令和8年3月31日付で、厚生労働省より「認知症介護実践者等養成事業の円滑な運営について」の一部改正が通知されました。
今回の改正では、認知症ケアの質向上に向けて、研修体系やカリキュラムの見直しが行われています。
目次
この記事でわかること
- 令和8年3月の改正で、認知症介護研修の目的が「尊厳保持」「希望」「共生社会の実現」へと転換され、地域連携を重視したカリキュラムに再編されたこと
- 実践者研修(24時間→23時間)・リーダー研修(31時間→28時間)の科目構成や時間配分の具体的な変更点と、リーダー研修における経過措置の内容
- 令和9年3月31日までは従前の規定による研修実施も認められており、各都道府県等に移行期間中の準備が求められていること
尊厳保持・希望と共生社会を軸とした研修の再設計
従来の研修では「本人主体の介護」「生活の質の向上」「BPSD予防」が目的の中心でしたが、本改正では「本人・家族が尊厳を保持し、希望をもって暮らすことができる」こと、および「共生社会の実現」が研修の目的として明確に位置づけられました。
認知症介護実践者研修では「共生社会を推進する地域資源の理解と展開」(150分)が新設され、リーダー研修では「施策の動向と地域展開」(120分)が加わるなど、地域連携を重視したカリキュラムへの再編が行われています。
研修体系と対象者要件の見直し
研修の段階構成(基礎研修→実践者研修→リーダー研修→指導者養成研修)や対象者の要件(実践者研修は実務経験概ね2年程度、リーダー研修は概ね5年以上)は従来から定められていますが、今回の改正では各段階のカリキュラム内容が大幅に再編されました。
実践者研修では講義・演習が24時間から23時間に、リーダー研修では31時間から28時間に見直され、科目の統廃合と新設が行われています。
また、リーダー研修の対象者要件には経過措置が追加され、介護福祉士資格取得後10年以上かつ1,800日以上の実務経験を有する者は、令和9年3月31日までは実践者研修修了後1年経過の要件によらず受講できることとされました。
カリキュラムの具体的な再編内容
実践者研修では、旧カリキュラムの「生活支援のためのケアの演習1」(300分)・「演習2(行動・心理症状)」(240分)が、「生活支援の方法」(210分)と「行動・心理症状(BPSD)の理解と支援」(180分)に再編されました。
また、旧カリキュラムにあった「QOLを高める活動と評価の観点」(60分)は削除され、代わりに「認知症介護実践者研修の理解」(60分)が新設されています。
リーダー研修では、旧「チームアプローチの理論と方法」(180分)が「チームマネジメントの理論と方法」(240分)に拡充され、「認知症チームケア推進研修」の内容が組み込まれました。OJT関連科目も3科目(計840分)から2科目(計840分)に再構成されています。
さらに、各科目にオンライン実施の可否が明示され、原則オンラインで実施する科目と対面が必要な科目が区分されました。
現場と地域をつなぐ人材育成へ
今回の改正は、認知症基本法の理念を踏まえ、研修の目的を「尊厳保持」「希望」「共生社会の実現」へと転換するとともに、カリキュラムの科目構成・時間配分・オンライン対応を具体的に見直したものです。
なお、令和9年3月31日までの間は従前の規定による研修実施も認められており、各都道府県等には移行期間を活用した準備が求められるでしょう。
都道府県等には従来から認知症介護研修推進計画の策定が義務づけられているため、計画の見直しを通じて新カリキュラムへの円滑な移行を図ることが重要です。
参照元:厚生労働省 介護保険最新情報 「認知症介護実践者等養成事業の円滑な運営について」の 一部改正について Vol.1487 令和8年3月31日

執筆者紹介
介護現場の「伴走者」。豊富な相談実績から、最適な選択肢を提案します。
介護老人保健施設(老健)や特別養護老人ホーム(特養)での相談援助職を経て、現在は多角的な視点から介護支援を行う。社会福祉士・精神保健福祉士・ケアマネジャーの3つの資格を保持し、制度の裏側から現場のリアルまでを熟知。これまで数多くの家族の悩みに向き合ってきた経験から、読者の「今、どうすればいい?」に対する的確な解決策を提示します。





