加齢に伴う聴力の低下は、日常生活における不便さだけでなく、コミュニケーション機会の減少や社会参加の低下につながる可能性があります。
こうした課題に対し、世田谷区では65歳以上の高齢者を対象に、補聴器の購入費を一部助成する制度を設けています。利用を検討する際は、まず制度の概要を確認することが重要です。
本記事では、制度の概要や対象条件、助成内容、申請の流れについてわかりやすく解説します。
目次
この記事でわかること
- 世田谷区の補聴器購入費助成の対象者や条件
- 最大5万円の助成額と計算ルール
- 申請から購入までの6ステップの流れ
事業概要|聞こえの不安を軽減する支援制度
本制度は、中等度難聴(40デシベル以上)または片耳が高度難聴の高齢者を対象に、補聴器の購入費を助成するものです。
補聴器の利用により、会話や外出のしやすさを改善し、生活の質の向上や社会参加の維持を目的としています。
なお、制度の概要は、「高齢者補聴器購入費助成ちらし」でも確認できます。
対象者|利用できる方の条件
以下のすべてに該当する方が対象です。
- 世田谷区に住所のある満65歳以上の方
- 前年度の住民税が非課税の方
- 耳鼻咽喉科の医師による診察の結果、聴力レベルが40デシベル以上の方(片耳が高度以上の難聴の方も対象)・補聴器が有効だと認められた方
- 身体障害者手帳(聴覚障害)の交付対象とならない方
- 過去5年以内に助成を受けたことのない方(5年に1回申請可)
住民税非課税の判定は、原則として介護保険料の所得段階で確認されます。令和7年度の申請では、令和6年度の介護保険料段階が第1~第5段階の方が対象です。
対象機器|助成の対象となる補聴器
助成対象となるのは、以下の条件を満たす補聴器です。
- 認定補聴器技能者が在籍する補聴器の販売店で購入するもの
- 管理医療機器認定を取得したもの
- 世田谷区の交付決定後に購入したもの
また、助成対象には補聴器本体だけでなく、以下の付属品も含まれます。
- 電池
- 充電器
- イヤモールド
※交付決定前に購入した場合や、レンタル・リースは対象外です。
助成内容|最大5万円まで支援(計算ルールに注意)
助成額についての詳細は以下の通りです。
- 50,000円以内
- 補聴器の価格が5万円未満の場合は実費分を助成
- 1,000円未満の端数は切り捨て
例:48,500円の補聴器の場合、助成額は48,000円
なお、医療機関の文書料、診察料、検査料やその他諸費用は対象外となります。
申請方法|6ステップで進める手続き
申請から購入までの流れは、次の通りです。
①申請書の取得
まずは世田谷区の高齢福祉課(03-5432-2256)へ電話し、対象要件に該当するか確認したうえで、申請書の送付を受けます。送付された申請書は、記入例を参考にしながら正確に記入します。
なお、審査の結果、要件を満たさないと判断された場合は助成対象外です。また、助成金交付後に不正が判明した場合は、返還が求められます。
申請書は以下でも確認できます。
②医療機関を受診
申請書の申請者欄を記入したうえで、耳鼻咽喉科の診察を受ける流れです。
医師の診察により、以下の点が確認されます。
- 中等度難聴であること
- 補聴器の必要性が認められること
該当する場合は、申請書の「医師意見欄」の記入と、聴覚検査(オージオグラム)の結果(写し)を受け取ります。
※文書料・診察料・検査料は自己負担です。
③販売店で相談・見積書取得
認定補聴器技能者が在籍する販売店で、補聴器について相談や試聴を行います。購入機種が確定したら、見積書の取得が必要です。
販売店は、公益財団法人テクノエイド協会の「認定補聴器技能者情報検索システム」から探すことができます。
④申請(郵送・電子申請)
必要書類をそろえ、高齢福祉課へ提出します。
提出方法は、郵送または電子申請(LoGoフォーム)のいずれかです。
提出書類は以下の2点になります。
- 記入済みの申請書(聴覚検査結果を添付)
- 見積書(製品名・型番・内訳がわかるもの)
※医師意見欄の作成日から6か月以内に申請が必要です。
⑤審査・決定
区の審査後、助成対象となった場合は以下の書類が送付されます。
- 交付決定及び助成額決定通知書
- 助成金請求及び受領委任状
- 請求書兼口座振替依頼書(販売店)
助成金は原則として世田谷区から販売店へ直接支払われます。申請者本人への支払いを希望する場合は、事前に申し出が必要です。
⑥補聴器の購入(支払いの仕組み)
交付決定後、見積書を取得した販売店で補聴器を購入します(決定から1年以内)。
支払いは、助成額を差し引いた自己負担分のみです。
また、購入時には以下の書類を販売店へ提出します。
- 助成金請求及び受領委任状
- 請求書兼口座振替依頼書(販売店)
聞こえの改善は早めの対応が大切
加齢による聴力低下は、生活の質に大きく影響する要素のひとつです。
しかし、適切な補聴器の利用により、会話や外出のしやすさを取り戻すことが期待できます。
世田谷区の補聴器購入費助成は、費用面の負担を軽減しながら、こうした改善を後押しする制度です。
対象となる可能性がある方は、まずは条件を確認し、早めの相談・申請を検討してみてはいかがでしょうか。
参照元:世田谷区 高齢者(65歳以上)のための補聴器購入費助成、高齢者補聴器購入費助成ちらし、高齢者補聴器購入費助成申請書、【記入例】高齢者補聴器購入費助成申請書、認定補聴器技能者情報検索システム

執筆者紹介
「福祉現場の架け橋」として、20年の経験から心に寄り添うヒントを。
介護福祉士および保育士として、高齢者介護から障がい福祉、保育まで、世代を問わず20年以上福祉の最前線に携わる。現場での豊富な実践経験を活かし、単なる制度解説に留まらない「介護する側・受ける側」双方の気持ちに寄り添った発信が持ち味。複雑な介護保険制度も、家族の視点に立って分かりやすく紐解きます。





