政手続きのオンライン化やデジタルの活用については、利便性を期待する声がある一方、操作に不慣れな層へのサポート体制(デジタルデバイド対策)を求める意見も目立ちました。
10.住まいと住環境
住み慣れた家で長く暮らし続けるために、建物の老朽化対策やバリアフリー化へのニーズが顕著になっています。
戸建て、マンション共に長年住み続けている方が多く、老朽化に伴う「住まいのバリアフリー化」へのニーズが顕著です。
11.要介護状態になった時への備え
「最期まで自宅で暮らしたい」という強い希望を支えるため、在宅介護サービスのさらなる充実が期待されています。
「介護が必要になっても、できるだけ自宅で暮らしたい」という意向が強く、訪問介護やデイサービスなどの在宅系サービスの充実が望まれています。
【本調査に関するお問い合わせ】
- 介護保険課 介護保険計画係 電話:03-5722-9840 / ファックス:03-5722-9716
- 高齢福祉課 介護基盤整備係 電話:03-5722-9607 / ファックス:03-5722-9474
参照元: 目黒区 高齢者の生活に関する調査(269ページから348ページ)

執筆者紹介
医療と介護を繋ぐ。20年の看護経験を活かした、命と生活を守る情報発信。
透析看護を中心に、病院・在宅医療の両現場で20年以上のキャリアを持つ現役看護師。医療的ケアが必要な方の生活指導や、患者家族への支援に深く携わる。看護師としての専門知識とケアマネジャーの視点を掛け合わせ、持病を抱えながらの介護や、退院後の生活設計など、医療的な裏付けに基づいた「安心できる介護のあり方」を分かりやすく伝えます。





